- ハンガリー
- 飲食
美食の国ハンガリーで、王や貴族たちも愛したワインを堪能!
2023.11.10
キーワードで検索
ヨーロッパ随一の温泉王国として知られるハンガリー。温泉文化の歴史は古代ローマに遡るともいわれ、首都ブダペストにはさまざまな時代を反映した個性あふれる温泉施設が揃っています。郊外へと足を延ばせば、洞窟温泉や温泉湖など、大自然を感じるユニークな温泉も。健康増進や病気、ケガの療養目的だけでなく、リラックスしておしゃべりを楽しむ社交場として、温泉文化が人々の暮らしのなかに溶け込んでいます。
ハンガリーには、非火山性の温泉が600カ所以上も点在。非火山性温泉とは、地熱などで温められた深層地下水が湧出したもので、火山性の温泉に比べると温度が低く、アルカリ性が高いため、入浴後に爽快感が得られるのが特徴です。ハンガリーでは30℃以上の天然水が温泉と定義されていて、実際、病院を併設する温泉も多く、処方箋による治療目的から平均35℃程度とぬるめのところがほとんど。海水浴気分でのんびりしながらゆったり浸るのが、ハンガリー流の楽しみ方です。
日本の温泉とは違い、ハンガリーの温泉は水着着用が一般的。水泳用プールを併設している施設も多く、屋内外ともにかなり広いので、ビーチサンダルやバスローブ、サングラスなども持っていくと便利です。また、温泉に入る時間はないけど、内部の装飾や構造を見たい!という人は着衣のまま見学することも可能。滞在時間や利用するサービスによって料金は異なるので、各温泉施設のウェブページをチェックしてみてください。
ハンガリーの首都ブダペストには100を超える源泉と50近くの浴場があり、1934年には国際温泉療法会議から「温泉都市」の称号を授与されたほど温泉文化が浸透。その歴史は、今から約2000年前のローマ時代に遡るともいわれ、16世紀にはオスマン帝国によってトルコ式浴場がもたらされました。19世紀後半になると、オーストリア=ハンガリーの二重帝国によって経済が発展。同時に、豪華絢爛な温泉施設が次々と建てられていきました。
現在は、古くからの姿を残す歴史的な浴場からリラクゼーション、エンターテインメント機能を備えた近代施設まで、さまざまな温泉施設が点在。ブダペストに居ながらにして、そのすべてを体験することができます。
首都ブダペストの広大な市民公園「ヴァーロシュリゲット」内にある、ヨーロッパ最大規模の温泉施設。1913年築のバロック・リヴァイヴァル建築様式の豪華な造りで、まるで宮殿のような佇まいです。広大な敷地内には、目的別に分けられた3つの巨大な屋外プールと11種類の屋内風呂のほか、サウナやジャクージ、各種トリートメントが受けられるスパ施設やフィットネスルーム、療養を目的としたメディカル・スパもあります。
セーチェニ温泉の名物といえば、温泉に浸かりながらチェスを楽しむ人々の姿。温泉プール内にチェス用の台が設置されていて、常に人々の社交場になっています。また、肌によいといわれるホップやモルツ、イーストなどのビールの成分が入った「ビア・スパ」と呼ばれるユニークな温泉も。蛇口をひねると流れるビールを注ぎ、ビア・スパに浸りながら好きなだけ飲むこともできます。また、週末夜には定期的に「スパーティー」と呼ばれるバス・パーティーが開かれていて、温泉で飲みながら音楽やダンスを楽しむ若者たちで大にぎわいを見せています。
■セーチェニ温泉■
アクセス:地下鉄セーチェニ・フェルドー駅から徒歩すぐ
開館時間:7:00~20:00(週末は8:00~)
休館日:なし
料金:1日券9400Ft~ 【1Ft(フォリント)は約0.42円(2023年11月24日現在)】
・URL:https://www.szechenyibath.hu
・スパーティー:https://spartybooking.com/
ワンポイントアドバイス:広大な施設なので、1日のんびり楽しむつもりで訪れるのがおすすめ。キャビン(個室)を利用でき、タオルやバスローブなどのレンタル、フルーツやカクテルなどのサービスが付いたお得なパッケージもあります。
ブタペスト市内南部、ゲッレールトの丘の麓に佇むホテル「ダヌビウス・ホテル・ゲッレールト」に隣り合う温泉。ダヌビウス・ホテル・ゲッレールトは2018年に創業100年を迎えた歴史あるホテルで、ヨーロッパの王族やスターなど数々の著名人に愛されてきたことでも知られています。
ゲッレールト温泉の魅力は、何といっても美しい曲線や装飾で彩られたアール・ヌーヴォー様式の内装。豪華な列柱に囲まれた温泉プールをはじめ、ジョルナイ製のタイルや彫刻に彩られた浴場など、まるで宮殿内にいるような優雅な気分が味わえます。
屋内外に温度の異なる10数種類の温水プールがあり、マッサージルームやサウナなどの施設も充実。屋外には1927年に誕生した世界初の波のプールもあり、夏場を中心に観光客たちの人気を集めています。温泉施設は、宿泊者以外でももちろん利用が可能。レストランやカフェなども揃っているので、リゾート気分でのんびり1日を過ごせます。
■ゲッレールト温泉■
アクセス:地下鉄ゲッレールト広場駅またはカールヴィン広場駅からトラムでゲッレールト広場下車
開館時間:9:00~19:00
休館日:なし
料金:9400Ft~
・URL:https://www.gellertbath.hu
ワンポイントアドバイス:「ダヌビウス・ホテル・ゲッレールト」宿泊者は、入場料が半額になります。
ブダペスト中心部からやや南、ドナウ川のほとりにある温泉施設。16世紀のオスマン帝国時代に造られたトルコ式の浴場で、8本の柱に支えられた直径10mほどのドーム型の屋根の下に八角形の浴槽があり、それを囲むように温度の異なる小さな風呂が設置されています。
トルコ式浴場のほかにも屋内プールや露天風呂など6つの温泉があり、ルーフトップバーやレストラン、マッサージ、温泉を使った伝統トリートメントを受けられるスパ施設も併設。なかでもルーフトップにある露天風呂は人気で、温泉に浸かりながらブダペストの世界遺産の街並みやドナウ川の景色を楽しむことができます。
■ルダッシュ温泉■
アクセス:地下鉄ゲッレールト広場駅またはバッチャーニ広場駅からトラムでルダシュ・ジョージフェル下車
開館時間:6:00~20:00
休館日:なし
料金:1日券8600Ft~
・URL:https://www.rudasfurdo.hu
ワンポイントアドバイス:トルコ風呂は曜日によって男女入れ替わりになるので、事前に要チェック
首都ブダペストから地方へと足を延ばせば、洞窟や温泉湖と融合した温泉など、世界でも珍しいユニークな温泉施設が多数! わざわざ訪れるだけの価値がある温泉ばかりで、どれも見逃せません。
ハンガリー北東部、国内第3の都市・ミシュコルツの郊外にある「ミシュコルツ・タポルツァ洞窟温泉」は、天然洞窟を利用した世界にも珍しい温泉。もともと修道院が建っていた場所で、18世紀半ば頃には温泉の効用に着目した木造の浴場があったといわれています。1940年代になって洞窟内の源泉を生かすための工事が始まり、1959年に洞窟温泉がオープン。その後、洞窟内の通路や洞窟外広場の拡張が進められ、2005年に現在の姿へと生まれ変わりました。
大自然が創り出した洞窟内にはいくつもの通路が入り組み、それぞれ個性的な5つの洞窟風呂が点在。洞窟外に広がる庭園には6つの屋外プールもあり、施設内ではサウナを楽しんだり、各種温泉を使ったトリートメントなども受けられます。
■ミシュコルツ・タポルツァ洞窟温泉■
アクセス:ブダペストからミシュコルツまで鉄道で2時間~
開館時間:9:00~18:00
休館日:なし
料金:1日券6850Ft
・URL:https://barlangfurdo.hu
ワンポイントアドバイス:温泉があるミシュコルツは、トカイワイン産地としても有名。温泉とワインの両方をぜひ楽しんでみて!
エゲルサロークはブダペストから北東へ約140㎞、赤ワインの産地として知られるエゲル郊外にある温泉地。丘陵地帯に自噴する温泉の成分が固まってできた真っ白な石灰棚が広がり、独特の景観を生み出しています。
なかでも石灰棚を間近に臨む4つ星ホテル「サリリス・リゾート・スパ」内にある温泉施設は人気で、露天風呂に浸りながらその壮大な光景を眺めることも! 1900㎡もの広大な敷地内には24もの屋内外プールがあり、サウナや各種トリートメントが受けられるスパなどの施設も充実しています。もちろん日帰りでも利用できますが、できれば滞在するのがおすすめ。夜になると石灰棚がライトアップされ、日中とはまた違った美しい光景を楽しむことができます。
■サリリス・リゾート・スパ(エゲルサローク温泉)■
アクセス:ブダペストからエゲルまで鉄道で1時間50分~。そこからバスで約20分
開館時間:8:00~22:00(月曜は10:00~、金・土曜は~23:00)
休館日:なし
料金:1日券7800Ft
・URL:https://saliris.com-resort.com
ワンポイントアドバイス:17:00~利用できるアフタヌーンチケット(3100Ft)や3時間券(6200Ft)などもおすすめ。ホテル周辺には公園が広がっていて、サイクリングやハイキングなども楽しめます。
ヘーヴィーズ温泉は、バラトン湖畔の最西端にあるリゾート地・ケストヘイから北西へ8㎞ほどの場所にある温泉療養地。約4万4000㎡の湖そのものが温泉で、湖底洞窟から約38.5℃の温泉が湧き出しています。場所によっても温度が異なりますが、夏の平均水温は35℃、最も水温が下がる真冬でも24℃前後で、年間を通して湯治客でにぎわっています。
温泉湖に入るにはまず、湖面に浮かぶようにして立つロッジへ。入場料を支払って、その先に広がる湖へと繰り出します。浅いところでも水深2m、深いところでは水深40m近くもあるため、浮き輪を使って“入浴”している人がほとんど。湖には赤スイレンが繁殖していて、夏になると色鮮やかに湖面を彩ります。建物内部にも湖水を取り入れた浴槽がいくつかあり、源泉の真上に位置する浴槽では、硫黄の匂いがより強く温度も高めの温泉が楽しめます。
長期滞在する人も多く、湖畔周辺にはコテージやカフェ、レストラン、ショップなどが点在。温水プールやスパ施設を備えたヘルス・スパ・リゾートタイプの宿泊施設、アパートメントタイプのホテルも揃っています。
■ヘーヴィーズ温泉■
アクセス:ブダペストからケストヘイへ鉄道で約2時間30分。そこからバスで約10分
開館時間:9:00~17:00(季節により異なる)
休館日:なし
料金:1日券7500Ft
・URL:https://www.spaheviz.hu/en
ワンポイントアドバイス:肌寒い季節はバスローブ、夏は日差しが強いので、サングラスなどあると便利。
ハンガリー南西部、クロアチアとの国境に近い場所にある温泉。白濁した硫黄泉で名高く、観光客のみならず湯治客に人気です。そのため、療養を目的とした施設やプログラムも充実。健康増進、ダイエットといった各自の目的に合わせ、温泉とセラピー、マッサージ、エクササイズなどを組み合わせた温泉療法も受けられます。
ハルカーニ温泉は1823年に開湯した歴史ある温泉で、現在は一帯が緑あふれる温泉公園になっています。約13ヘクタールの敷地内には、硫黄の濃度や水温の違う温泉のほか、真水を使った流水プールや水泳用プールなど、屋内外合わせて計14のプールが点在。2019年には改築が終了し、レストランやジム、休憩スペースなどを備えたスパセンターが誕生しました。各種サウナやジャクージ、スチームなどの設備も充実。常時、水中エアロビクスやバレーボールなど、プールを利用したアクティビティも揃っています。
■ハルカーニ温泉■
アクセス:ブダペストからペーチまで鉄道で約2時間30分、そこからバスで約30分
開館時間:10:00~17:45(季節により異なる)
休館日:なし
料金:1日券6100Ft
・URL:https://harkanyfurdo.hu
ワンポイントアドバイス:湯治目的の長期滞在者が多いため、周辺にはリーズナブルに滞在できる温泉ホテルが点在しています。
■ ハンガリーの観光情報
・URL:http://www.hungarytabi.jp/index2.htm
・URL:https://visithungary.com/
■写真提供:ハンガリー観光庁(メイン画像ほか)、駐日ハンガリー大使館観光室
ハンガリーの通貨:1Ft(フォリント)は約0.42円
※当記事は、2023年11月24日現在のものです
TEXT:竹内あや
■こちらもチェック
・「美食の国ハンガリーで、王や貴族たちも愛したワインを堪能!」はこちら
・「クリスマスシーズンを迎えたブダペストに、世界が今注目!」はこちら
〈お願い〉
渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL:https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html