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【フランス・パリ 旅の最新事情】生活で必須となった衛生(ワクチン)パスとウィズコロナで暮らす町の様子を在住者がレポート

守隨 亨延

守隨 亨延

フランス特派員

更新日
2021年10月6日
公開日
2021年10月6日
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パリのオペラ座(オペラ・ガルニエ)とその前に立つCOVID簡易検査所

ワクチン接種率が約85%に達したフランスでは(2021年10月3日時点)、衛生パスの導入によるウィズコロナの生活が浸透し、以前に増して制限が緩和されています。マスクの着用義務は一部で残りますが、多くの人が外出し各種イベントも再開。新しい生活様式にも慣れてきました。今定められているルールと、そのパリでの様子をお伝えします。

衛生パスとは何か

新型コロナ対策アプリ「TousAntiCovid」の画面

今やフランス生活で必須となっているのが衛生パス(Pass sanitaire:パスサニテール)です。衛生パスとは、「ワクチン接種証明」「陰性証明」「治癒証明」のいずれかの証明情報をQRコード化したもので、12歳以上の場合、指定された施設へ入場する際に提示義務があります。

衛生パスのQRコードは紙で持ち歩くこともできますが、フランス政府の新型コロナ対策アプリ「TousAntiCovid」をスマホに入れ、デジタルパスとして携行するのが便利です。

「TousAntiCovid」の接触確認検知をオンにしましょうというポスター

衛生パスは、フランスへ来る外国人観光客も申請できます(後述)。外国人観光客の場合は、「ワクチン接種証明」と「陰性証明」の衛生パスのみ取得可能です(「治癒証明」については申請できません)。

「ワクチン接種証明」とは、ヨーロッパ医薬品庁により承認されたワクチン、または同等のワクチン接種を完了し、接種後に定められた期間が経過した後に証明として使えるものです。1回接種型のワクチン(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の場合は、接種後から4週間以上、2回接種型のワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ)の場合は、2回目から接種後7日以上、新型コロナ感染からの回復者は1回のみ接種で、その接種後から7日以上空くと、証明として有効となります。

「陰性証明」とは、PCR検査または抗原検査による、新型コロナウイルスに感染が陰性であるという証明です。検査を受け結果が分かるとQRコードが発行されます。検査から72時間以内のものが有効です。

どの場面で衛生パスが必要なのか

ルーヴル美術館併設ショッピング施設「カルーゼル・デュ・ルーヴル」のフードコートに貼られた「衛生パス必須」の注意書

観光で訪れた時に、衛生パスが必要になるのは次のような施設です。

バーやレストランとそのテラス席、TGVや夜行列車、地域間をつなぐ長距離バス、国内線航空便、サーカス、演劇会場、スポーツ・文化イベント会場、講演会場、セミナー、見本市会場、動物園や遊園地を含む屋外施設、スタジアム、スポーツ施設、プール、ジム、大型カジノ、遊戯・ボーリング施設、屋外フェスティバル会場、映画館、劇場、美術館や博物館など、展覧会場、図書館やメディア図書館(大学などの施設を除く)、スポーツ競技会場、公共スペースや一般に開放された場所で入場を制限する文化・スポーツ・娯楽・祝祭イベント、宗教行事を行う宗教施設、クルーズ船、ディスコやダンスをするクラブやバー、屋台数が30以上の縁日など。

パリ市内を走る地下鉄やバス、スーパーなどでは衛生パスの提示は必要ありません。

オペラ・ガルニエの前にある抗原検査による検査場

ワクチン接種証明を根拠とした衛生パスを持っておらず、陰性証明を衛生パスとして使っている人で、かつ検査から72時間を過ぎてしまっている場合は、入場や入店ができません。その際は、町中に点在する検査所や薬局などで、抗原検査を受けて結果をもらうことができます。15〜20分で結果が判明するため、その場で陰性証明を取得できます(有料)。

私も実際に薬局で検査をしたことがありますが、すんなりと検査結果をもらえました。検査結果はその場でメールとSMSに送られます。送られてきた内容に不明点がある場合やQRコードの表示の仕方が分からない場合は、その場で検査所や薬局の人に聞いてみましょう。

施設におけるパス確認の様子

ルーヴル美術館でモナ・リザに並ぶ人々

実際にいくつかの施設を訪れて、衛生パスを体験してみました。まずパリにあるルーヴル美術館。屋外から屋内に入る最初に、衛生パスの確認があります。今回は正面にあるガラスのピラミッドの入口から入りましたので、そのピラミッド前でチェックがありました。係員が端末を使いQRコードを読み取ります。屋内に入った後に、チケットを確認するフロアがあります。

美術館では時間ごとに入場者数の制限を行っています。ミュージアムパスなどで入る際も時間指定が必要ですので、公式サイトからあらかじめ予約していくことをおすすめします。ちなみに、モナ・リザの混み具合ですが、私が訪れた日は、コロナ禍前と比べてまだまだ空いていました。

パリ19区にあるコンサートホール、フィルハーモニー・ド・パリにも行ってみました。クラシックのコンサートを聞きに行ったのですが、建物内に入る際に衛生パスのチェックがありました。こちらもルーヴル美術館と同じく、まず建物内に入る際にチェック、その後にチケットの確認があります。

フィルハーモニー・ド・パリ内のコンサート開演前の様子

レストランはどうでしょうか。屋内またはテラス席、どちらに着席しても衛生パスの確認を求められました。ここでも同じく端末を使い、店員がQRコードを読み取り内容を確認します。

■Musée du Louvre(ルーヴル美術館)
・住所: Musée du Louvre 75001
・最寄り駅: Palais-Royal Musée du Louvre
・営業時間: 9:00〜18:00
・定休日: 火曜
・URL: https://www.louvre.fr

■Philharmonie de Paris(フィルハーモニー・ド・パリ)
・住所: 221 avenue Jean-Jaurès 75019
・最寄り駅: Porte de Pantin
・URL: https://philharmoniedeparis.fr/

日本から衛生パスを申請する方法

日本で配られている日本のワクチン接種説明書

ワクチン接種証明を利用した衛生パスは、渡仏前に日本からオンラインで申請ができます。申請に必要な書類は「パスポート」「日本のワクチン接種証明」「渡仏の航空券」です。フランス政府のサイト上で必要事項を記入し、必要書類をアップロードし、申請が通れば衛生パスのQRコードが送られてきます。

私も申請を手伝ったことがありますが、予定された期間より時間がかかる場合がありますので、その点は考慮に入れて手続きを行うようにしましょう。もし間に合わない場合、現地で取得した陰性証明によるQRコードで、しばらくは過ごすことになります。数日の滞在であれば、ワクチン接種証明の衛生パスを申請せずとも、陰性証明の衛生パスでカバーできます。1度検査すると72時間有効です。

フランスの衛生パスは、ヨーロッパ連合(EU)加盟国、アンドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、イギリス(イングランドおよびウェールズ)、スイスのデジタルCOVID証明書と共通しています。そのためフランスで交付を受けた後は、各国で新たに申請せずに、フランスのものを(もしくは上記各国のものをフランスで)使用することができます。

申請先: https://www.demarches-simplifiees.fr/commencer/passe-sanitaire-etrangers

日本からフランス入国する際のルール

フライト中の飛行機からの景色

現在(2021年10月4日時点)、フランスは海外の国と地域を、新型コロナの感染リスクに応じて「グリーン」「オレンジ」「レッド」の3段階に分類しています。日本は「グリーン」のカテゴリーとなっています。

日本からのフランス入国には、パスポートなどの通常の渡航書類に加えて「ワクチン接種証明または陰性証明」と「誓約書(Engagement sur l'honneur)」の2点のみ必要です。

すでに日本で2回ワクチン接種を受けている人であれば、ワクチン接種証明書を持参してください。何らかの理由でワクチン接種ができなかった場合は、PCR検査または抗原検査による出発72時間以内の陰性証明が必要です。

誓約書は、フランス政府のウェブサイトからダウンロードできますので、記入して携行します。

誓約書ダウンロード先: https://www.interieur.gouv.fr/Actualites/L-actu-du-Ministere/Certificate-of-international-travel

もっとも最近の私の体験だと、2021年9月25日に日本からフランス入国しました。特に問題もなく普段通りスムーズに入国できました。

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※当記事は、2021年10月4日現在のものです

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

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