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グリュエッツィからのボンジョールノ!アルプス山脈の南北を最短ルートで結ぶ、交通の要衝・ゴッタルド峠。北側はドイツ語圏のウーリ州、南側はイタリア語圏のティチーノ州が広がります。2016年開通の世界最長鉄道トンネル「ゴッタルドベーストンネル」により、移動の利便性が劇的に向上しました。今回は大自然と歴史を満喫するため、あえて峠越えドライブへ!悪魔の伝説が残る「悪魔の橋」と、スイス軍のかつての要塞「サッソ・サン・ゴッタルド博物館」を巡ってきました。冬季閉鎖(11月〜5月頃)を目前に控えた現地の様子をお伝えします!
標高約2100mに位置するゴッタルド峠は、6月から10月頃まで、峠越えのドライブが楽しめます。(冬季は閉鎖。通行状況は公式サイト参照)
北側の麓の街ウーリ州アンデルマットAndermattと南側のティチーノ州アイロロAiroloの間のドライブルート上には、険しい渓谷に架けられた悪魔の橋や、ピアッツァ湖を中心に博物館やレストランが集まる峠の頂上エリア、24のヘアピンカーブが続く歴史的な石畳の旧道(トレモラTremola)などの名所があります。
荒涼とした大自然の中をドライブしていると、峠越えを楽しむ他のドライバー、ライダー、サイクリストらと行き交います。スイスの他の峠もそうでしたが、週末に訪れた筆者家族は、ポルシェやBMWなど高級スポーツカーが列をなして駆け抜け(時にはフェラーリも)、多くのサイクリストが険しい道に挑む、いかにもスイスらしい?光景に出会いました。
ドライブをしない方でも、アンデルマットとアイロロを結ぶポストバスで峠越えを満喫できます。(参考:ポストバスの山岳峠ルート)※2026年の営業は6/20から10/4まで
ゴッタルド峠の最大の難所であるシェレネン渓谷に架けられているのが、悪魔の橋(トイフェルスブリュッケTeufelsbrücke)です。1585年に建設された最初の石橋は嵐で壊れてしまいましたが、2代目は現在遊歩道として、3代目は国道として利用されています。
こんな険しい地に丈夫な橋をかけるのは容易なことではありません。架橋が困難だと困り果てた当時の村人は、最初に橋を渡る者の魂と引き換えに悪魔に橋をかけてもらいます。しかし完成後、村人はヤギを最初に渡らせて悪魔を欺きました。激怒した悪魔は巨大な岩を投げつけて橋を壊そうとしますが、ひとりの老婆が岩に十字架を刻むと、悪魔は岩を落として退散したといいます。これが、悪魔の橋の伝説です。
そんな悪魔の伝説や、アルプス山脈の南北を貫く交通の要衝として重要な役割を担ってきた橋の歴史に思いを馳せながら、渓谷の壮大な景色を満喫できる回遊ルートがあります(約30分)。
かつて馬車が行き交った2代目の石橋を渡り、そして、切り立った岩壁をくり抜いて造られた、かつての軍事用トンネルを通ります。トンネルを抜けた先は少し急な上り坂が続き、石橋や渓谷を見渡せるポイントに辿り着きます。
ちょっとした冒険気分を味わいながら、大自然の荒々しさや美しさ、そしてそこに挑み続けた人間の歴史を肌で感じられる場所です。
■シェレネン渓谷の悪魔の橋(トイフェルスブリュッケTeufelsbrücke)
URL:https://www.andermatt-sedrun-disentis.ch/andermatt/en/products/schoellenen-gorge-202426
※冬季(11月~5月頃)は積雪・雪崩の危険があるため、徒歩での立ち入りは禁止されていますのでご注意ください
ゴッタルド峠の頂上エリアにある、険しい岩壁の中に隠された巨大なゴッタルド要塞は、2012年からサッソ・サン・ゴッタルド博物館Sasso San Gottardoとして一般公開されています。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツがヨーロッパを侵攻する中、中立国スイスは軍の最高司令官ギザン将軍のもと、ゴッタルド峠を中心とした「国家要塞計画(レデュイ)」を作り、国を守り抜きました。その最大の拠点だったのが、この要塞です。
個人向けの入場チケットは、ショートツアー(大人20フラン)とロングツアー(大人25フラン)の2種類。せっかく訪れるなら、要塞が当時の状態のまま保存されている歴史的エリアまで見学できるロングツアーがおすすめです。
狭い入口からは想像もつかないほど、内部はアリの巣のように枝分かれして広がっており、まるで迷路のようです。また、夏でも寒いため、訪れる際は冬用のジャケットやフリースなど、しっかりとした防寒着を着用しましょう。
最大の見どころである歴史的エリアへは、長いトンネルを5分以上歩いた先に待つ、ユニークな立ち乗りのメトロ(地下ケーブルカー)に乗って向かいます。
兵員や士官の居住区から弾薬庫まで、当時の生々しい軍事拠点の様子が、今もそのまま保存されています。展示物に触れることはできませんが、間近で見学することができます。
特に興味深かったのが射撃指揮センター。同じく観光に来ていた親切なスイス人が教えてくれたのですが、観測員から敵の位置情報を受け取り、ここで射撃座標や角度を即座に計算して砲手へ伝える、という流れなのだそう。当時の軍事機密にあたるような地図なども展示されており、見応えがあります。
要塞の内部から外へと出られる場所があり、そこにあるパノラマテラスから見るゴッタルド峠の景色はまさに絶景です。近くの岩肌に目を凝らすと、先ほど見た大砲の銃身が突き出していました!
アルプスの内部に作られた本物の要塞を自らの足で冒険し、スイスが国を守り抜いたリアルな歴史を体感できます。興味のある方はぜひ来年訪れてみください!
■サッソ・サン・ゴッタルド博物館Sasso San Gottardo
URL:https://en.sasso-sangottardo.ch/
※冬季は閉館。2026年の営業は5/30~10/11まで