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タイの首都バンコクの観光促進のために、 Creative Economy Agencyがthe Tourism Authority of Thailandとthe Thailand Convention and Exhibition Bureau (Public Organization)と連携し、「Unfolding Bangkok」のイベント(英語:https://www.cea.or.th/en/single-project/Unfolding-Bangkok-Living-Old-Building、タイ語:https//www.cea.or.th/th/single-project/Unfolding-Bangkok-Living-Old-Building)が開催されています。
以前、Unfolding Bangkokが掲げる3つのテーマ(Hidden Temple, a secret temple tour; Living Old Building, a retrospective of historical buildings; and Greeting Benjakitti, a visit to the forest park in the middle of the city)の内、「Living Old Building」の副題を掲げて、フアランポーン駅(バンコク中央駅)で開催されていたイベントの様子は、記事「タイ国有鉄道126周年記念イベントがフアランポーン駅で開催中」にて紹介しました。
今回は、「Greeting Benjakitti」の副題を掲げ、首都バンコクにある都会のオアシス「ベンジャキティ森林公園」への訪問を促すべく、2023年3月18日~9月30日の期間中、公園内にアート作品が展示されています。期間中、タイ滞在中で時間のある方は、涼しい時間帯を狙って、アート作品を探しに行ってみるのはいかがでしょうか。
目次
ベンジャキティ森林公園といえば、ベンジャキティ公園の西側にできた新しい公園で、SNSではスカイウォークのあるエリアが大変注目を集めましたが、今回、5つのアート作品が展示されているのはスカイウォークのあるエリアからは少し離れたところで、ベンジャキティ森林公園の北西、中央、南西エリア。アート作品を探しながら、これまでほとんど話題にのぼらず、多くの人がおそらく行く機会のなかったエリアまで自然と足が向くようになされたように感じられます。
私自身、これまで、スカイウォークのエリアには何度も歩きにいったり、走りにいったり、写真を撮りにいっており、広い公園だと思っていましたが、今回、アート作品を探すことを通して、これほどまで広かったのかと改めて驚きました。
アート作品は5つ。園内5ヶ所に設置されています。以下で1つずつ紹介していきます。
園内に建設中の博物館「Benjakitti Forest Park Museium」の近く(ベンジャキティ森林公園の南西)にあるこちらの作品は、สุริยะ อัมพันศิริรัตน์(Suriya Umpansiriratana)氏による「The Circle Biogenesis 2023」という作品です。読み方は、「ザ・サークル・バイオジェネシス2023」となるでしょう。生命を生み出す円といった訳になるでしょうか。技術を使って、自然、命あるもの、そして、宇宙との関係を持っていることを1日24時間を8時間ずつの3つ(太陽の周りをまわる地球の軌道に合わせて僧侶のルーチン)に分け、表現した作品のようです。太陽を始め、自然があるからこそ、私たち、人を含む動植物も生きていくことができるということが伝わってきます。
ベンジャキティ森林公園の中央部分(大きなスカイウォークのある少し北側)にあるこちらは、สนิทัศน์ ประดิษฐ์ทัศนีย์(Sanitas Pradittasnee)氏による作品「House of Silence/เรือนแห่งความเงียบ」です。「静寂の館」、または、「ハウス・オブ・サイレンス」といった訳になると思います。この館の中に入ると、外部とは遮断され、リラックス効果が得られるような感覚に包まれます。一度に上れるのは1、2人というような注意書きがタイ語でのみ記載されていますので、たくさんの人数でのぼったり、中で騒いだりしないよう、気を付けましょう。
2の「House of Silence/เรือนแห่งความเงียบ」の近くにあるこちらの作品は、วิชญ์ พิมพ์กาญจนพงศ์(Wit Pimkanchanapong)氏による作品「Stingless Bee City/ผึ้งน้อยธานี」です。「ハリナシミツバチ・シティー」という名称からも分かるように、針という武器を持たないハチの巣です。私が訪問した時は、ハチが飛び交っている感じがなく、近づいて、ハチが中にいるのか覗きにいってしまいましたが、たくさんのハチが出入口周りにちゃんと潜んでいました。ハリナシミツバチにはたくさんの種類がいるようですが、農村部においても都市部においても生態学的なバランスを保つ上で大変貴重な役割を担っているハチなのだそう。また、ハリナシミツバチのはちみつは、農村部の農家にとって大変重要な農産物でもあります。「ハリナシミツバチ・シティー」は、私たちが認識し、称賛するべき小さな生き物たちへ、敬意を表すべき象徴の場として存在しています。
3の「Stingless Bee City/ผึ้งน้อยธานี」の斜め向かい側にあるこちらの作品は、สุวรรณี สาระบุตร(Nino Sarabutra)氏による作品「Hornbill Villa | วิลล่านกเงือก」です。「サイチョウの別荘」や「サイチョウ・ヴィラ」という訳になると思いますが、森林破壊や消失により、居住環境が脅かされている鳥や小動物のための隠れ家として、木製の居住環境が必要となっており、アーティストと陶器製造所が協働し、丈夫で、雨をしのげる、200の赤褐色の壺を用意したものです。公園内に設置した目的は、タイ在住者に、森林消失の問題を認識してもらうためとのことです。
ベンジャキティ森林公園の北西側(駐車場の西側)にあるのは、อรรถพร คบคงสันติ(Pok Kobkongsanti)による作品「The Center of the Universe/จุดศูนย์กลางจักรวาล」。訳すと、「センター・オブ・ザユニバース(宇宙の中心)」。多数の色から予期せぬ眺めを楽しめる万華鏡のようなつくりになっているようです。帰宅してから説明を読んだので、確信が持てませんが、私の解釈が正しければ、観衆がピースの中に入ると、同じ場所にいる他の人には同じ見え方になる…というような説明があります。ピースの見え方に絶対的なものはなく、時間、記憶、感情、関係等によって変化するもの。変化し続けるベンジャキティに、是非訪問してくださいという意味が込められています。
以上、タイの首都バンコクのオアシスとして、たくさんのタイ人及び外国人に愛されているベンジャキティ森林公園で開催されている「Unfolding Bangkok~Greeting Benjakitti」について紹介しました。
高層ビルや公共交通機関の建設が進むバンコクですが、積極的に自然を残したり、創り出そうとしているバンコクです。そこに、現代の技術と知恵が加わり、自然と人とが共生する農や生活、そして、アートまで楽しめるスポットが公共公園内に用意されています。
自然環境保全に関しては、世界的な動向で言うと、1970年代、ドイツを始め、西欧から自然の再生や創造といった動きがあり、自然環境の保護、再生、創造のために、生物が生息、生育できる自然環境を確保する取り組みがなされています。タイ・バンコクのこのベンジャキティ森林公園では、アート的な要素を取り込み、環境教育や啓発的な要素があり、大変ユニークな催しだと感じます。
本記事を通して、この様子を少しでも多くの方に知ってもらえたら幸いです。
それでは、皆様、サワディーカー。