
コロンビアで知られざる湯滝を発見!豪快な野湯「セタキラの湯滝」
2024.4.1
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アメリカ・ネバダ州北部に湧く「フライランチガイザー(Fly Ranch Geiser)」。広大な牧草地に極彩色の噴泉塔がポツンと立っています。光り輝くような塔の先端から温泉と蒸気を噴き上げるさまは、異世界を思わせます。「世界の絶景」を収録した写真集やWEBサイトで常連となっている「有名な温泉」ですが、実際に訪ねた人はほとんどいません。立入りできない私有地にあったためです。いつか行きたいと思っていましたが、2018年から立入りできるようになったため、温泉マニアにとって念願のガイザーを訪ねてみました。
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起点となる町はネバダ州のリノ。サンフランシスコから1時間のフライト、または車で北西へ4時間(380km)の場所にあります。巨大都市のサンフランシスコからレンタカーで出発する自信はなかったので、空路でリノに向かいました。リノの空港に着くと、ずらりと並ぶバーニングマンのポスターが迎えてくれます。
バーニングマンとは、ネバダ州北部のブラックロック砂漠で夏の終わりに開催される奇妙な祭りの名前です。ある人はひたすら踊り、ある人は参加者が持ち込んだ奇妙なアートを楽しみ、ある人は何もしない。電気もガスも水道も宿泊施設もない砂漠で、毎年7万人ほどの参加者が、物々交換をしながら1週間を過ごします。最後に「マン」と呼ばれる巨大な人型の像を焼き尽くすことから、バーニングマンと呼ばれています。
100年以上前に井戸を掘削していて間欠泉が噴出したのが始まりといわれます。その後、しばらく放置されていましたが、1964年に地熱調査で再掘削したところ、熱水が噴出し、析出物が堆積し始めました。巨大な噴泉塔に成長した今も、勢いよく温泉を噴き上げています。ダイナミックな形状と色彩は一度見たら忘れられません。
なお、ガイザーは間欠泉の意味ですが、休みなく噴き上げています。長い間私有地にあって見学できませんでしたが、バーニングマンを主催する組織が、2016年に一帯の土地を650万ドル(当時の相場で約7.5億円)で購入。2018年から、日帰りツアーでの公開が始まりました。*
見学するにはWEBでの事前申し込みが必要です。ツアーは春から秋の土曜限定で、開催日はWEB上に掲載されます。1回3時間のツアーは20名限定。参加料は1名50ドル(7500円)と安くありません。
集合場所のガーラックまではリノから車で2時間かかるので、レンタカーが必要です。朝早めにリノを発ち、余裕をもって到着しました(注:集合場所は変わることがあります)。
参加者はまず互いに自己紹介をします。温泉バカしか来ないと思っていましたが、大半は一般の旅行者。筆者以外は地元のネバダ州か隣のカリフォルニア州の在住者でした。「ガイザーを見るために日本から来た」と挨拶すると、どよめきが起こりました。
ガーラックからさらに30分、車で北上。「侵入禁止」の札がある柵を主催者が開けて、草地に車を停めます。一刻も早く噴泉塔と対面したいのですが、バーニングマンのイベントや環境保護の取り組みの説明が延々と続きます。主催側は広報活動を兼ねて土地を購入したのですから、我慢するしかありません。
やがて噴出が止まった古い間欠泉や、今まさに発育中のミニ間欠泉が見え、周囲が地熱地帯なのを実感します。
出発から2時間近く炎天下を歩かされたあとで、ようやく噴泉塔を間近で見られます。台座も入れた高さは3m前後。思ったよりは小さかったのですが、抜群の造形です。眺める角度によって噴泉塔の形はがらりと変わります。木道や展望台が設けられていますが、一歩踏み外せば熱水が流れていてヤケドをしかねません。
噴泉塔の湯が溜まった池があるので、浸かってみたいところですが、「万一ケガをした際の責任が取れないので、入浴は許可していない」とのこと。ひそかに水着も持ってきたのに残念です……。池に突き出した木道から腕を突き出して、湯に触るのが精いっぱいでした。
少し青みがかった透明な湯は、意外に癖のない泉質です。温泉バカとしては、「姿勢を崩して、うっかり池に落ちたら、入浴成功だな」という思いが一瞬よぎりますが、やってはいけません。なお、あまりにも熱心に尋ねたからか、「バーニングマン組織にボランティアスタッフとして参加すれば、入浴できる」という情報を教えてもらいました。