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江戸時代には東海道五十三次の6番目の宿場「藤沢宿」が置かれ、江戸時代にブームとなった「江の島詣」で行楽の地として庶民の人気も集めた藤沢市。深い歴史をもつ寺社や見どころ、資料が数多く残っています。今回は「江戸時代の藤沢」をテーマに1泊2日の旅を通して、見る・食べる・歩くの視点から、藤沢の魅力を深掘りしていきます。
目次
まずご紹介するのは、藤沢市藤澤浮世絵館。浮世絵は江戸時代に成立した絵画ですが、ここ藤沢市周辺は藤沢宿や江の島などの浮世絵が多く描かれた場所でもあります。浮世絵館では、市制40周年を記念して1980年に譲り受けた江の島浮世絵を中心に、現在まで収集してきたものを展示しています。
展示室は「東海道五十三次」や「藤沢宿」、「江の島」といった常設展示コーナーと、期間限定の企画展示コーナーに分かれていて、2024年2月26日までは「北斎と門弟たちの藤沢・江の島」という企画展を実施。だれもが知る北斎の浮世絵から、その門弟の作品を見ることができます。入口には、浮世絵ができるまでの流れを説明したパネルコーナーや書籍を集めたライブラリーも。楽しく学びながら、貴重な浮世絵を無料で見られる穴場スポットです。
なぜ最初に「藤澤浮世絵館」を紹介したかというと、藤沢宿や江の島に関する浮世絵が多く展示されていて、当時の宿場町、江の島の様子や描かれ方を知った上で、この後訪れる現代の藤沢・江の島を楽しむことができるからです。「江戸時代の藤沢」を知る上で、「藤澤浮世絵館」はぜひ訪れてほしいスポットになっています。
続いて訪れたのは、時宗総本山 遊行寺。旧東海道 日本橋から6番目の宿場「藤沢宿」の近くにある寺社で、鎌倉時代に創建し、江戸時代には参勤交代で訪れる大名の宿泊所として利用されるなど江戸時代の藤沢とも深い結びつきをもっています。境内で目に飛び込んでくるのは立派なイチョウの木!市の天然記念物に指定され、樹齢はなんと約700年だとか。本堂も大きく、木造としては東海道最大級なのだそうです。
宝物館は年5回、企画展のみを実施。夏は子供向け、秋は特別展など季節やそのときどきで趣向を凝らした企画や展示を行っています。2万件の収蔵物から展示替えをしているほか、企画に合わせて他の施設から借りたもので構成されており、取材した2023年9月はちょうど「徳川と遊行寺」の特別展を実施。大河ドラマの影響もあり、日々たくさんの人々が訪れていたといいます。
自分たちでのんびり街歩きを楽しむのもよいですが、もっと藤沢・江の島を深く知りたい!という人におすすめなのが、江の島・藤沢ガイドクラブによるツアーです。希望の日時や歩きたい地域、テーマなどの相談に乗ってもらい、コースを設定して当日に案内してくれるというもの。ひとりから受け付けてくれているのも、うれしいポイントです。
1日目に訪れたのは旧東海道 藤沢宿に位置する「藤沢市ふじさわ宿交流館」を出発して、白旗神社を目指すルート。ふじさわ宿交流館周辺は浮世絵にも多く描かれた場所で、江戸時代の姿と現代を比較することができ、歴史を感じられるエリアです。遊行寺橋周辺には、藤沢宿高札場跡があり、江戸時代には公定運賃やキリシタン禁止令などの法令が掲示されていたといいます。また、ふじさわ宿交流館から白幡神社に歩く途中にある「義経首洗井戸」には、奥州で自害し、浜に捨てられた源義経の首がこの地で拾われ、井戸で清められたという言い伝えも。ガイドツアーのゴールとなる白旗神社には、源義経公鎮霊碑が鎮座しており、こちらも必訪です。
2日目に案内してもらったのは江戸時代に「江の島詣(えのしまもうで)」の一大ブームを起こし、浮世絵にも多く描かれた江の島。江の島は古くから霊場と信仰の聖地とされ、徳川家康が1600年に参詣して以来、代々将軍の祈祷所となり、また大奥や諸大名の信仰も篤かったことから、江戸庶民も江の島詣を始めました。江戸から女性の脚でも往復3泊4日で気軽に行けたこともあり、江の島詣はカラフルな女性とともに描かれている浮世絵が多く残っています。
それではガイドツアースタート!小田急線片瀬江ノ島駅方面から江の島弁天橋橋を渡る手前で目に飛び込んでくる龍燈籠は、江島神社の鎮座を記念して2001年に建てられたもの。橋を渡ったら江の島弁財天仲見世通りを過ぎて、そのまま屋外エスカレーター「江の島エスカー」で江島神社へ。
江島神社では、神職さんから江島縁起絵巻の解説をしてもらいました。江島縁起絵巻とは、五頭龍の伝説や江の島の由来をまとめたもので、普段は宝物として神社に保管されています。その伝説によると、むかしむかし、鎌倉で悪行を重ねていた五つの頭をもつ龍のもとに、天女が舞い降りて諭したといいます。天女の天下りとともに出現したのが江の島で、天女に恋心をもった龍は改心し、村人たちに感謝されるまでに。その後、山に姿を変えたといいます。その山が現在の藤沢市龍口山だそう。
「天女と五頭龍」の恋物語にちなみ、恋人たちの聖地と呼ばれる頂上の奥津宮近くにある「龍恋の鐘」をはじめ、たっぷり時間をかけて散策してくださいね。
藤沢といえば、グルメも楽しみのひとつ。「江戸時代の藤沢」を楽しみながら、藤沢グルメもたっぷり楽しんでください。
江の島周辺で最も人気のご飯スポットいえば「江ノ島小屋」。休日は行列ができるほどの大盛況ぶりですが、平日朝の時間帯は比較的空いていて狙い目です。8:00~10:30は朝食メニューを用意。煮魚の煮汁と目の前で削った半生のかつお節がたっぷりのった「金目鯛の煮汁卵かけご飯」はボリューム満点の一品。また、骨ごと魚を煮込んだ濃厚スープと刺身、魚のフリット付き「漁師汁定食」も江の島ならではの定食です。
モリモリ食べて元気をチャージしたい!という人は、名物の丼を注文するのもおすすめです。魚のほぐし身に焦がしバター醤油をかけた「ホロホロ丼」と、味噌で味付けしたなめろうにゴマだれをかけた「まかない丼」は絶品!これを読んだだけでお腹が空いてきませんか?終日営業しているので、行列の様子を見ながら、街歩きでお腹を空かせて訪れてみてくださいね。
ランチは江の島に入ってすぐ、青銅の鳥居手前に位置する「丸だい仙水」で。ここは新鮮な海の幸が自慢。江の島名産のさざえ丼定食やあじ・しらす丼定食から、いせえび丼定食まで幅広いラインアップが並びます。せっかく江の島に来たのですから、見た目も美しい「しらす花かご定食」(2200円)をいただきましょう!生しらすやしらすかき揚げ、しらす丼まで……まさにしらすづくしのごちそうが小鉢にずらり。要予約なので、旅の日程が決まったら予定に組み込んでください。
藤沢駅に移動し、ディナーは趣向を変えて、イタリアンに舌鼓を打つのはいかがでしょうか?TantoTantoでは、アンティパストからドルチェまでシェフこだわりの料理をアットホームな空間で楽しむことができます。地元ならではの湘南野菜を使用したひと皿は、絶品!ワインもイタリアのメインどころをしっかり取り揃えているのがうれしいですね。しっかり飲みたい人は、飲み放題コースもあります。ランチも営業していて、コースの種類が豊富なのも魅力的。藤沢市をメインで訪問する人は、お昼どきに訪れてみるのもよいかもしれません。
藤沢というと、海やサーフィンなどというイメージを持つかもしれません。しかしそれだけではなく藤沢には多くの歴史スポットや資料、浮世絵などが残っています。江戸時代に人が行き交った旧東海道 藤沢宿や江の島詣で多くの人が参拝した江の島など歴史のある見どころがたくさんあります。
宿泊する際は、ビジネスホテルやおしゃれなカフェが併設されたホテルがある藤沢駅や、歴史ある旅館が点在する江の島がおすすめです。
新鮮な食材を使ったレストランでの食事や街歩き、史跡めぐりまで藤沢旅行を満喫してくださいね。
Text&Photo: 水野千尋(ART LOVE MUSIC)
Direction: 曽我 将良、渋谷 裕理
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