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中国・内モンゴルにある「中国温泉博物館」と歴史遺構を訪ねて

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アルシャン市の変遷と周辺の観光情報

ここからは、アルシャン市内の景観から歴史を辿ってみましょう。

いくつもの暖房用煙突からアルシャンの厳しい冬を想像できます

見どころ1.1937年建造のアルシャン駅舎

アルシャン市内にはかつての満洲国時代の遺構が数多く残っています。1937年建造のアルシャン駅舎は今でも現役です。堂々とした外観で、内モンゴル自治区の重要文化財に登録されています。中国人にも人気で、毎年多くの観光客が訪れるとのことです。

アルシャン駅舎は1996年に内モンゴル自治区の重要文化財に指定されました

その後、鉄道が延伸したため、終着駅としての役割を終えましたが、機関車が終点で向きを変えるための転車台が残っています。驚いたことに90年近くが経った今でも、手で押すとスムーズに回転します。当時の技術力の高さが伝わる遺構です。1934年に建てられたアルシャン温泉ホテルの建物も保存されていました。

アルシャンの転車台白さんが押すと滑らかに回りだしました
  • アルシャン温泉ホテルはなぜか「京都将軍浴」という入浴施設になっていました
  • 当時の建築物を活かしつつ温泉街は発展していました
  • 昔からの療養院も鉱泉医院の名で営業中。日本風の温泉マークも残っていました

アルシャン駅舎

住所
阿爾山市
アクセス
ハイラル区から車で5時間程度

見どころ2.ノモンハン事件の舞台、ハルハ川

穏やかに流れるハルハ川はかつての国境争奪戦の地

アルシャンから北へ向かうと、ハルハ川の眺めが美しい場所を通過します。戦史に関心のある人なら、ピンとくるのではないでしょうか。

ここは、満洲国・日本軍とモンゴル・ソ連軍が国境画定を巡って戦ったノモンハン事件の争奪地です。第2次世界大戦直前の1939年5月に始まった激しい戦闘で日本軍は大敗しましたが、敗戦の情報は厳しく統制されたため、ほとんどの日本人は当時知らされませんでした。

ハルハ川

住所
新バルグ左旗阿木古郎鎮
アクセス
ハイラル区から車で4時間が目安。阿木古郎鎮からは約60km

見どころ3.ノモンハンにある戦争陳列館

ノモンハン事件を今に伝える戦争陳列館

アルシャンの北西120kmのノモンハンの町には「ノモンハン戦争陳列館」があります。戦闘の詳細を記した地図や武器などの陳列品、満洲国の境界を示す石碑などに交ざって、日本兵が読んでいた書籍なども展示されています。

白さんの話では、「以前は多くの日本人が慰霊を兼ねて訪れたが、年々減る一方」とのこと。屋上は展望台を兼ねていて、はてしない草原に点在するパオや旧式の戦車群、羊の放牧を眺めることができます。アルシャンまで来たのであれば、ぜひ立ち寄ってみたい施設です。

  • かわいらしい地ネズミ(モンゴル語でゾラム)が周囲の草原を走り回っている
  • 館内から見下ろすと湿原に旧式の戦車が展開していた

ノモンハン戦争陳列館

住所
新バルグ左旗阿木古郎鎮

道中印象に残った内モンゴルの食文化

七仙湖草原にたたずむパオ

旅行中は白さんと一緒に食事をとりましたが、特にフルンボイル草原の一部である七仙湖草原での昼食が印象的でした。厨房は大きなパオの中にあり、食事は別のパオの中でとります。内モンゴルでは羊料理が中心ですが、特にクセはなく、おいしく食べられるように調理されています。どれも大皿で提供され、取り分けて食べます。2~3種類のおかずと白米(または麺)を頼めば、食べきれないほどの量になります。

食事をとるパオの中はこんな感じ。英雄チンギスハンの肖像画が飾られています
  • 百合の花と羊肉の炒めもの。食べられる時期は限られるそうです。羊肉と言われなければわからないほどあっさりしています
  • 主食として提供された羊肉入り麺。やわらかい太麺で食べやすいです
  • 地鶏ときのこの煮込み。薬草ときのこの香りが強烈すぎて、この料理だけは箸が進みませんでした

なお、白さんは遊牧民の出身で、両親は今でも遊牧生活を送っているとのこと。広い草原には目印が少ないため、実家に帰省するときは場所の特定が大変だそうです。最初にパスポートを作るときも苦労したとか。遊牧民だったので、生まれた場所がわからず、出生届もありません。村長が遊牧民であることの証明書を発行してくれて、ようやく取得できたそうです。

北京や上海を旅するのとは、まったく違う中国の一面を垣間見ることができる旅でした。

まとめ

1930年代から1940年代にかけて、現地に移り住んだ日本人は短い期間に30を超える温泉を開発し、記録を残しました。筆者がそのすべてを訪ねてみたところ、80年近くが経った今でもひとつ残らず現役で、中国の人たちに利用されていました。なかには情報がほとんどなく、見つけるのに苦労した温泉もありますので、ぜひ別の機会に紹介できればと思います!

記事で紹介した温泉

温泉名 住所 URL(Trip.com)
湯崗子(とうこうし)温泉 遼寧省鞍山市千山区 https://jp.trip.com/travel-guide/attraction/anshan/tanggangzi-hot-spring-79873/
中国温泉博物館 内モンゴル自治区興安盟アルシャン市 https://jp.trip.com/travel-guide/attraction/aershan/wenquan-museum-of-china-13407599/

新型コロナ禍以降、中国は日本人観光客に対するノービザ入国制度を再開していません。実際に訪れる場合は、最新の状況を確認してください。

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