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海外でスマホを使うにはどの通信手段が便利でお得?海外ネット環境攻略ガイド

地球の歩き方編集室

地球の歩き方編集室

更新日
2025年10月14日
公開日
2022年12月1日
©iStock

今や海外旅行でなくてはならないスマートフォンやタブレット。ショップやレストラン情報の検索や地図案内、宿や交通機関の予約、翻訳機能など、使えると便利なシーンが多いだけに、通信環境は旅の快適さを大きく左右します。今回はそんな海外の通信事情をご紹介! 旅のスタイルやどんな機能を優先して使いたいかなどを考慮しながら、自分に合った方法を見つけましょう。

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海外でスマホをネットにつなぐ4つの方法

料金 通信速度 持ち運びやすさ 複数人での使用 事前準備の手軽さ
①SIMカード・eSIM △(テザリングする場合は複数デバイスで使用可能)
②海外ローミング △(テザリングする場合は複数デバイスで使用可能)
③Wi-Fiルーター
④フリーWi-Fi

海外でスマホをネットにつなぐ方法は、以下4つあります。

  1. 渡航先で使用可能なSIMカード・eSIMを購入
  2. 海外ローミングを利用
  3. 海外用モバイルWi-Fiルーターをレンタル
  4. 現地のフリーWi-Fiを利用

ここからは、それぞれの特徴や長所と短所、利用方法などを詳しく紹介します。旅のスタイルやニーズに合った方法を選んでみてください。

①渡航先で使用可能なSIMカード・eSIMを購入

©︎iStock

「頻繁に海外に行く」、「海外出張が多く、現地滞在日数が長い」という人にはSIMカードの利用が便利です。現地のモバイル回線を使用できるSIMカードを、SIMフリーのスマホに挿入・設定して利用します。比較的割安な料金で通信環境も良好なうえ、使いすぎによる高額請求の心配も不要です。

SIMカードでの通信の仕組み

SIMカードとは、携帯の電話番号情報や携帯電話回線に接続するための情報などが書き込まれたカードのこと。渡航先で利用できるプリペイド式のSIMカードを購入し、自分のSIMフリースマホに差し込み・設定すれば、現地の回線を利用することができます。

SIMカードの種類

SIMカードには、カード型の「物理SIM」と電子型の「eSIM」の2タイプがあります。

物理SIM
スマホに差し込むカード型のSIMで、比較的安価で安定した通信が可能。SIMの差し替え作業や紛失リスクなどがある。
eSIM
端末に内蔵された電子型のSIMで、購入後にスマホ上で設定するだけで利用開始できる。差し替え不要で便利な一方、対応機種が限られる場合もある。

物理SIMの購入方法

物理SIMは日本で事前に入手するか、現地で購入するかのふたつの方法があります。

日本で購入
・家電量販店やECサイト、空港などで購入可能。
・複数国で使えるグローバルタイプもあるので、周遊旅行やトランジットの国でも使いたい場合はこのタイプが便利。
・ネットなどで購入できる安価なものは個体差があり、「現地で使えなかった」、「急に低速になった」などの声もあるため、口コミなどをよく確認すること。
現地で購入
・空港にある専門のショップやブースなどで購入可能。事前に場所や営業時間を調べておくのがおすすめ。
・町なかでも購入可能。ただし、SIMカードの種類選びや設定の際に最低限の言語力とスマホの知識が必要なため、空港で入手しておくと安心。

物理SIMの種類

物理SIMにはいろいろな種類があり、規格が合わないと利用できないので、購入時には注意しましょう。

サイズ
サイズ別に3種類あり、大きいほうから「標準SIM」、「マイクロSIM」、「ナノSIM」。自分のスマホがどのサイズかを事前に確認しておくこと。
音声通話の有無
「データ通信のみのタイプ」と現地の電話番号で通話やSMSも使える「データ通信+音声通話のタイプ」があるので、好みの機能に合わせて選択しましょう。
容量タイプ/期間タイプ
指定された通信量(「1GB」「3GB」など)までデータ通信が利用できるタイプと、指定期間内(「14日」「30日」など)はデータ通信が利用できるタイプがある。後者の場合、1日あたりの通信量制限がある場合が多い。

eSIMの購入方法

eSIMは、Airalo(エラロ)World eSIM(ワールドイーシム)をはじめとしたサイトやアプリで購入できます。国やデータ量、有効期間などのプランを選び、オンラインで決済を行います。このとき、自身の端末がeSIM対応であることを事前に確認してから購入しましょう。購入後にQRコードやダウンロードリンクが送られ、スマホの設定画面からプロファイルを追加すれば利用可能。

SIMカード通信のメリットと注意点

SIMカードによる通信にはいくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット
・国内料金で接続できるため、通信料が安く抑えられる。
・滞在日数が1~2日の場合は割高だが、長期滞在の場合は他の方法に比べてコスパがよい。
・購入した容量や日数を超えると使えなくなる、もしくは低速になるだけなので、高額請求される心配がない。
デメリット
・渡航先で使えるSIMを挿入・設定したのち、接続先設定(APN設定)が必要な場合がある。
・SIMを替えることで、日本の電話番号が一時的に使用できなくなる場合がある。

②海外ローミングを利用

©︎iStock

「国内と同じように手軽にスマホを使いたい」、「旅行中だけ使えればいい」という人には、日本で使用しているスマホを介して渡航先のモバイル回線を使用して通信を行う、海外データローミングがおすすめ。いつも使っているスマホのまま、利用したいときにネット接続ができます。また、携帯電話回線を利用するので、SMSの利用もOK!

海外ローミングとは?

海外ローミング(国際ローミング、データローミング)とは、日本の携帯電話回線をそのまま海外で利用する仕組みで、現地キャリアの通信設備をとおして通話やデータ通信を行います。現地キャリアと接続されるゆえ高額請求になるおそれがあるため、国内のキャリアはローミングが使えるプランを2種類用意しています。

  1.  オプション加入型プラン
    ・海外渡航時にキャリアのオプションに加入することで、日本の契約と同じ番号で通話やデータ通信が可能。
    ・日数やデータ量に応じて料金が発生。
  2.  月額内で利用可能型プラン
    ・月額料金内で海外でも一定量のデータ通信が利用可能。
    ・利用できる国やデータ量に制限がある場合が多い。

主要キャリアの海外ローミングサービス

出発前に各携帯キャリアのウェブサイトなどで、料金や内容、利用可能エリアなどを確認し、海外用アプリがあればダウンロードしておきましょう。必要な設定を済ませておけば、現地到着後にお知らせメールが届き、利用開始可能となります。

オプション加入型プランの一例

月額内で利用可能型プランの一例

ahamo
月間利用可能データ量30GB内で、海外91の国・地域でデータ通信が可能。
楽天モバイル
Rakuten最強プランの月額料金内で、毎月2GBまでデータ通信が可能。

海外ローミングのメリットと注意点

海外ローミングは、特別な機材を用意する必要がなく、いつものスマホで簡単に利用できるのがメリット。テザリングが利用できるため、複数人や複数端末で接続できるのも魅力です。

海外渡航時にオプションとして加入するローミングプランは、必要な時だけ利用できる柔軟さがメリット。旅行日数に応じて使う日分だけ料金が発生するため、短期旅行や一部の日だけデータを使いたい人に適しています。ただし、使用する「1日」は日本時間の0:00~23:59が基準のため、現地時間と混同しないよう注意が必要です。

一方、月額料金内で海外ローミングが利用できるプランは、追加料金を気にせず海外でも日本と同じ感覚で通信できる点が魅力。渡航前に追加でオプション契約をする必要がなく、出発してすぐに利用できてスムーズです。ただし、データ容量に上限がある点や上限を超えると通信速度制限がかかる点などに注意が必要。

③海外用モバイルWi-Fiルーターをレンタル

©︎iStock

「到着後すぐにスマホを使いたい」、「グループで旅行する」、「通信速度が速くないとイヤ」という人には、モバイル用の小型Wi-Fiルーターをレンタルするのがおすすめです。通信速度も十分で、ルーター1台でスマホやパソコンなどの複数の端末につなげられるのも魅力。レンタル料金が割安なうえ、グループ旅行などで仲間とシェアすればさらにお得です。

海外用モバイルWi-Fiルーターの仕組み

モバイルWi-Fiルーターとは、携帯可能なWi-Fiルーター(機器)のこと。「スマホ」と「モバイルWi-Fiルーター」の間はWi-Fiで接続され、「モバイルWi-Fiルーター」と「携帯基地局」の間は携帯電話回線で接続されます。そのため、日本国内で使用している一般的なモバイルWi-Fiルーターは海外では使えず、海外用に設定済みのものを持参することになります。

モバイルWi-Fiルーターのレンタル方法

あらかじめネットでレンタル予約し、渡航時に指定した空港のカウンターで受け取るのが基本。出発当日に、空港カウンターでの事前予約なしの申し込みもできますが、レンタル機器が出払っている可能性もあるので事前手配が確実です。また、専用カウンターのない空港を利用する場合や乗り継ぎのために専用カウンターに立ち寄れない場合は、宅配便で受け取ることもできます。

モバイルWi-Fiルーターのメリットと注意点

モバイルWi-Fiルーターによる通信には、いくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット
・渡航先やサービス提供会社によって異なるが、1日あたり数百円からレンタル可能とお得。
・1台のWi-Fiルーターで複数台のスマホを接続できるので、グループで旅行する場合はひとりあたりのコストを抑えられる。
・最初にスマホとWi-Fiルーターの接続をすれば、現地到着後にすぐにスマホが利用可能。
デメリット
・レンタルの申し込みや空港のピックアップに手間がかかる。
・旅先で常にWi-Fiルーターを持ち歩かなければならず荷物が増える。
・毎日充電が必要。
・グループで1台をシェアする場合、別行動をすると全員が利用できない。

海外でも使えるSIMフリーモバイルWi-Fiルーター

近年は、海外でも使えるSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターもリリースされているので、複数台の端末を持って頻繁に海外に出かける人は、これを購入してしまうのもひとつの手。国内外問わず使いたいときに使いたい分をチャージするだけで利用でき、回線名義の登録や端末返却などの面倒な手続きも不要です。

渡航時は、行き先に対応しているSIMカードを挿入して使用。複数国に対応しているSIMカードもあり、出張や周遊でいくつかの国を巡る場合に重宝します。

④現地のフリーWi-Fiを利用

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フリーWi-Fiは無料で利用できる点が最大のメリット。ただし、Wi-Fi設備のあるエリア周辺でしか使えず、旅の行程のなかでは利用するタイミングが限られます。通信速度やセキュリティ面でも不安があるので、「あまりネットを利用しない」、「通信にコストをかけたくない」という人のための選択肢です。

フリーWi-Fiの仕組み

フリーWi-Fiとは、ホテルやカフェなどの公共施設が、施設利用者のために無料で使えるように設置したWi-Fiルーターのこと。パスワードが必要ないフリーWi-Fiもある一方、施設利用者以外の「ただ乗り」を避けるために、パスワード設定をしたうえで、施設利用者のみにパスワードを教えている場合もあります。

フリーWi-Fiはどこで使える?

ホテルやカフェ、レストラン、空港、駅などに、フリーWi-Fiルーターが設置されていれば使用可能。これらの場所で、スマホの「設定」から「Wi-Fi」を開くとWi-Fi一覧が表示されます。表示されるすべてがフリーWi-Fiというわけではないので、施設の公式Wi-Fiかどうか、案内表示などで確認しましょう。

フリーWi-Fiのメリットと注意点

フリーWi-Fiによる通信には、いくつかのメリットとデメリットがあります。

メリット
・無料で使用可能。
デメリット
・使えるエリアが限られ、エリア内でなければネット接続ができない。
・Wi-Fiに接続できてもスマホ画面に見慣れない現地語のウェブページ(接続設定のためのウェブサイト)が表示され、指示どおりに操作しても使えなかったり、通信速度が安定しなかったりする場合がある。
・Wi-Fiルーターに適切なセキュリティ設定が行われていないと通信データを盗まれたり、スマホが第三者に監視されたりする可能性がある。

【準備編】出発前に日本でやっておくべきこと

©︎iStock

海外でスマホを使う際は事前の準備が必要です。この準備を怠ると、知らないうちに不要なデータ通信が行われ、あとで高額請求に泣くことになりかねません。海外でスマホをネットに接続する4つの方法のどれを使うかによって多少異なりますが、いずれも「通信料が高額にならないための準備」、「海外で接続するための申し込み」、「事前の下調べ」が不可欠です。

1.海外ローミングとアプリの自動更新をオフにする

海外ローミングにより、提携していない現地キャリアとつながった場合は高額請求のおそれがあるので、利用しないなら「モバイルデータ通信」をオフにしましょう。また、一番注意したいのは海外に移動する前後。飛行機に乗り込む前に「モバイルデータ通信」と「データローミング」をオフにしておくことを忘れずに。

また、スマホの設定で「アプリの自動更新」をオンにしておくと、知らない間に大量のデータをやり取りしてしまうことがあります。急ぐものでなければ、海外旅行中に自動更新されない設定にしておきましょう。クラウドサービスのように、データが更新されるたびにデータの送受信を行うサービスについても、同期の設定を「Wi-Fiと接続したときのみ同期」などに変えておくのがおすすめ。

iPhoneの設定方法
①「設定」→「AppStore」をタップする
②自動ダウンロードをオフにする
Androidの設定方法
①「Playストア」アプリを開く
②「アプリの自動更新」をタップする
③「アプリを自動更新しない」を選択。「Wi-Fi接続時のみアプリを自動更新する」でもOK

スマホ端末によってメニューや設定方法が異なる場合があります

2.モバイルWi-Fiルーターやキャリアの海外ローミングサービスを申し込む

現地のフリーWi-Fiでは不安という人は、SIMカード・eSIMの購入や海外ローミングサービスの申し込み、海外用モバイルWi-Fiルーターのレンタル手配などをしておきましょう。【基礎知識編①】を参考に、自身の旅のスタイルや好みに合った通信手段を見つけてください。

3.Wi-Fiの接続方法を確認

現地で海外用モバイルWi-FiルーターやフリーWi-Fiを利用するのであれば、Wi-Fiの接続方法を覚えておきましょう。フリーWi-Fiの場合は、現地Wi-Fi設置者などのウェブサイトが表示されることもあるので、その場合は画面の指示に従って接続します。

iPhone/Androidの設定方法
①「設定」→「Wi-Fi」をタップ。Wi-Fiのボタンをオンにする
②接続可能なネットワークが自動的に検出されるので、利用するWi-Fiの識別名(SSID)をタップ
③利用するWi-Fiに設定されているパスワードを入力し、「接続」をタップ。一度接続すればパスワードが記憶されるので、パスワード入力は初回だけでOK
④SSIDの左にチェックマークがついたら(Android はSSIDの下に「接続済み」と表示されたら)接続完了。Wi-Fi接続中は、ステータスバーにWi-Fiのアイコンが表示される

海外でもLINEは使える!

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現地SIMカードやeSIMに切り替えても、データ通信やWi-Fiを使ったインターネット環境下であれば日本国内と変わりなくLINEを利用できます。ただし中国は、情報規制のために国内の通信に制限がかけられており、LINEやX、Facebook、Instagram、Google関連のサービスなどは、基本的に使えないので注意が必要です。ただし、VPN(※)を利用したり、電話番号ではなくFacebookアカウントで登録したLINEを利用したりすれば、使用できる場合もあります。

VPNとは、仮想的にプライベートなネットワークを構成することで、第三者に侵入されないようなネット接続をすること

まとめ

マイペースなひとり旅やにぎやかなグループ旅行、タスク満載のビジネストリップなど、旅の目的やスタイルによって必要な通信環境は異なります。旅行先の国のネットワーク事情や便利さ、安さ、手軽さなど、さまざまなシーンをシミレーションしながら最適な接続方法を選び、快適・安全に旅を楽しみましょう。

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