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サローム(こんにちは)!
前回の記事(18. タシケントメトロ徹底解説!乗り方は?料金は?【2022年最新情報】)で書いたとおり、タシケントメトロの魅力はなんといっても豪華絢爛な駅の装飾。同じような駅はひとつもないといっても過言ではないほどの個性あふれる内装で、まさに地下に広がる美の空間なのです。これはソビエトの地下鉄の伝統で、旧ソ連都市の地下鉄駅はどこも芸術品のよう。やはり親分モスクワの地下鉄駅が最も美しいと思いますが、タシケントの地下鉄駅も旅行者には一見の価値ありです。近年やっと写真撮影が解禁されたので、ぜひバシバシ撮りまくってください。
それでは、メトロ全線を踏破し全駅を写真に収めた私が独断と偏見で勝手にチョイスした、ぜひご覧いただきたいおすすめのタシケント地下鉄駅ベスト5を発表しましょう。ジャンジャカジャーン!!
市内中心部に位置する、チランザル線(赤線)の駅。ホーム壁面にびっしりと描かれた、青地に白と黄色の花々のタイル画に目が奪われるはずです。
これはウズベキスタンの特産物である綿花の柄。実はパフタコールは「綿花栽培者」の意味で、駅名に準じた装飾がなされているのです。ちなみに同じくパフタコールという名のサッカーチームは、ソ連時代から有力だったこの国の強豪クラブで、代表チームの試合も行われる本拠地のパフタコール・マルカジイ・スタジアムはこの駅からすぐ。
改札へ上がる階段上には、スタジアムにちなんでアスリートのモザイク画も描かれています。ホームだけでなく至るところにアートなスポットがあり、駅に行くたびに新しい発見があるのもタシケント地下鉄駅の魅力なのです。
こちらもチランザル線の駅。ホーム真ん中には宮殿にありそうな9つの大きな円形シャンデリア、そして壁面にはウズベク人の昔の様子を描いたタイル画。このタイル画、絵画として一つ一つじっくり観察したいほどのクオリティなのです。ウズベク縁台タプチャンに座ってお茶を飲んでいたり、馬に乗っていたり、太鼓のような伝統楽器ドイラを叩いていたり……とウズベク人たちの生き様がいきいきと描かれ、かつての彼らの生活や農村風景が目に浮かんでくるようです。
シャンデリアをタイル画を手がけたのはラトビア人アーティストグループが手がけたとのこと。地下鉄建設はどの国にとってもビッグプロジェクトですが、特にソ連にとって中央アジアで始めて地下鉄を造るのは国の威信をかけた計画だったはず(この駅はタシケント地下鉄で最も古い区間にあり、1977年開業)。それではるばるラトビアから優秀なアーティストを呼び寄せたのでしょう。
市内南西部にあり、観光客はあまり行かない立地にありますが、機会があればぜひ行ってゆっくり堪能してほしい駅です。
「地球の歩き方」でも写真つきで掲載されている人気の駅。ソ連時代に造られた地下鉄駅は社会主義的な絵柄やレリーフが目立つのですが、この駅は珍しくこの国ご自慢のモスクやメドレセなどのイスラム建築を思わせるような、壮大な造りです。大理石の重厚な支柱と丸いドームが、ホームの端から端まで続いています。
壁にも注目。青銅色のセラミックパネルがずらりと並んでいます。その中には、駅名の由来になった歴史的詩人ナヴォイの詩に出てくる場面を表したレリーフも。
なお第5位のパフタコール駅とこの駅は接続しており、乗換駅になっています。同時に2つも素晴らしい駅を見られるなんて最高ですね!
コスモナウトラルとはウズベク語で宇宙飛行士の意味。ここは宇宙をテーマにした駅なのです。ホームへ降りると、無限の宇宙を思わせるようなシックな空間が広がっています。ホーム壁面はブルーのグラデーションで、支柱は深い色合いのガラス素材。天井もガラス素材の装飾で、天の川をイメージしているそう。
そして印象的なのが、壁面に飾られた14の肖像画。世界で最初に有人宇宙飛行を成功させたかの有名なガガーリンや、世界初の女性宇宙飛行士テレシコワをはじめ、主にソ連の宇宙飛行士たちが描かれています。また天文学者でもあったティムール朝時代の君主ウルグベクや、ギリシャ神話に出てくるあのイカロスの肖像画も。美術館で美しい絵画を見ているような気分になるでしょう。
タシケント随一の見所ナヴォイ劇場に近いので、観光のついでに寄ってみては。ちなみにアリシェール・ナヴォイ駅とコスモナウトラル駅はウズベキスタン線(青線)の駅になります。
栄えある1位がこちら、トルキストン駅。この駅、2020年にできたばかりの駅なのです。市内を南北に貫くユヌサバッド線(緑線)の、北側の終点として開業しました。
一言でいうと、ソビエトの伝統と現代ウズベキスタンの華麗なる融合。支柱の立て方や照明の照らし方、そして壁面にレリーフを飾るなど大まかなスタイルは従来の駅と似ており、それでいて各パーツはウズベク風にアレンジした、まさにタシケント地下鉄駅の集大成といえるでしょうか。天井と支柱は白が基調のスタイリッシュな色合いですが、支柱には唐草文様のような模様が、天井には太陽や星が描かれ、イスラム伝統建築にも現代建築にも見えます。
そして側面のレリーフには、片側がウズベキスタンの見どころ、もう片側は他の中央アジア諸国、つまりカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの見どころが彫刻風に描かれています。他国の名所をここまでクローズアップしている地下鉄駅は世界でも珍しいのでは?トルキスタンとはもともと中央アジア全体を表す地名で、中央アジア諸国の団結を願ってこのレリーフが飾られたのかもしれません。
最後に番外編。タイトルで「地下の広がる美の空間」というフレーズを使いましたが、実は地上にあるメトロ駅もあります。2020年に一部区間が開業した新規路線の環状線は全区間がほとんどが高架線で、まるでモノレールのよう。現状8駅ありますが、起点となるドストリク-2駅は側面がガラス張り、その他7駅は丸いアーチ状の透明なドームで覆われているという、今までのタシケントメトロ駅のイメージを覆すような近未来的な駅に仕上がったのです。これらの駅もぜひ多くの方に見ていただきたいものです。
今のところ全体の約1/5が完成したのみで、まだまだ環状とは言いがたい状況の環状線ですが、今後どんどん延びていくはず。さらに他の路線の延伸計画もあるようで、自称タシケントメトロファンにとってはこれからまた素晴らしい駅ができることを期待せざるを得ません。
なお私の個人ブログでは、さらに詳しく各路線や各駅の情報や写真を載せています。ご興味を持たれた方、タシケント地下鉄に乗りたくてしかたなくなった方はぜひご覧ください!
・タシケント地下鉄攻略情報!概論&乗車方法&車両編
・タシケント地下鉄攻略情報!チランザル線の駅編
・タシケント地下鉄攻略情報!ウズベキスタン線の駅編
・タシケント地下鉄攻略情報!ユヌサバッド線の駅編
・タシケント地下鉄攻略情報!環状線の駅編
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!
参考ウェブサイト:
https://uzbloknot.com/2020/09/06/tashkentskoye-metro/