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旬は秋だと思われがちの「きのこ」ですが、雨の多いアメリカ北西部の都市・ポートランドやシアトル周辺では、秋以外の季節でも美味しいきのこが食べられます。今回は、レアな野生きのこに挑戦できる、美しい隠れ家的レストランを紹介します。ワイン好きにもおすすめです。ポートランドを訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。
シアトルやポートランドは、冬場の降水量が多いことで知られるアメリカ太平洋岸北西部の街。10月から5月ごろまでシトシトと降る雨に、暗い気持ちになってしまうという人もいますが、この雨こそが、美しい緑、それに美味しいきのこをもたらしてくれます。
秋だけではなく、どの季節にもその時期だけの美味しいきのこがあります。たとえば、春はモレルマッシュルーム(アミガサタケ)やスプリング・キング(ポルチーニ)、冬はオレゴン・トリュフなどがあります。
きのこが大好きな筆者は、今住んでいるポートランドで「オレゴン・マイコロジー・ソサエティ(きのこ同好会)」の会員になり、せっせときのこ狩りに出かけています。けれども、野生のきのこを収穫できるかは運もあり、いつもお目当のきのこを味わえるとは限りません。
そんな「あのきのこを食べないうちに、この季節が終わってしまう」という悩みを解決してくれるのが、「ザ・ジョエル・パーマー・ハウス(The Joel Palmer House)」です。一年を通して野生のきのこを食べさせてくれる、きのこ好きにはたまらないレストランです。
「ザ・ジョエル・パーマー・ハウス」があるのは、オレゴンのワイン生産地、ウィラメットバレーにある街、デイトン。ポートランドから南西に約55キロメートル、高速道路を使い1時間強の所にあります。
道路からちょっと奥に入った場所にある白いファームハウスは、1857年にデイトンの街を築いたパイオニア、ジョエル・パーマー氏の自宅として建てられた歴史的建造物。
1996年に、きのこ狩りと洗練された食事を愛するペンシルバニアのシェフ一家がこの家を買い取り、レストランへと改築しました。美しい邸宅内はもちろん、天気のよい季節は、緑豊かな美しい庭でのダイニングも可能です。
現在は、一家の100年にわたる伝統を4代目が継いで、家族や友人が手に入れた野生きのこを使った料理を提供しています。
また、オレゴンのワイン生産地にあるという地の利を生かし、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、シャルドネ(これらはぶどうの品種)を中心とした地元産のワインをたくさん揃えています。なお、ワインの持ち込みも歓迎しています(コルクフィーは25ドル)。
筆者がレストランを訪れた5月中旬のメニューは、アペタイザー、メインコース、デザートのリストからそれぞれ1品を選ぶ「3コースメニュー」(59ドル)か、「マッシュルーム・マッドネス・テイスティングメニュー」という5品のコース(85ドル)の2種類でした。
せっかくですから、「マッシュルーム・マッドネスメニュー」に挑戦です。
「ザ・ジョエル・パーマー・ハウス」は、メキシコや中国、タイ、ポーランド、インドなどからインスピレーションを得る「フリースタイル」の形式で、地元の食材を生かした季節料理を提供しています。
また、「ジョーの野生きのこのスープ」や「ハイディの3種のきのこのタルト」、「ジャックの野生きのこのリゾット」など、シェフの家族に代々伝わるレシピで作る自慢のきのこ料理も楽しめます。
今回の料理で使われていたきのこは、モレル、スリッパリージャック、イエローフット、ブラックトランペットなど。デザートは、甘い香りが特徴の「キャンディキャップ・マッシュルームのクリーム・ブリュレ」のきのこ入りです。
オーダーした「マッシュルーム・マッドネスメニュー」のコースは、ボリュームもたっぷりで、食べきれないほど。ちょっとお高いですが、また別のきのこのシーズンにも訪れたいと思わせる絶品料理ばかりでした。
「ザ・ジョエル・パーマー・ハウス」で絶品のきのこ料理を味わいたいのなら、ぜひとも予約をしてからレストランへ向かいましょう。公式サイトから簡単に予約をすることができます。
いかがでしたか。なかなか食べることができない野生のきのこ。ポートランドに来たら、ワイナリー巡りとあせてデイトンまで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。