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イタリアでは、食習慣のひとつとなっているアペリティーボ。アペリティーボとは、食事の前に軽食をつまみながらお酒を楽しむ習慣です。おいしいおつまみとアルコールを片手に、気の置けない仲間と語らうアペリティーボは、イタリアを象徴する文化と言えるでしょう。そのアペリティーボに欠かせない飲み物が、ヴェルモットです。近年、イタリアのトリノやミラノで大旋風を起こしているお酒です。今回は、そんな人気急上昇中のヴェルモット造りに挑戦した様子を紹介します。
アペリティーボ(Aperitivo)とは、直訳すると食前酒という意味になります。おしゃべり好きで、しかも夕食の時間が比較的遅い20:00頃からスタートという家庭が一般的なイタリアでは、仕事の後やレストランへ食事に行く前に、食前酒を一杯飲む習慣があります。それをアペリティーボと呼んでいます。
イタリアでは、食前酒を注文すると、飲み物代金だけで、ポテトチップスやオリーブ、一口サイズのピッツァやお惣菜など、お店の趣向により、おつまみが一緒に提供されます。あるいは、おつまみがビュッフェサービスになっているお店もあります。
アペリティーボに欠かせないお酒が、ヴェルモット(Vermouth)です。アペリティーボ(食前酒)やディジェスティーボ(食後酒)、さらには、カクテルの材料にも使われるトリノ生まれのお酒です。お酒のカテゴリーとしては、フレーバード・ワインに分類されます。
フレーバード・ワインとは、ワインをベースにした液体に、ハーブやスパイスを加え、独特の香りや風味を楽しむお酒を指します。
ヴェルモットの名前は、ニガヨモギ(Wermuth)という意味のドイツ語に由来します。製造当初は、ヨモギやローズマリー、セージなどが使用されており、消化や胃薬としての扱いもあったそうです。このように、医学が進歩していたドイツ語が使われたという話をヴェルモットの老舗生産者さんから聞いて納得です。
アペリティーボには、食欲増強効果のあるヴェルモットをいただきましょう。そして、食後には、消化作用のあるヴェルモットで締めるとよいです。理にかなったヴェルモットは、昔から重宝されていました。近年では、発祥地のトリノやミラノなどの都市で、アペリティーボには欠かせない、身体によいお酒として再注目されています。
再ブーム到来のトリノ生まれのお酒、ヴェルモット!
そんなヴェルモットにもっと親近感をもってもらおうと、トリノ・ヴェルモット協会とトリノの地元紙『ラ・スタンパ』の企画により、ヴェルモット造りの半日セミナーが開催されました。
先述したとおり、ヴェルモットは、フレーバード・ワインに分類されます。ベースとなる白ワインが用意され、そこへ、好みのハーブやスパイスを加えていきます。
本来、ハーブやスパイスを加えると、約40日間は漬け込む必要があるのですが、テクノロジーが進んだ現代では、アロマ液を使用します。スパイスやハーブから抽出されたアロマ液を利用することで、短時間でヴェルモットを造ることができます。
ハーブやスパイスには、苦みのある薬草や、爽やかな風味を与える薬草のなかから選ぶとよいでしょう。そして、独特な香りづけには、柑橘系やヴァニラを加えるのがおすすめです。これらは、アフリカ、アジア、南アメリカなど原産地による分類がされています。
それぞれのアロマ液は、基本的な最滴数がありますので、それに従ってもよいでしょう。または、独断で、香りを嗅ぎ、味見をし、自分の好みの1本に仕上げもよいです。うまく調合ができたら、ボトルへ注入し、生産者名(自分の名前)を入れます。ついに、世界に1本しかないヴェルモットのできあがりです。
いかがでしたか。イタリアに到着した当日や食べすぎた翌日など、手軽に夕食を済ませたいという旅行者の方にはアペリティーボがおススメです。外席が気持ちのよい季節に、イタリアでアペリティーボを楽しんでみてはいかがでしょうか。