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サローム(こんにちは)!
美しいイスラム建築や中東を思わせる旧市街が特徴的なウズベキスタンの都市。中東のお風呂であるハマム(ハンマム、ハンマーム)の文化もまた、イスラム教によってこの地にもたらされました。もともとハマムは常に心の身体も清潔であるように、というイスラムの教えにぴったりの施設としてイスラム世界に広がっていったという歴史があり、中央アジアでハマムが普及していったのも自然のことなのです。
さらに面白いことに、ソ連時代にロシアのサウナ文化も流入。よく文明の十字路といわれる中央アジアやウズベキスタンですが、少し大げさに言うと、お風呂文化に関しても異文化の融合が垣間見られるのです。
先日ブハラの観光モデルコース記事(108. ブハラ観光モデルコース!シルクロードの面影を色濃く残す古都を堪能する1日プランをご案内)で歴史あるハマムをご紹介しましたが、ウズベキスタンでは大きな町から田舎の村まで至るところにハマムが建っており、それはサマルカンドでも例外ではありません。
サマルカンド中心部には各地に庶民的なハマムがあり、第1ハマムなど番号が割り振られています。公衆浴場ならぬ公衆ハマムとでも呼ぶべきでしょうか。サマルカンド市民のほとんどはシャワーやバスタブのある家や部屋に住んでいるはずですが、今でもハマムは毎日多くの人でにぎわっており、お風呂大好き民族日本人としては親近感を感じます。また今は観光客用になってしまいましたが、旧市街の路地の中には100年以上の歴史を持つダビデ・ハマムなる由緒あるハマムもあります(後日別の記事で紹介予定です)。
筆者も一時期約3週間にわたって部屋で断水が起こった際は、この公衆ハマムに通っていました。このときハマムに大きな恩義を感じるとともにサマルカンドのハマム文化に興味を持ち、今でもときどきこの公衆ハマムを訪問しています。というわけで、観光の合間に汗を流してさっぱりしたい、地元の人に混じってローカルなお風呂を体験してみたいという旅行者のためにこの公衆ハマムをご紹介していきましょう。
新市街のAmir Timur通りとAbdurahmon Jomiy通りの角、ナヴォイ公園向かいにあります。この周辺はロシア帝国時代に建てられた建物が多いのですがここも然りで、一目で分かる堂々としたレンガ造りの建物です。番頭さん(とハマムでも言うのかどうか分かりませんが)に聞くと1900年ごろに建てられたとのこと。
なおハマムは床屋さんを併設していることがほとんどですが、ここも入口右に床屋さんがあり、安く(25000スム)て早く、この国基準でそれなりにまともな髪型にしてくれるということで私の行きつけの散髪屋さんになっています。
ここは他に紹介するハマムと異なり、個室シャワーか個室サウナのみで、シャワーを利用するお客がほとんどのようでした。シャワーは1人15000スム(2023年7月現在のレートで約180円)で、廊下に沿って個室が並びます。後述のように原則水着が必要なハマムですが、ここは個室のため水着なしでも問題ありません。石鹸やシャンプーも販売していました。
シャワーは1人用ながら広く、まあまあ清潔。さっと汗を流したいときに便利です。
ランドマークのビビハニム・モスクの真裏から伸びる道を15分ほど歩くと到着する、アクセスのいいハマム。外観は新しいですが、建てられたのはソビエト時代とのことで、こちらも数十年間サマルカンド市民に愛されてきたハマムです。
料金(入浴料?)は何と12000スム(2023年7月現在のレートで約140円)!日本の銭湯の1/3以下の値段でハマムやサウナが楽しめてしまうのです。窓口横の売店では石鹸やシャンプー、タオルなどのお風呂用品が売っています。
男女別に分かれて浴場へ。基本的に全裸でハマムに入ることはできず、水着を着用して入ることになりますが、もし水着がなければ脱衣所で2000スムで腰巻布を借りることができます。
浴場は広く、日本の銭湯とは違い湯船はありませんが、座って体を洗うことができる洗い場がその中に広がっています。蛇口と洗面器、シャワーが浴場内にいくつかあり、これを使って体を流すことになります。やり方や作法が分からなければ、周りのお客の見よう見まねでトライしてみましょう。なお10万スムほど払えばマッサージを受けることもできます。
そして浴場の奥にはサウナが。ロシア語でпар(パール)と呼ばれるスチームサウナで、蒸気ムンムンの真っ白な空間で容赦なく高温で燻され、燻製肉になった気分を味わうことができます。私はサウナ初心者ですが、サウナー(サウナ愛好者)の旅行者の方を連れて行ったときはこのサウナに感動し、その後毎日ここに通ったとおっしゃっていたので、間違いなくいいサウナでしょう。サウナに入る前に必ず体を流さないといけないのでご注意。
サウナは床が熱いことがあるので、サンダル持参がおすすめ。ハマムの床は他人の使ったシャンプーなどが流れていることもあるので、清潔面から見てもサンダルを履いた方がいいかもしれません。入浴後は前回の記事で紹介したシャシリク屋、カフェ・ボーブル113. サマルカンド観光エリアど真ん中で肉とビールを!ローカルなシャシリク屋カフェ・ボーブルで一杯やるのはいかがでしょうか?日本同様、サウナの後のビールは極楽としか言いようがありません。
サマルカンド鉄道駅から、1番トラムに乗って南へ5分という立地にあるハマム。徒歩だと駅から20分ほどです。もし軽装なら、夜行列車の利用前・利用後などに使う価値があるハマムです。
このハマムの料金や設備、入浴の流れは、上記第3ハマムとほぼ同じ。ただ人口が多いエリアにあるためか、第3ハマムよりお客が多く混み合う傾向にあります。もし『乙嫁語り』ファンの方ならば、ハマムが登場するワンシーンを思い出すことでしょう。外国人と見るやフレンドリーに話しかけてくる人もいるので、物語同様「姉妹妻」が見つかったり…するかもしれません。
家族連れも多く、親子交代で洗い合いっこしている様子は見ていてほほえましい光景です。
このハマムにも浴場奥にサウナがあります。それもスチーム式サウナだけでなくフィンランド式サウナ、つまりストーンサウナ(焼石)を使うサウナも!ここは1度で2種類のサウナを楽しめる、贅沢なハマムなのです。何とウズベキスタンでロウリュができてしまうとは…。
なお特に脱衣所が共同の第3ハマム・第5ハマムでは荷物の取り扱いにご注意を。受付で貴重品を預かってくれることもありますが、必要最低限の荷物を持って入ることをおすすめします。
新しいハマムを見つければ見つけるほど、そして入れば入るほど興味が湧いてくるウズベキスタンのハマム。私も活動先の観光案内所で、サマルカンド湯けむりマップでも作って旅行者にハマムの魅力を伝えていければ…ともくろんでいます。ガイドブックなどには全く載っていないサマルカンドのディープなスポットですが、気になる方はぜひ覗いてみてください。
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!