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サンフランシスコは坂の街。ということは、当然ながら階段も多い。そしてそれは時々突如現れる。崖がむき出しのテレグラフヒルには、有名なフィルバート・ステップスという階段があります。その一ブロック北、グリーンウィッチ・ストリートもサンサム・ストリートを過ぎたところで、唐突に階段に変わります。今回はこのグリーンウィッチ・ステップスを登り、帰りはフィルバート・ステップスを下るという階段散策。グリーンウィッチの下の方は、切り立った崖に刻まれたコンクリートの階段。この断崖そのものは、20世紀初頭まで続いた採石作業場の痕跡でもあります。
どんな塩梅の階段なのか?初めて数段を登る時は登りきれるかいつも心配になります。とりあえずゆっくり登ってみると、階段は不意にL字型に折れ曲がります。思ったほどキツくなく安心、でも誰にもすれ違うことなく不安。春先の緑の葉っぱをかいくぐり、アーチ状に垂れ下がった枝に頭をぶつけないよう気をつけながら、民家の玄関先や床下をくぐるみたいな場所をかすめながら、階段はジグザグに続きます。やがて街路へと抜けていきます。頭上には住宅の張り出しが迫り、立体迷路を登っているような感覚です。
モンゴメリーストリートに出ると、道路に戻ってきたと思いました。ふと振り返るとベイブリッジとサンフランシスコ湾が一気に開け、いつもは見上げているトランスアメリカピラミッドが目の高さ。
さて、ここまでの階段。全体的な難易度はフィルバートより低め。段数も少なく傾斜もやや緩やかで、途中には、緩やかな坂道区間もありました。そのぶんフィルバートが持つ「修行感」や隠れ里的な雰囲気、妙な都市伝説の気配もありません。観光客の姿もなく、フィルバートをランニングコースにしている強靭な住民にも出会わない。音と言えば風に揺れる葉っぱ、私の足音にへぇへぇとした息づかい。それ以外は全く静かで、少し地味。
それがこの階段の空気です。ここからは隣のフィルバートの階段を使い、一気にコイトタワーまで行ってみます。
丘の上に出ると、目の前には消火ホースのノズルをイメージした白い塔「コイトタワー」。どうやら裏道のような場所から上ってきてしまったらしい。パイオニア広場に立っていたコロンバス像は数年前に撤去され、周囲を囲む駐車場は、この時期まだ満車ではありませんでした。可愛いカフェもあり、どんなものかと眺めていたその時です。突然、少年が駆け出しました。なぜだか咄嗟に後を追ってしまいました。少年はやってきたバスにぴょんと飛び乗りました。待っていたお母さんも続いて乗車。つい勢いで私もひょいと乗ってしまいました。「Muni 39 Coit」のミュニバスのドアが閉まりました…。えっ!なんで乗っちゃった?予定していたフィルバートの階段下りは…。
グリーンウィッチを登り、フィルバートを下る予定だった階段散策。しかしうかつにもバスに乗ってしまったため、そのままノースビーチ方面。気づけばフィッシャーマンズワーフへ向かっていました。でもですね、住んでいても簡単に旅っぽい体験ができてしまう街サンフランシスコ。観光でいらした方にはもっとワクワク観光都市なんだろうなと思いました。
と言うことで、フィルバート・ステップスは、また別のコラムで紹介することにします。
ごめんなさい。