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独立行政法人 国際協力機構(JICA)
社会基盤部 都市・地域開発グループ第二チーム 秋葉 拓哉
神秘的な世界遺産ペトラ、浮遊体験ができる死海、映画の舞台となった壮大なワディラム砂漠など、ワクワクする観光スポットが目白押しの国、ヨルダン。今回はそんなヨルダン南部に位置する港湾都市アカバにおけるJICAの取り組みをご紹介します。
目次
ヨルダンの正式名称はヨルダン・ハシェミット王国で、イスラム教の開祖ムハンマドの子孫であるハーシム家を王家とする、立憲君主制の国家です。イラク、シリア、イスラエル、パレスチナといった紛争当事国・地域に囲まれていますが、ヨルダン国内の治安は比較的安定(2024年10月現在)しています。
中東に位置するヨルダンは歴史と自然に富んだ国であり、首都のアンマンはローマ劇場やアンマン城など、古代遺跡が数多く残る都市として有名です。ペトラ遺跡や死海、ワディラム砂漠といった観光地も有名であり、中東の中で安全で安定した観光地として多くの人が訪れています。
アカバは首都アンマンの約350㎞南に位置した都市であり、ヨルダン唯一の港があり、経済特区に指定されています。
紅海に面したアカバはダイビングスポットとして世界的に有名なビーチリゾートであり、夏場のバカンスシーズンには、アラブ圏や国内の観光客が多く訪れます。
アカバから車で北に2時間の距離には、ペトラ遺跡が位置しています。ペトラ遺跡は紀元前2世紀頃にナバテア人が築いた岩窟都市で、岩山を削って作られた壮大な建築物が特徴です。1985年にはユネスコの世界遺産に登録されました。「世界の新7不思議」にも選ばれており、映画『インディ・ジョーンズ』のロケ地として日本人にも人気の観光地となっています。このペトラ遺跡の入り口には、JICAの支援で建設されたペトラ博物館も併設されています。
アカバの東に位置するワディラムは、ヨルダン南部に広がる広大な砂漠で、赤い砂丘と巨大な砂岩が特徴的です。「月の谷」とも呼ばれ、映画『アラビアのロレンス』や『スターウォーズ』のロケ地としても有名です。自然の造形美と静寂が広がるワディラムは、ロッククライミングやトレッキング、星空観察のスポットとして人気があり、2011年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
ほかにも、ワディラム砂漠ではキャンプ泊やラクダ乗りのアクティビティツアーも行われています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
アカバやペトラ遺跡、ワディラム砂漠はヨルダン南部観光のゴールデントライアングルと呼ばれており、人気な観光ルートとなっています。
アカバ経済特区では、これまで2020年を目標年次とした都市開発マスタープランに基づいて都市開発が進められてきましたが、2020年以降の開発計画は作られていませんでした。
そこで、JICAの支援でアカバ経済特区の2040年を目標年次とした都市開発マスタープランの策定を行いました。マスタープランは都市開発の方向性を示した都市開発の計画で、現状の課題分析や開発のビジョン、目指すべき都市構造、交通や災害対策等のセクター毎の開発戦略等が示されています。
2023年には、このプロジェクトの一環として、アカバ経済特区の行政官の皆さんを日本へ招待し、日本の都市や地方自治体等で都市計画・開発、インフラ整備、産業開発、スマートシティ、都市マネジメント等について学ぶ研修を実施しました。
東京の他には、神奈川県、兵庫県、香川県、沖縄県を訪問し、アカバで重要なセクターとされている交通や物流、産業振興、観光などに対する各自治体の取り組みを視察しました。
都市開発マスタープランを更新するにあたって、計画から実際の開発まで大いに参考になる事例を視察することができたと好評でした。
アカバは透き通った海と温暖な気候に恵まれたリゾート地で、観光の拠点にもなる町です。ヨルダンに訪れる際には、ぜひアカバまで足を延ばし、“ゴールデントライアングル”を巡ってみてはいかがでしょうか。そして、アカバでの日本の支援についても想いを馳せていただき、日本のまちづくりとの共通点も探していただけると嬉しいです。日本での研修を活かしたまちづくりが行われるアカバでは、日本らしさも感じることができるかもしれません。