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紀元前800年頃に拓かれたローマは、「永遠の都」と称される古代都市。古代ローマ時代の遺跡と中世のバロック建築物が混在する町並みは、世界でも唯一無二です。可憐なバロックの傑作と遺跡が織り成す町を歩いて、3000年の時空を超える歴史の旅へ出かけましょう!
●場所
イタリアの中部、地中海に面した西海岸に位置しています。「すべての道はローマに通じる」と言われるとおり、今も昔もイタリア国内の交通の要衝。ヴェネツィアやフィレンツェ、ミラノ、ナポリなどイタリアの主要観光地へは鉄道で2~4時間でアクセスできます。
●町の概要と観光エリア
町の中心はヴェネツィア広場。直径5km程度の範囲が、ユネスコの世界遺産に登録されている旧市街となっています。かつては城壁がぐるりと取り囲んでいましたが、現在は一部を残し取り壊されてしまいました。見どころはほとんどがこの旧市街にあります。
旧市街の西にはテヴェレ川が流れていて、川を渡った先が「世界最小の独立国家」にしてローマ教皇の住むヴァティカン市国。ヴァティカンの南には、ローマの下町ことトラステヴェレ地区があります。観光スポットは市内各所に点在しているので、徒歩で回るのはまず無理。地下鉄のほか、循環バスのパノラミック・オープン・ツアーを利用して効率よく回りましょう。
●コロッセオ/Colosseo
紀元後72年、古代ローマ帝国のヴェスパシアヌス帝により建築が始められた、円形闘技場。直径約188m、高さ約57mの巨大建造物で、5万人もの観客を収容できたといわれています。客席の中央には剣闘士たちの戦った闘技場(アリーナ)が、地下には剣闘士と戦うために連れてこられた動物たちを収容した檻があります。
ローマでも随一の観光スポットで、以前はチケット購入はいつも長蛇の列でした。現在は感染症対策のため、チケットはウェブサイトで事前に購入しなくてはならない。(人数制限あり。他の主要観光スポットも人数制限がありチケットの事前購入必須のところが多数あります)。
■コロッセオ/Colosseo
・住所: Piazza del Colosseo
・URL: https://parcocolosseo.it/en/area/the-colosseum/
コロッセオとフォロ・ロマーノのチケット購入ウェブサイト
・URL: https://www.coopculture.it/colosseo-e-shop.cfm
●フォロ・ロマーノ/Foro Romano
ローマ建国の地であるパラティーノの丘の麓に広がる、古代ローマ時代の都市遺跡。フォロとは「フォーラム(集会所)」の語源となった言葉で、その名のとおりかつては集会や裁判、政治・商業活動が行われた公共広場でした。
東西約300m、南北約100mの遺跡内には、「バジリカ」と呼ばれる会堂のほか、神殿、裁判所、凱旋門などの遺構が並んでいます。見どころはサトゥルヌスの神殿やユリウスのバジリカ、ティトゥスの凱旋門など。コロッセオのすぐ横にあり、チケットも共通です。
■フォロ・ロマーノ/Foro Romano
・住所: Via della Salara Vecchia
・URL: https://parcocolosseo.it/area/foro-romano/
●トレヴィの泉/Fontana di Treví
1762年に建築家のニコラ・サルヴィにより建造された、バロック建築の傑作。青い水をたたえる泉の奥にあるのはポーリ宮殿で、壁面に刻まれた勝利のアーチの下には海の神ネプチューンと海馬を操るトリトン(ネプチューンの息子)が悠然と立っています。
実はこの泉、最初は古代ローマ時代に造られたのですが、その後破壊され、中世になってから再建されたもの。“泉を背にコインを投げ入れるとローマにもう一度戻れる”という言い伝えがあるため、観光客がひっきりなしに訪れます。
●ナヴォーナ広場/Piazza Navona
古代ローマ時代に造られた広場。南北約275m、東西約106mと細長い形をしていますが、これは最初に戦車の競技場として造られたため。
広場の中央にあるのは、イタリアを代表する彫刻家、ベルニーニ作の『四大河の噴水』。像は古代ローマ時代のオベリスクを中心にナイル(アフリカ)、ガンジス(アジア)、ドナウ(ヨーロッパ)、ラプラタ(南米)という世界の4つの大河を表す像が立っています。4大河の中心は空洞になっていて、そこに水を飲みに来た動物たちの像があるのがわかります。
●パンテオン/Pantheon
ローマに現存する建造物のうち最も古いもので、世界最大の石造建築物です。パンテオンとは「すべての神々のため」という意味で、多神教を祀る神殿として利用されていました。前室(入口の前方部分)には太さ約4.5mの石柱が16本並び、入口には建築当時のものとされる巨大なブロンズの扉があります。
直径約43.3mのクーポラ(円屋根)の天窓からは太陽の光が注がれ、神秘的な雰囲気が漂います。現在は教会や国の偉人を祀る記念堂としても利用されていて、ラファエッロやイタリア国王の墓などが見られます。
■パンテオン/Pantheon
・住所: Piazza della Rotonda
・URL: https://www.pantheonroma.com/home-eng-pentecost/
●サン・ピエトロ大聖堂/Basilica di San Pietro
ヴァティカン市国にある、ローマ法王庁・カトリック教会の総本山。キリストの弟子であるサン・ピエトロ(聖ペテロ)の墓の上に建っています。内陣の総面積は1万5160㎡で、11の礼拝堂と45の祭壇があります。
ミケランジェロ作の彫像『ピエタ』やクーポラ、天井を埋め尽くすフレスコ画など豪華絢爛な装飾は感動すること間違いなし! クーポラの真下にはねじれた4本の支柱が支えるブロンズの天蓋(ベルニーニ作)があり、そのさらに下にある聖ペテロの墓が、教会の中でも最も神聖な場所とされています。
■サン・ピエトロ大聖堂/Basilica di San Pietro
・住所: Piazza San Pietro
・TEL: 06-6988-3731
・開場時間: 7:00~18:30(クーポラは7:30~17:00)
・定休日: 1/1、1/6
※宗教行事により入場不可の場合あり
・料金: 無料(クーポラは€8~)
●ヴァティカン博物館/Musei Vaticani
歴代のローマ教皇が集めた美術品を収蔵・展示する博物館です。現教皇の住居であるヴァティカン宮殿のなかにあります。
ミケランジェロの最高傑作『最後の審判』があるシスティーナ礼拝堂のほか、ダ・ヴィンチの『聖ヒエロニムス』やラファエッロの『キリストの変容』と『フォリーニョの聖母』、カラヴァッジョの『キリスト降架』などが見られる絵画館(ピナコテーカ)や、ラファエッロがフレスコ画を描いたラファエッロの間など、空前のイタリア美術コレクションがずらり。現在は感染症対策のため、チケットはウェブサイトで事前に購入しなくてはならない。
■ヴァティカン博物館/Musei Vaticani
・住所: Viale Vaticano 100
・URL: http://www.museivaticani.va/content/museivaticani/en.html
●ボルゲーゼ美術館/Museo e Galleria Borghese
イタリア貴族のボルゲーゼ家によるプライベートコレクション。1902年にイタリア政府により買い上げられ、一般に公開されました。
内部は1階が彫刻館、2階が絵画館になっていて、彫刻館にはカノーヴァの『パオリーナ・ボルゲーゼの肖像』やベルニーニの『ダヴィデ』が、また第8室はカラヴァッジョの部屋となっています。2階の絵画館のメインは、ラファエッロやティツィアーノ、ドメニキーノなどの宗教画。美術品の総点数は多くはないものの、選りすぐりの作品が揃っています。
■ボルゲーゼ美術館/Museo e Galleria Borghese
・住所: Piazzale Scipione Borghese 5
・URL: https://galleriaborghese.beniculturali.it/
●スペイン広場
Piazza di Spagna
ベルニーニ作の舟の噴水がある広場。ここからトリニタ・デイ・モンティ教会まで続くのがスペイン階段で、オードリー・ヘップバーン不朽の名作、『ローマの休日』においてアン王女とジョーがデートで訪れた場所がここです。
アン王女が階段に座りながらジェラートを食べるシーンはあまりにも有名で、まねしたがる観光客がたくさんいますが、現在は階段での飲食はおろか立ち止まるのも禁止となってしまいました。
●真実の口
Bocca della Verità
こちらも『ローマの休日』のふたりのデートシーンに登場します。サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の入口の柱廊横にあり、観光客でいつも大行列! トリトンの顔をモチーフとした円盤で、元は古代の井戸や下水口の蓋だったのではないかといわれています。嘘つきが口の中に手を入れると食べられてしまうという言い伝えがあり、映画ではジョーがふざけて手を食いちぎられた風に演技し、それを見たアン王女は悲鳴をあげてしまいます。
■真実の口/Bocca della Verità
・住所: Piazza Bocca della Verità 18
・TEL: 06-678-7759
・開場時間: 夏季=9:30~17:50 冬季=9:30~16:50
・定休日: なし
・料金: 寄付程度
●カラカラ浴場/Terme di Caracalla
古代ローマの公衆浴場をテーマとした映画『テルマエ・ロマエ』。映画ではハドリアヌス帝(128~138年頃)の時代を舞台としています。当時のローマには800もの公衆浴場があったとされ、カラカラ浴場もそのひとつ。
造られたのは212~217年頃のカラカラ帝の時代と、映画の設定よりはやや新しいものとなっています。1600人が同時に入浴でき、浴槽の左右にはサウナまで備えていた世界最大級の浴場です。7~8月の夜には野外オペラが開催され、そのスケール感はまさに圧巻です。
■カラカラ浴場/Terme di Caracalla
・URL: https://www.coopculture.it/en/heritage.cfm?id=6
●ローマピッツァ
イタリアといえば、やっぱりピッツァは外せません。もちもちのナポリピッツァとは違い、ローマのピッツァはパリパリとした軽い食感が特徴。シンプルなモッツァレラ&トマトのマルゲリータから生ハム、アーティチョークなど具材たっぷりのピッツアまで。1枚1枚窯で焼き上げるピッツァは、直径30cmのビッグサイズばかり! でも、ローマっ子はひとり1枚ぺろりと食べてしまいますよ!
<ローマピザの人気店>
■ダル・ポエタ/Dar Poeta
・住所: Vicolo del Bologna 45
・URL: http://www.darpoeta.com/en/dar-poeta-en/
●ローマ名物のパスタはこちら!
日本でもおなじみのカルボナーラは、実はローマが発祥。本場では生クリームを使わず、卵と羊乳のチーズ、ペコリーノ・ロマーノで作ります。仕上げに黒こしょうをまぶすのが肝だとか。また、グアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)とトマトソースのアマトリチャーナもローマの名物。スパゲティのほかリガトーニなどのショートパスタで食べるのが定番です。
<ローマのパスタ人気店>
■フェリーチェ・ア・テスタッチョ/Felice a Testaccio
・住所: Via Mastro Giorgio 29
・URL: http://feliceatestaccio.it/en/
ローマはイタリアの首都だけあって、高級ブランドからアウトレット、デザイン雑貨までなんでも揃うショッピング天国! 高級ブランドのブティックが多いのは、スペイン広場から西に延びるコンドッティ通り。道の両脇にきらびやかなショーウインドウが並び、セレブ御用達のブランド・ブティックがずらり。
パスタやワイン、チーズなどイタリアらしい食材を買いたいなら、地元のスーパーや食材デパートのイータリーへ行ってみましょう。
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南北に細長いイタリアの中部に位置するローマは、四季がはっきりと分かれており、月別の平均気温は東京とほぼ同じ。ただし、降水量は日本と逆になり、夏は雨が少なく乾燥し、冬は雨が多くなります。
■ローマ(イタリア)の天気&服装ナビ
・URL: https://www.arukikata.co.jp/weather/IT/ROM/
市内の見どころを回る循環バス、パノラミック・オープン・ツアーが便利です。コロッセオやトレヴィの泉などの観光名所9ヵ所を回り、好きな場所で乗り降りできます。乗車中にはテープにより日本語のガイドも聞けますよ。
グリーン・ライン・ツアーズ
・URL: http://www.greenlinetours.com/tours/hop-on-hop-off/
古代ローマの遺跡と華麗なバロック建築を回るのが、ローマの醍醐味! 町は広いので、観光には最低でも2日は必要です。パリパリのローマピッツァや名物パスタを食べるのもお忘れなく。
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TEXT:グルーポ ピコ
PHOTO:武居台三、iStock
※本記事の観光関連情報は2020年6月1日現在のものです。
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