152. ウズベキスタン旅行の新定番!?砂漠の町ヌラタを起点にアイダルクル湖で湖水浴とユルタ泊のアドベンチャー体験を

公開日 : 2024年08月05日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

ウズベキスタンに旅行にいらっしゃる方の多くは、古都のイスラム建築を見て回り、シルクロードのロマンにどっぷり浸りたいという思いにあふれているはず。しかしここ最近はそれだけではなく、この国ならではのアドベンチャー体験をしたい、アウトドアアクティビティをやってみたい、という方も増えてきています。そんな方にぴったりの見どころが、今回ご紹介するアイダルクル湖。ここは夏に行けばド内陸国でのウズベキスタンではなかなか貴重な、海水浴ならぬ湖水浴ができてしまうところ。さらに砂漠の真っただ中で遊牧民のテント、ユルタでのキャンプ泊もでき、ウズベキスタンの自然を大満喫するのにこれ以上ない場所なのです。

アイダルクル湖はウズベキスタンの国土のちょうど中央、ジザフ州とナヴォイ州にまたがる湖で、面積は3000平方メートルと琵琶湖の約4倍。ウズベキスタン一国におさまる湖としては国内最大です。この湖は昔からあったわけではなく、大河シルダリヤで起こった洪水によりダムから水があふれだした結果できた湖。
なおアイダルクルの「クル」とは湖のことで、アイダルクル湖の表記だと「アイダル湖湖」という意味になってしまいます。そのため資料やガイドによってはアイダル湖やアイダール湖、単にアイダルクルと表すこともあります。

タシケントとサマルカンドの間にある町ジザフからもアクセスできますが、観光客は湖の西側のナヴォイ州ヌラタから向かうのが一般的。このヌラタはサマルカンドとブハラのちょうど中間に位置しているので両都市からツアーが出ており、旅程に組み込みやすいのです。
まずはこのアイダルクル湖の玄関口ヌラタの紹介から。このヌラタの町はキジルクム砂漠南部にあるオアシス都市で、ウズベク人にとってはイスラム教聖者ヌラタ(ヌール・オタ)の霊廟があることで有名。この霊廟の周囲は聖なる泉を意味するチャシュマと呼ばれる巡礼地になっており、その名の通り隕石落下によってできたといわれる泉があり、神聖とされている魚たちが泳いでいます。その背後にはかのアレキサンダー大王が中央アジア遠征の際築いたといわれる要塞があり、あらゆる伝説がてんこ盛りな施設になっています。

アレキサンダー大王ゆかりの要塞から巡礼地チャシュマを眺める
アレキサンダー大王ゆかりの要塞から巡礼地チャシュマを眺める

またヌラタは、ウズベキスタンを代表する伝統工芸である刺繍スザニの名産地でもあります。市内にはスザニ工房があり、立ち寄ってショッピングタイムを設けてくれるツアーもあります。この砂漠の町でスザニを作っているとは何とも意外ですが、スザニ工房に寄る機会があればぜひお気に入りの一枚を見つけてみてください。

ヌラタからアイダルクル湖へは1時間弱、サマルカンドやブハラからだと約4時間。キジルクム砂漠のなかに延びる道路をひたすら走り続けていくとたどり着きます。位置はページ最下部の地図でご確認ください。
不毛な砂地の中に唐突にあふれんばかりの水を湛えた湖が出現するようは感動的で、砂漠を歩き続けた末オアシスを発見したキャラバン隊のような気分になれるかも。

ビーチは遠浅で、泳ぐのが苦手な方も安心して湖水浴ができます。真夏だと温水プールのようにぬるく、いつまでも浸かっていられます。この湖は塩湖なので、水を舐めてみるとしょっぱいはず。
なおこのアイダルクル湖は、2019年に公開された日本ウズベキスタン合作映画『旅のおわり世界のはじまり』のオープニングで登場したロケ地。前田敦子さんファンの方は、エンディングで登場したザーミン貯水池(150. 観光開発が進む「ウズベキスタンのスイス」ザーミン国立公園)とともにぜひロケ地巡りにいらしてください。

ツアーだとここでランチを取ることも多い。湖産の魚を出してくれることも
ツアーだとここでランチを取ることも多い。湖産の魚を出してくれることも

ユルタキャンプは湖周辺に点在しており、申し込む旅行会社によって宿泊するユルタキャンプが異なります。ホテル検索サイトから直接予約できるところもあるようですが、いずれも自力で移動してたどり着くには難しい立地にあるため、送迎手配の可否を確認しましょう。
どのユルタキャンプも、レストランやシャワーなど旅行者向けの設備が整っているはず。

各キャンプで趣向を凝らした料理が提供される
各キャンプで趣向を凝らした料理が提供される

ユルタは一見するとモンゴルのゲルにも似た、フェルトのシートで覆われた円形のテント。伝統的な遊牧民は、このユルタを組み立てて暮らし、砂漠や草原を転々としていました。ユルタの中でも神聖とされているのが天窓で、遊牧民文化が残る国キルギスの国旗には、ユルタから見上げた天窓と太陽が描かれています。中央アジアの文化が丹念に描かれた歴史漫画『乙嫁語り』にも、このユルタが何度か登場しています。

このユルタキャンプでの楽しみがラクダ乗り。シルクロードと聞けば真っ先に思い浮かぶであろう動物ラクダですが、実はウズベキスタンでラクダに乗れる機会はそう多くはなく、ここはラクダに乗れる貴重な場所なのです。今までラクダに乗ったことがある方も、ぜひ体験してみましょう。ラクダの背から目を凝らすと、砂漠の中を小動物マーモットがちょこまか動き回っているのが見られるかもしれません。

そして夜の楽しみが、ゲスト皆で火を囲むキャンプファイヤー。ただの火のはずなのに、なぜか砂漠のなかで眺める炎は特別な気がするのです。私がここを訪れる前に滞在した方が、キャンプファイヤーで気づいたけどやっぱり火にはいつまでも見つめていたくなる不思議な力がある、ゾロアスター教で火が崇められた理由がちょっとわかったよ……と真面目な顔でおっしゃっていたのですが、体験してみると確かにその通りだと認めざるを得ませんでした。
カザフスタン国境に近いこの砂漠地帯の住民は主にカザフ人。というわけでたいていのユルタキャンプでは、このキャンプファイヤーの際にカザフ民族の弦楽器ドンブラの弾き語りショーをやっています。満天の星空の下、美しい音色を奏でるドンブラを弾きながら朗々と歌い上げる弾き手のパフォーマンスはまさに圧巻。言葉は分からなくともしんみりと聞き入ってしまいます。

このヌラタ・アイダルクル湖・ユルタステイという3点セットに、日程が許すなら別の見どころを加えることもできます。最近欧米人旅行者を中心に人気が出始めているのが、ヌラタの町の東側にあるヌラタ山地の小さい村に滞在すること。特にセントーブ村は、設備が整ったゲストハウスがあるため旅行者が訪れやすい村です。
一方ヌラタの南側、地方都市ナヴォイから車で1時間ほど北に行ったところにあるのがサルミシュ渓谷(サルミシュサイ)。ここでは岩肌に描かれた人や動物の岩絵が見られます。描かれた時代は定かではありませんが、最も古い岩絵は石器時代にまでさかのぼるとのこと。渓谷に沿って何と1万点もの岩絵があるといわれています。ここを訪れる観光客はまだまだ少ないですが、これから評判の観光地になっていくかもしれません。

サルミシュ渓谷の岩絵
沢に沿って岩絵が描かれた岩がそそり立つサルミシュ渓谷

なおこのアイダルクル湖やユルタツアーは、ウズベキスタンの大手旅行会社ならどこでも手配が可能です。私はサマルカンドでカフェを営業されている日本人経営旅行会社SRP TRAVEL(89. 日本人・ウズベク人夫婦経営のカフェ Ikat Boutiques Cafeはサマルカンド旅の心強い味方)に手配していただきました。いずれの旅行会社も手配できるユルタや車両に限りがあるため、できれば早めに申し込むのがいいでしょう。

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

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