
【北イタリアの楽園】ガルダ湖に浮かぶ町「シルミオーネ」
2024.8.26
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ミラノでは、夏の暑さを避けるため週末は多くの人々が水辺の町で過ごします。
今回、週末に訪れたのは、湖に囲まれ名高い歴史を刻んでいる町マントヴァ。ミラノから車で約2時間の距離にあります。
遊覧船で湖の旅を楽しみ、中世の面影残る旧市街、ルネッサンスの美しい建築、アートなど魅力が詰まった町です。
マントヴァの観光スポットと一緒に歴史も深掘りしてご紹介します。
ロンバルディア地方に位置するマントヴァは、湖からのさわやかな風がそよぐ穏やかな町。
ミンチョ川の水が流れる3つの湖は、人口湖でガルダ湖から流れるミンチョ川を止めたもの。スペリオーレ湖、メッツォ湖、インフェリオーレ湖に囲まれ、水面から浮かんでいるような町並が眺められるのです。
豊かな芸術と文化の歴史を持つマントヴァは古代都市でもあり世界遺産にも登録されています。有名な古代ローマの詩人ウェルギリウスは紀元前70年に近くの村で生まれ、長い歴史あるエリアです。
14世紀から17世紀にかけては、マントヴァを統治したゴンザーガ家の支配下であり、長きにわたり文化的、政治的な中心地でもありました。
ヨーロッパ屈指の宮廷を誇り、ルネサンス期の強国でもあり、レオナルド・ダ・ヴィンチからラファエロまで、著名な芸術家たちがマントヴァに滞在。
オペラ作曲家モンテヴェルディは「オルフェオ」を初演し、ジュゼッペ・ヴェルディは「リゴレット」の舞台をマントヴァに設定。シェイクスピアの有名な悲劇「ロミオとジュリエット」でも登場する都市。
マントヴァは、ウェルギリウスとゴンザーガ家の魅力を放ち、イタリア美術と建築など訪れる人々の心を揺さぶり、忘れられない思い出を残しています。
ここからは壮大な広場から美しい庭園、遊覧船の旅まで、おすすめスポットをいくつかご紹介します。
マントヴァ最古の広場で、紀元前の先住民族エトルリア人集落があった場所と言われています。
広場の東側には、ゴンザーガ家の居城であり、16世紀にはイザベラ・デステの主要な住居であった巨大なドゥカーレ宮殿。北側にはマントヴァ大聖堂「サン・ピエトロ大聖堂」、周辺にホテル、カフェなど点在しています。
ドゥカーレ宮殿は、14世紀から17世紀にかけてゴンザーガ貴族によって、王宮として建てられました。ヴェルサイユ、ルーブル、バチカンに次いでヨーロッパで6番目に大きな宮殿です。
ソルデッロ広場に面し、内部は美術館になっています。
隣接されている庭園には、ベンチがありみずみずしい緑に囲まれた、ヨーロッパ庭園を満喫できる場所です。
ドゥカーレ宮殿の一部に、14世紀に建てられたサン・ジョルジョ城があります。
3つの跳ね橋がある正方形の堀のある城で、宮殿で最も有名な部屋の一つ、「 夫婦の部屋」があります。イタリアのルネサンス期の画家アンドレア・マンテーニャのフレスコ画が描かれている空間です。
ソルデッロ広場北側に位置する華麗なバロック様式のファサードが特徴の大聖堂。
中世ロマネスク様式の鐘楼、ゴシック様式の要素、さまざまな建築様式の魅力が詰まった壮観です。
マントヴァ大聖堂とも呼ばれ、内部は、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂を模範としようとしたジュリオ・ロマーノによって設計されました。
この大聖堂は初期ルネサンス建築の最高傑作のひとつ。
入口上部の凱旋門には、花を配した丸天井の幾何学模様があり、細かい装飾も見逃せません。
頂上には華麗なドーム屋根がそびえ立ち、歴史地区の至る所でその姿を見ることができます。
広場には、ルネサンス様式の時計台があります。隣には、11世紀に建てられたサン・ロレンツォ・ロトンダが佇む中世の面影残る空間です。
アーケードがあり、レストランやカフェ、お土産ショップが軒並んでいるのでショッピングにもおすすめのスポット。
テアトロ・ビビエナは、多くの柱とバルコニーがある 18 世紀の劇場。
小規模ながらもユニークなバロック様式のテアトロ・ビビエナは、1770年ごろ当時10歳だったモーツァルトがここで演奏したとされています。
モーツァルトの父親がこの劇場を訪れた際に、今まで見た中で1番美しい劇場と称賛したそうです。
歴史的中心部から約1キロメートルのところにあるこのルネッサンス様式のヴィラ。
1525年から1535年にかけて芸術家であり建築家でもあるジュリオ・ロマーノによって建設されました。
フレスコ画が描かれた部屋で有名なこのヴィラは、フェデリコ2世ゴンザーガ公爵の憩いの場として建てられたもの。王宮内には中庭のほか広大な庭園もあり見どころが多くあります。
王宮内は複数の部屋で構成、それぞれ異なるテーマで装飾されたアートが堪能できるのです。
ゴンザーガ家は馬を飼育し愛していたため、愛馬たちの肖像画があるのです。「馬の間」には、ほぼ等身大の動物たちが描かれており、立体的に浮かび上がっているように見えます。
「キューピッドとプシュケの間」は、上層部、天井に至るまで、神話の物語が織り込まれた、豪華な装飾の部屋。ドラマチックな物語は、新郎新婦の宴、幸福の演出が描かれています。
「巨人の部屋」では、壁も天井も隅々までフレスコ画で覆われ、幻想的な光景にすっかり引き込まれてしまいます。
部屋の角に区別がなく、角が丸く見えるものの、実際には丸くありません。天井と壁の境目もないよう描かれ巨人たちが空から落ちてくるように見える驚くべき光景です。
旧市街の文化的な観光で足が疲れたら、のんびり水辺の旅を満喫しましょう。
1人13ユーロで1時間の音声ガイド付きツアーに参加。旧市街の観光スポットを水辺から見る贅沢な時間です。
サン・ジョルジョ城やサンタンドレア教会など湖に浮かんでいるような景色が堪能できます。
ミンチョ川から水が流入する湖には多くの自然保護区があり、多くの鳥が生息し、野生のカワウソを見かけることも。
日差しは強いものの、水辺の清々しい風で暑さを忘れることができます。
歴史、芸術、建築に興味がある方にマントヴァはおすすめの場所です。
イタリアの有名な都市と比べると小さな町ですが、観光客も少なく週末旅や日帰りでも満喫できます。
かつてルネサンスの中心地でもあった壮麗さが広がる町並、ドゥカーレ宮殿の要塞がそびえ立つ、サンタンドレア教会のクーポラが佇むスカイラインを湖から眺めましょう。