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今、アメリカへ来るとすべてが高い!! と感じるはず。宿泊費をはじめ、食事代、交通費、入場料などなど……。円安とアメリカの物価高も加わって、どこへ行ってもきびしいーと、ため息が漏れてしまうかも。
しかし、ワシントンDC(以下“DC”)は例外。驚くことに多くの見どころの入場料が無料、つまりタダなのです。
まず、世界最大のミュージアム群であり市内と近郊に16の博物館・美術館をもつスミソニアン協会の入場料は、すべて無料。スミソニアンに属する国立動物園も同様、3頭のパンダもタダで見られます。パンダだけではありません! 宇宙で39回のミッションを遂行したスペースシャトル、世界最大のブルーダイヤ、本物の星条旗、北斎など国宝級の日本美術など、これらがすべて無料というのは信じがたいことかもしれませんね。スミソニアンではありませんが、寡作の画家フェルメール3点を収蔵する「ナショナルギャラリー」も無料です。もちろん、アメリカ政治の象徴である国会議事堂、世界最大の図書館である議会図書館、リンカーンが暗殺されたフォード劇場など多くの見どころも無料(予約が必要な場所は手数料要)!
アメリカのほかの町で美術館などの入場料が20〜30ドル(2600〜4000円)かかることを考えると、DCはとてもオトク! 観光するだけならお金がほとんどかからない町がDCです。
見どころの入場料は無料でも、避けられないのが日々の食事。ニューヨークやサンフランシスコほど高くはありませんが、DCの中級レストランで夕食をとると、チップを含めて$70(約9200円)くらいかかります。さすがにこの金額はアメリカ人にも厳しいらしく、近年ポピュラーになっているのがスーパーマーケットのイートインです。健康志向のホール・フーズ・マーケットや、より庶民的なハリス・ティーターが人気で、サラダバーをはじめフルーツ、ホットフードなど料理の数が充実して1ポンド(約453g)あたり$9~12とレストランよりかなりリーズナブルです。
意外に知られていないことですが、アメリカでは生鮮食料品といった、人間が生活をしていくうえで必要最低限のものにはタックスがかからない、または極力低く抑えられています。
DCのスーパーマーケットで生鮮食料品を買えばタックスは0%。お隣のバージニア州でも2%。日本の8%がいかに非情な政策であるかを実感できるでしょう。スーパーで買い込んで部屋で食べれば、けっこうな節約になります。ただし、加工品にはタックスがかかります。
DC中心部のフードホール、フードコートは、ショッピングモールに付随した一般的なフードコートとは異なり、全国的なチェーン店が少ないのが特徴です。
おすすめはランファンプラザとロナルド・レーガン・ビル、そしてウエスタンマーケットの3つ。前者ふたつのフードコートはどちらも政府のお役所ビルの中にあり、平日は多くのお役所勤めの人々でにぎわいます。ウエスタンマーケットのフードホールはジョージ・ワシントン大学のキャンパス内にあり、昼夜を問わず多くの学生でにぎやかです。ワンランク上をいくおいしい店が多く、料理もバラエティに富んでいます。グアテマラ、メキシコ、アジアンフュージョンなど、どれも試してみたくなるものばかり。$12~15(1500~2000円)くらいを目安とするといいでしょう。
日本の消費税に相当するセールスタックスは州や市によって異なりますが、DCは6%。ニューヨーク8.875%、サンフランシスコ8.5%など、他の大都市に比べて少し安めではありますが、そのセールスタックスがスミソニアン協会の博物館・美術館では、なんと0%(食事は別)。値札の金額がそのまま支払い金額となり、高額のものやまとめ買いに断然オトクです。
コロナ禍を経て、アメリカの町はどこも大きな変化が見られます。DCで日本人旅行者にとっての朗報が、鉄道のメトロレイルSilver Lineダレス国際空港への延伸です。日本から全日空とユナイテッド航空の直行便が発着するダレス国際空港からDCの中心部まで1本で行けるようになりました。
全米屈指の人気博物館である国立航空宇宙博物館は大修復工事が進行中で、昨秋に半分だけオープンしました。人類初の動力飛行に成功したライト兄弟の「1903フライヤー」や無着陸単独大西洋横断に初めて成功したリンドバーグの「スプリット・オブ・セントルイス」、月まで行ったアポロ11号の司令船「コロンビア」など人類史上輝かしい航空機、宇宙船が展示されています。
また、ミュージアムの宝庫と呼ばれるDCに、言語に特化した博物館「プラネットワード」や、さまざまな現代アートが楽しめる「ルーベル美術館DC」も新しく加わり、人気の「国際スパイ博物館」もスケールアップして再オープンしました。
もし、DCで日本関連のものを見学したいなら「ウドバー・ハジー・センター」はマストです。第2次世界大戦で獅子奮迅の活躍をした名機が展示されているのです。零戦以上の性能をもちアメリカ軍を驚かせた紫電改、B-29迎撃に貢献した月光、潜水艦に折りたたんで積み込んだ特任攻撃機・晴嵐、日本初のジェット戦闘機・橘花など、日本でもこれだけのものを一度に見られる所はなかなかありません。場所はダレス国際空港の近くで中心部からは離れますが、訪れてみる価値は十分にあります。もちろん、入館料は無料。
円安の今、おとくに・楽しく旅行ができる町がワシントンDC。次の旅先、ひさしぶりの海外旅行にアメリカ・ワシントンDCはいかがでしょうか?
世界の政治の中心であるアメリカ合衆国の首都ワシントンDC。大統領官邸ホワイトハウスや国会議事堂、林立する政府機関に世界中から観光客が訪れる。さらに世界最大の博物館や美術館の複合体であるスミソニアン協会の本拠地があるのもここワシントンDC。人類と地球のお宝が詰まったミュージアムの宝庫も見逃せない。
B08 地球の歩き方 ワシントンDC ボルチモア アナポリス フィラデルフィア 2023~2024
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2023/05/09発売世界最大の博物館群を有し、アメリカ政治の中枢を担う町、首都ワシントンDCの最新情報&魅力を徹底ガイド!
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※当記事は、2023年5月15日現在のものです
TEXT: 『地球の歩き方 ガイドブック B08 ワシントンDC 2023年~2024年版』編集担当 山本玲子
PHOTO:(有)地球堂、長谷川陽子、iStock
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