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カリフォルニア東部、シエラネバダ山脈の東側に広がる「モノ・レイク (Mono Lake)」。以前から気になっていた場所でしたが、ついに訪れることができました。
空の色をそのまま映し込むような水面と、湖畔に立つ奇妙な形の「トゥファ(Tufa)」、そして塩分の高い湖に適応して暮らす小さな生きものたち。目の前に広がる静かな風景のなかには、知らなかった世界がぎゅっと詰まっていました。空と湖の境目が少しずつ曖昧になっていくような、そんな景色が印象に残りました。
最初に立ち寄ったのは「モノ・ベイシン・シーニック・エリア・ビジターセンター(Mono Basin Scenic Area Visitor Center)」。館内にはショップのほか、モノ・レイクについて学べる展示やシアターがあり、レンジャーから周辺の情報を聞くこともできます。
また、ビジターセンターの裏側には、モノ・レイクを一望できるビューポイントもあります。
モノ・レイクにはトゥファと呼ばれる奇岩があちこちにあり、見どころの一つとなっています。トゥファとは、湖底から湧き出すカルシウムを含んだ水と湖水が混ざることで、炭酸カルシウムが沈殿して形成されたものです。
ビジターセンターでの展示で、私が特に印象に残ったのが、トゥファを「petrified springs」と表現していた展示です。「石になった泉」とでもいうのでしょうか。トゥファがどのように形成されるのかを知ってから見ると、なんだか素敵な表現だなと思いました。
湖の水位の変化についての展示も興味深く、1941年以降、湖へ流れ込む水がロサンゼルスの水源として取水されたことで、水位が大きく低下したことも知りました。その後、湖を守るための取り組みが進められ、現在も水位の回復が続いています。
見て、読んで、知るほどに、このあとの湖の景色が楽しみになりました。
ビジターセンターから車で少し走った場所には、湖全体を見渡せる展望スポット「モノ・レイク・ビスタ・ポイント(Mono Lake Vista Point)」があります。湖からは少し離れますが、そのぶんモノ・レイクの大きさを感じられる眺めでした。
モノ・レイクは塩分濃度が高く、魚は生息していませんが、ブラインシュリンプやアルカリフライなどが暮らし、それらを求めて多くの渡り鳥が訪れます。
実際、湖の周辺をドライブしていると、カリフォルニアカモメの姿もたくさん見かけました。空の色を映した湖に鳥たちが羽ばたいている姿が映り、まるで湖の中を泳いでいるように見えました。
モノ・レイク周辺にはトゥファを観察できる場所がいくつかありますが、今回訪れたのは「サウストゥファ(South Tufa)」。
広めの駐車場があり、トイレやピクニックエリアもあります。私が訪れたときは駐車場へ向かう途中に未舗装の区間がありましたが、それほど荒れておらず、二輪駆動車でも問題なく走れました。
また、駐車場から湖までは、歩いて10分弱で到着しました。
実物のトゥファは、たしかに普通の岩とは少し違い、結晶が集まってできたような繊細でもろそうな印象でした。それなのに人の背丈をはるかに超えるものまであり、湖の中でつくられたものだと思うと不思議。
トゥファは保護されているため、登ったり触って壊したりしないよう注意が必要です。
トゥファが見え始めてからさらに少し歩くと、静かな湖面が広がります。
この日はほとんど波がなく、空もトゥファも浅い水面にくっきり。鏡の上に別の世界がもうひとつ続いているようで、思わず足を止めました。
ビジターセンターで知った「石になった泉」という言葉を考えると、トゥファの一本一本が、かつてそこにあった水の記憶のようにも見えてきました。
そして衝撃的だったのが「アルカリフライ(Alkali Fly)」です。湖岸まで行くと、小さな黒い虫が水際をびっしりと覆っていました。小さな鳥が湖岸を歩くと、その進行方向にいるハエが一斉にサーッと避けていきます。その光景には思わずぞわぞわ……!
アルカリフライはモノ・レイクの高塩分・高アルカリ性という特殊な環境に適応していて、鳥たちの重要な食料にもなっています。
湖畔に立っていると、どことなく海辺を思わせるような香りも感じました。
今回はスケジュールの都合で、サウストゥファに滞在できたのはわずか15分ほど。それでも、トゥファと静かな水面、無数の小さな生きものがつくる独特の景色を見て、「来てよかった」と素直に思えました。短い滞在だったからこそ、あの静かな湖面だけが一枚の写真のように記憶に残っています。
■Mono Basin Scenic Area Visitor Center(モノ・ベイシン・シーニック・エリア・ビジターセンター)
住所:1 Visitor Center Dr, Lee Vining, CA 93541
TEL:+1-760-647-3044
営業時間:9:00〜17:00
定休日:なし(冬季休業)
入場料:無料
駐車場:あり
URL:https://www.fs.usda.gov/organization/Mono%20Basin%20Scenic%20Area%20Visitor%20Center
■South Tufa Area(サウス・トゥファ・エリア)
所在地:Mono Lake, Lee Vining, CA
アクセス:モノ・ベイシン・シーニック・エリア・ビジターセンターから車で約15分
営業時間:24時間
入場料:16歳以上の場合、1人1日あたり3ドル(アメリカ・ザ・ビューティフル・パスがあれば日帰り利用料免除)
駐車場:あり