ポルトガルの音楽「ファド」が楽しめるレストラン
ファドを聴きに行ってみよう
「ファド(Fado)」は、19世紀前半にリスボンの下町で生まれた大衆音楽。元は酒場などで歌われる庶民の音楽でしたが、直に上流階級へと広がります。そして、国内はもちろん世界的な名声を得るファド歌手も現れ、ポルトガルを代表する音楽となりました。2011年にはユネスコの無形文化世界遺産にも認定されています。
実は私は「哀愁たっぷり」「日本の演歌みたい」との声もあり、ファド鑑賞をなんとなく後回しにしていたのですが、海外からやってきた友人がぜひ!というので、出かけてきました。するとこれが思った以上に楽しかったです!
ポルトガルを訪れたなら、せっかくなのでぜひ一度、体験してみてください。
さて、どこに行こうか迷うところですが…
ファドは、現在もリスボンの下町、アルファーマ(Alfama)やバイホ・アルト(Bairro Alto)の「カザ・デ・ファド(Casa de Fado)」と呼ばれるレストランやバーで聴くことができます。
私たちは、アルファーマの辺りを歩いていたときに見つけた、お店を紹介する日本の雑誌の切り抜きを貼り出してあった「カザ・デ・リニャレス(Casa de Linhares)」を選んでみました。
テージョ川のほとりに16世紀に建てらたというルネサンス様式のこの館は、ポルトガルの名門、リニャレス伯爵一家が住んでいたそうです。館の一部は1755年のリスボン大地震で崩壊したものの、柱などにかつての名残が見られるとのこと。ヴォールト天井の店内は雰囲気があります。
3人で予約し、言われた通り20時の開店時間に到着したところ、ステージ真前のとても良い席が用意されていました。
ショーは21:00からで、その前に食事を注文し、ドリンクや前菜を食べつつ、ショーの開始を待ちます。
食事と音楽を楽しむ長い夜
ショーは3部構成で、1つ目と2つ目のステージの合間にメインコースがサーブされます。そして、2つ目のステージの後がデザートです。
本格的なポルトガル料理で、私たちはアラカルトで頼みましたが、コースメニュー(85€)もあります。かなり量が多く、前菜やデザートをシェアしても食べきれないほどでした…。
ファドは通常、歌い手のファディスタと、ポルトガルギター演奏者のギターラ、ギター演奏者のヴィオラの3名で演奏されるそうです。この晩のショーでは、ギターラとヴィオラ2名だけの演奏や、男女2人のファディストがデュエットする4名のナンバーなどもありました。
また、ファドは去っていく恋人、楽にならない暮らしなど暗く悲しいテーマを切々と歌い上げるイメージでしたが、実際は、お店のあるアルファーマについての歌など、アップテンポの明るい曲もたくさんありました。
私が特に気に入ったのはポルトガルギターの音色。この12弦の民族楽器を演奏するのはかなり難しいそうです。
ファディスタ不在の演奏では、ギターと歌の合いの手のように奏でられるポルトガルギターを堪能できました。
地元の常連さんか国内の旅行者かな?というテーブルがいくつかあって、お客さんが曲のリクエストをしたり、一緒に歌う場面もありました。ショーは和気藹々とした雰囲気で22時半頃に終了。我々は23時ごろには帰路に着きましたが、お店は毎日午前2時まで営業しているそうです。
たまには、こんな風にリスボンの夜を楽しむのもいいものですね。
(撮影by東リカ)
※撮影写真の掲載許可をいただいています。
※写真の無断転載禁止
Casa de Linhares
- 住所
- Beco dos Armazéns do Linho 2, 1100-037, Lisboa
- URL
- https://casadelinhares.com/
- 電話
- +351 910 188 118(携帯)、(+351) 218 239 660(固定)
- メール
- info@casadelinhares.com
- 営業時間
- 毎日20:00 〜 02:00
- ファド鑑賞費
- 15€
- ※
- 電話もしくはメールで予約できます。
筆者
ポルトガル特派員
東リカ
ポルトガル、リスボン在住のフリーライターです。
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