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タイのミッション系私立大学、「アサンプション大学」をご存じでしょうか? ゴシック様式の荘厳なキャンパスは、まるで宮殿のよう。卒業後、グローバルに活躍する人材を数多く輩出しています。
先日、アサンプション大学の卒業生である友人ふたりと、キャンパスを訪問しました。現地で見聞きした風景や、当大学の特色や魅力、友人へのインタビューもご紹介します。
アサンプション大学、通称ABAC(エイバック)は、聖ガブリエル修道会によって運営されているミッション系の大学です。その前身は1969年に創設された「アサンプション経営学校」という高等教育機関で、1990年に大学として認可を受け「アサンプション大学」と改称され現在に至ります。
キャンパスは、バンコク市内の「フアマークキャンパス」、セントラルワールドプラザ内の「シティ・キャンパス」、郊外の「スワンナプームキャンパス」の3箇所です。ABACがもっとも力を入れる経営学の分野をはじめ、人文学、法学、科学技術、看護、音楽、建築など11学部を擁しています。
学生数はおよそ2万人。アサンプション大学は、タイで初めて海外留学生への教育プログラムを整えた大学でもあり、とてもインターナショナルな雰囲気です。中国・ミャンマー・インドをはじめ、世界80ヵ国以上からの留学生を受け入れ、ほとんどの授業が英語で行われています。
筆者の友人で、ABAC卒業生のタイ人2人と訪れたのは、メインキャンパスの「スワンナプームキャンパス」です。このキャンパスがあるのは、バンコクから車で1時間半ほどの場所にあるサムットプラカーン県。
周辺にはレストランやカフェがぽつぽつあるくらいの、のどかな場所です。学生寮のビルディングが建ち並び、ひとつの学生街を形成しています。
筆者「バンコクからはちょっと遠いね」
友人「いやいや、ちょっとどころじゃないよ、アクセスは最悪だよ(笑)。どこへ行くにも車がないとキツいしね」
スワンナプームキャンパスの校舎は200エーカーの広大な敷地のなかにあり、緑豊かな庭園と木々に囲まれ「公園のなかの大学」とも呼ばれています。それではゴシック様式の美しいキャンパスをご覧いただきましょう!
校舎の中に足を踏み入れると、静寂に包まれた空間は重厚感に満ち、息を飲むほどの美しさ。デザインやインテリアは高級感があり、まるで中世ヨーロッパにタイムスリップしたかのようです。
こちらはブックストアです。
教材やノート、文房具、ABACのオリジナルグッズがずらり。
記念に、ABACの校章がはいったバッジ(40バーツ)を購入しました。
タイの大学では制服が義務付けられています。こちらはABACの制服。試験の日には校章入りベルトの着用など、きちんとした制服の着用が求められるそうです。
キャンパスを散策していると、結婚の記念撮影をしているカップルを3組ほど見かけました。
友人「ABACはフォトウェディングのロケーションとしても大人気なんだ」
広大な敷地内には、学生寮、カフェテリア、チャペル、本屋、銀行、郵便局、博物館、ジム、図書館、テニスコートなど、あらゆる施設が充実しています。
下の写真中央にそびえるのは「時計塔」で、バスケットボールのグラウンドと地下駐車場に続くピラミッドを囲むように、学生寮の建物がコの字型に並んでいます。所定の時間になると、鐘の音が鳴り響くのです。
友人「コロナ前までは、連日のようにキャンパスのあちこちでコンサートやイベントが開催されてたんだ」
コロナ禍で長期にわたってオンライン授業が続き、多くの施設は閉鎖され、学生の姿もほとんど見かけません。友達とワイワイして過ごす青春を奪われた、現役の学生たちが不憫でならず、静まり返ったキャンパスを歩きながら胸がキュっとしました。
ABACの卒業生である私の友人ふたりに、大学生活の思い出や母校の魅力について語ってもらいました。
――簡単に自己紹介をお願いします。
バンコク出身のTaeです。ABACではビジネス英語を専攻、マーケティングを副専攻していました。現在は実家に戻って家業を継いでいますが、日本の文化や日本語に興味があって、2022年春から東京で1年間の留学をする予定です。
――ABACを選んだ理由は?
ABACで学べる科目全般やライフスタイルが気に入り、また親や友人からの勧めもあって、この大学を選びました。英語はもちろんビジネスやマーケティングなど、実践的かつ人生の幅を広げてくれそうな科目に、とくに興味がありました。
――ABACの魅力は何だと思いますか?
美しいキャンパスと、整備された多様な学習環境です。それぞれの学部や学科によって用意された学習環境は異なります。たとえばコミュニケーションアート学部であれば、演劇をするためのスタジオや映画の音声を録音するためのオーディオルームがあったり、パイロット学科であれば、飛行機のエンジンや飛行シミュレーターについて学べる場所があったりします。
▲在学中にギターを弾いたり歌を歌ったりした思い出の場所
――大学生活での思い出は?
大学で定期開催されるコンサートやイベント、ナイトライフを楽しんだ日々が、色鮮やかな青春の記憶として残っています。授業終わりにはよく仲間たちと集まって、ギターを弾いたり歌ったりしたものです。
イベント好きの僕は、企画するのも大好きでした。所属していた「ローターアクトクラブ」(Rotaract Club)というボランティア団体の活動では、チームリーダーとして様々なプロジェクトを企画・運営し、そこで多くの学びを得ました。素晴らしい仲間と出会えたことや、後輩たちが成長し活躍する姿を見れたことも、すごく嬉しかったですね。
学業面では、経営分析や顧客行動分析などをテーマに研究に没頭しました。苦労も多かったですが、やりがいがありました。こうやって大学生活を振り返ると、すべての経験が今に繋がっていると実感します。
――将来の展望について聞かせてください。
2022年は東京で日本語を学びつつ、各地を旅したり、ボランティア活動に取り組んだりしようと思っています。長期的なビジョンとしては、「旅行、人、文化、アイデア」に関連する事業を立ち上げてみたいですね。
パンデミックやテクノロジーの進歩でどんどん世界が変容しているし、まだ具体的な構想を描けているわけではないけど、可能な限りたくさんの知識と経験を積んで、30歳くらいを目途に起業したいです。
――簡単に自己紹介をお願いします。
ラーチャブリー県出身のBambamです。専攻はビジネス英語、副専攻はマーケティングでした。現在はベルギーでオペア(※海外の現地家庭でベビーシッターなど住み込みで働くプログラム)で働きながら留学しています。タイの一時帰国から戻ったら、スイスでオペア生活をもう1年続ける予定です。
――ABACを選んだ理由は?
インターナショナルな環境で英語のスキルアップができることです。高校のときアメリカで5ヶ月ほど交換留学を経験し、いかに自分が「井の中の蛙」だったかに気付きました。留学から戻った私は「英語のスキルをもっと伸ばしたい」という情熱に燃え、タイでもっとも国際的な大学であるABACで勉強しようと決めました。
――ABACの魅力は何だと思いますか?
ひとつは、美しく整備されたキャンパスです。図書館、フィットネスクラブ、自習室など、学生たちが快適に楽しく過ごすための施設が充実し、学業にも集中しやすい環境が整っています。
また本格的な英語を学び実践する機会が多いことも魅力です。先生は素晴らしい方ばかりですし、ABACでは観光英語、ホテル英語、音楽ビジネス英語、国際貿易英語、翻訳、文法、作文など、多彩なコースが用意されていて、英語をより深く学ぶことができます。
――大学生活での思い出は?
Taeと同じ「ローターアクトクラブ」に所属して、ボランティア活動に取り組んだことです。たとえば農村部に2週間泊まり込んで図書館を建設するプロジェクトに参加したり、ローカルな暮らしや文化について学んだことを発信する活動をしたり。
クラブでの活動を通じて、助けを必要としている人たちに寄り添い、その人の人生をより良くするために少しでも役に立てることが、私にとって「もっとも幸せなこと」なんだと気付きました。
――今後の展望について聞かせてください。
ボランティア活動は私にとっての生きがいで、もう少し続けたいと思っています。2023年にスイスでのオペア生活が終わったら、ドイツのFSJ (Freiwilliges soziales Jahr)というプログラムに参加するつもりです。
――Taeさん、Bambamさん、素敵なお話をありがとうございました!
BambamさんとTaeさんが在学中に撮影したという「ABAC紹介」の動画をシェアしてくれたので、ぜひご覧になってみてください。キャンパスの雰囲気がより伝わるかと思います(※英語です)。
日本人にもABAC入学の扉は開いています。授業が英語で行われるため英語力は必須ですが、日本のような統一大学入学試験はないので比較的ハードルが低く、入学金・必要書類・高校の最終学歴などがあれば多くの人が入学できるようです。
ただ卒業するためには必須科目や指定科目の合格などが必要となり、タイ人でも「4年で卒業できなかった」という学生も少なくないようです。
今回ABACのあちこちを案内してもらい、こんなにも素晴らしいキャンパスで青春時代を過ごした友人たちが羨ましくなりました。バンコクからは少し距離がありますが、緑豊かな郊外でのキャンパスライフも楽しそうです。
早くパンデミックが収束して、現役の学生たちが本来の青春を取り戻せますように。気になった方はぜひ、ABACに足を運んでみてくださいね♪