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コロナ禍で海外旅行の門が閉ざされて約半年。近場探索や国内旅行に気持ちを切り替えて楽しんでいる方も多いかもしれません。でもやっぱり行きたい海外……そして今や遙か遠くに感じるヨーロッパ。そんななか、aruco編集部が今(気持ち的に)行きたいドイツの“魅力的な小さな町”をプランでつなぎました! 次の旅行計画参考に、今すぐ旅立てる妄想トリップとして、最新版『arucoドイツ』や『地球の歩き方 A14 ドイツ』とともにお楽しみください♪
今回は以下の7つの町(村)をセレクト。選んだ多くの町に共通するのは、戦禍をほとんど受けなかったために、古い建築がきれいに残っていること。また、多くの観光客が押しよせる場所ではないこと。それゆえ、アクセスが不便なところが多いですが、きっと旅感を満喫できる、すてきなドイツ旅行になるはず。ミュンヘンIN、ベルリンOUTにすれば、主要大都市の様子を肌で感じ、小さな町とのギャップも楽しむことができると思います!
ミュンヘンIN
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1.オーバーアマガウ(ミュンヘンから日帰り)
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2.ネルトリンゲン
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3.ディンケルスビュール
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4.バンベルク
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5.クヴェトリンブルク
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6.ヴェルニゲローデ
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7.ツェレ
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ベルリンOUT
ドイツ南部、オーストリアとの国境にほど近い場所にあるオーバーアマガウは、ミュンヘンから鉄道で約1時間50分。村の中心地から南に伸びるエッタール通りを歩いて行くと、『赤ずきん』や『ヘンゼルとグレーテル』などのグリム童話のフレスコ画が描かれた民家が建ち並びます。緑に囲まれたこぢんまりとした田舎の村に鮮やかな壁画という意外性が楽しめます。
また、オーバーアマガウと言えば、10年に一度、村の人々が上演する「キリスト受難劇」で有名。17世紀に猛威をふるったペスト被害が奇跡的に少なかったことに感謝して1634年以来、380年以上も上演を続けていて、次の上演は2022年を予定(2020年の上演予定だったのが新型コロナウイルスの影響で延期に)。ペストを乗り越えてきた過去の奇跡にあやかりたいと感じる今日この頃です。
ミュンヘンからネルトリンゲンまでは、鉄道で約1時間30分。ネルトリンゲンは旧市街のまわりをぐるりと城壁に囲まれた城塞都市。空撮写真で見ると、きれいな円形をしています。なんと、1500万年前の隕石落下によってできた“リース盆地”の中に町が形成されているという珍しい町なんです。
町の中心にある「聖ゲオルク」教会は、隕石衝突によってできた岩石が建築の一部に使われていて、時を超えてパワーをいただけそう! また、教会塔の上からは、オレンジ屋根のすばらしい町並みが見渡せます。
ネルトリンゲンからディンケルスビュールまではバスで約40分。主要町からのアクセスに時間がかかることもあり、観光客が少なめの穴場タウンです。
城壁に囲まれた旧市街は中世の面影をそのままに感じさせてくれ、町の中心にある「聖ゲオルク教会」や15世紀半ばに建てられた木組みの建築「ドイチェス・ハウス」(今はホテルレストランとして営業中)が見どころ。
ピンクや黄色のかわいらしい外壁にオレンジ屋根の木組みの家は、まさに絵本の中の世界。目を見張るような派手な観光名所はないけれども、素朴さもこの町の魅力のひとつです。
ディンケルスビュールの素朴な町並みを堪能したあとは、世界遺産の町バンベルクへ。ディンケルスビュールからバンベルクまではバスと鉄道で約2時間30分。途中の乗り換え駅ニュルンベルクはおもちゃの町、ドイツ最大級の訪問者を誇るクリスマスマーケットの町として有名で、ここに寄るのもおすすめ。
さて、バンベルクの町の中心にはマイン川の支流であるレグニッツ川が流れ、川沿いにはかつて漁師たちが住んでいた家々が並ぶ「小ヴェネツィア地区」が見られます。また、うっとりするほどに美しい壁画に思わず見とれてしまう旧市庁舎や、天に向かって堂々と伸びる約81mの尖塔をもつ大聖堂も必見です。
風情ある石畳の路地に約1300軒もの木組みの家が残る、ドイツ最大規模の文化遺産の町クヴェトリンブルク。ドイツ中央よりも少し北側に位置するハルツ地方にあり、ベルリンからは鉄道で約3時間15分、前の段落で紹介したバンベルクからアクセスすると、鉄道で約3時間40分です。やはり宝石のような町探しはアクセスに苦労がつきものかもしれません。
クヴェトリンブルクの魅力は、どこを歩いても、かわいらしい木組みの建築に出合えること。それぞれ違う特徴をもつ家の外観を見て楽しみながら、あちこち散策するのが楽しい町です。小高い丘の上に建つ「城山(シュロスベルク)」から見渡す絶景の町並みも必見。また、木組みの家を利用したホテルに宿泊するのもすばらしい思い出になるはず!
クヴェトリンブルクのロマンティックな町並みを堪能したあとは、おとぎの町ヴェルニゲローデへ。鉄道で約40分の道のりです。
色鮮やかな木組みの家が残るヴェルニゲローデは、魔女が集まるというブロッケン山に向かうSL(ハルツ狭軌鉄道)の始発駅。ドイツらしい、すてきな物語の一部に自分が入り込んだ間隔に陥りそうな、ハルツ地方ならではの中世の風情あふれる町です。
町の中心マルクト広場に面して建つ市庁舎は、とんがり屋根と尖塔がかわいらしい見た目で、まるで今にも魔女が登場しそう! 町にはユニークな魔女グッズがあふれ、つい愛着がわいて買ってしまいます。SLでブロッケン山頂を目指し、山頂周辺でハイキングを楽しむのもおすすめです。
ヴェルニゲローデからツェレまでは鉄道で約2時間45分。地図上では近く見えるのですが、乗り換えが2回必要です。
ツェレはこれまで紹介した町のなかでも、木組みの家の色や形、並び方などがきれいで、まるで映画のセットのよう! 特に美しいと言われる建物「ホッペナーハウス」はレンガ色の外観にカラフルな木彫りの装飾が施され、手の込んだ作りに見とれてしまいます。
また、町には白亜の壁と緑のドーム屋根が優美な城もあり、かつての大公の居室や陶器のコレクションが展示されています。
ツェレからベルリンまでは約2時間20分。これで小さな町を巡る旅は終わりです。最後に大都市ベルリンでドイツ最先端のカルチャーを楽しみ、これまで体感した中世空間から未来へ逆タイムトリップを楽しんで!
●女子旅応援ガイド
『arucoドイツ 2021~2022年版』(2020年9月配本)
●掲載都市数No.1
『地球の歩き方 A14 ドイツ』(2020年8月配本)
また海外に出られるようになるまで、見て読んで知識をたくわえつつ、ドイツの旅行情報をおうちで楽しんでいただけると幸いです。
aruco編集部 福井由香里
写真:©iStock