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5回目の世界一周へ!白石康次郎が挑む“海のエベレスト”ヴァンデ・グローブ
2024.11.15
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今月21日に発売する「地球の歩き方フランス2025~26」。今回も旅に役立つ情報とフランス各地の魅力を詰め込みましたが(充実の560ページ!)、残念ながら載せきれなかった場所も多数。そこで、ガイド本編では未掲載ながら編集部が実際に訪れておすすめしたくなった“隠れ推しスポット”をご紹介します!
フランスで「海沿いの町」というと、ニースやマルセイユなど南仏の町 を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実はフランス西部のヴァンデ(Vendée)県にも、大西洋を望む美しい港町レ・サーブル・ドロンヌ(Les Sables-d’Olonne)があるのです!
この町が誇る最大のイベントは、4年に1度開催される「世界一過酷」なヨットの世界大会「ヴァンデ・グローブ」。港にはヨットが集結し、レーススタート1ヵ月前から大会特設エリアが設けられ、町全体が大会ムード一色に。昨年11月10日に第10回大会が開幕し、日本からは白石康次郎さんが出場。スタートから90日、フランス時間の2月9日10時36分(日本時間の18時36分)に24位で見事ゴールを果たしました!(大会開催前の町の様子と白石さんのインタビュー)
そんなレ・サーブル・ドロンヌは、フランスや近隣の欧州では夏のバカンス先として知られているものの、日本はもちろんアジア圏でもマイナーな地域。世界中から観光客が訪れる南仏よりも落ち着きがあり、ローカルなフランスをじっくり味わえるのがおすすめポイントです。筆者が現地を訪れたのは10月下旬でしたが、気温は10~20℃。夜は冷えるものの、日中は晴れていれば薄手の上着でOK。町歩きにちょうどいい、過ごしやすい気候も魅力です。
「隠れ推しスポット」と言えど、パリ・モンパルナス駅から直通の TGV(高速列車)がでています。ロワール地方の「現代アートの町」ことナントからもアクセス良好なので(ナントはガイドに掲載)パリ→ナント→レ・サーブル・ドロンヌ、と徐々に西へと旅するコースを組めば、充実のフランス西部ツアーに!(詳細なアクセスはページ最下部へ)
レ・サーブル・ドロンヌに着いたら、まずはビーチへ!レ・サーブル・ドロンヌ駅から歩いて行けるビーチ La Grande Plage(ラ・グラン・プラージュ)では、水着姿で砂浜を走り回る子供から、ピクニックシートを敷いてのんびり過ごす大人たちまで、人々が思いおもいに過ごしています。ビーチに面した大通りの歩道は広々として歩きやすく、ただ海沿いを歩くだけでも気持ちいい……!
朝の散歩にぴったり!と思い、翌朝8時頃に再び海岸に向かうと、あたりはまだ暗く朝もやに包まれた静かな海が見られました。ひとりで歩いていても特に危険や不安は感じず、治安のよさはフランス随一かもしれません。波と教会の鐘の音だけが聞こえる、少し神秘的な異国情緒に浸れる朝のひとときでした。
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La Grande Plage(ラ・グラン・プラージュ)
住所 Prom. de l’Amiral Lafargue, 85100 Les Sables-d’Olonne
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海沿いの町に来たからには、もちろん新鮮なシーフードが食べたい!この海岸の近くで食事をするならLa Cotriade(ラ・コトリアード)がおすすめ。シーフードの盛り合わせから、海の幸をふんだんに使ったコースまで、メニューが豊富。カジュアルにもスペシャルにも、その時の気分に合わせてシーフードを味わえます。スタッフの皆さんもとてもフレンドリー!
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La Cotriade (ラ・コトリアード)
住所 18 Quai Emmanuel Garnier, 85100 Les Sables-d’Olonne
定休日 1月は冬季休業。その他は月ごとに異なるためHPで要確認
URL https://restaurant-la-cotriade.com/
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Les Barges(レ・バルジュ)では「これぞ港町!」なオーシャンビューを満喫しながら食事ができます。
手づかみでいただくシーフードの盛り合わせから、海の幸を使った家庭料理も提供。広々とした店内には牡蠣や海産品を販売するショップも併設しており、料理の待ち時間や食事の後も楽しめます。
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Les Barges(レ・バルジュ)
住所 7 Rue du Bargeouri, 85100 Les Sables-d’Olonne
定休日 現在、店内改装のため一時閉業中。2025年4月にリニューアルオープン予定
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現代アートの美術館Musée d’Art Moderne et Contemporain(近現代美術館)は、もとは修道院という質素な外観とは裏腹に、中へ入れば真っ白な壁と、自然光が差し込む明るく開放的な空間が広がっています。
10月末に訪れた際は、ヴァンデ・グローブの開催に合わせて、第1回大会の優勝者で、現在はアーティストとして活動しているTitouan Lamazouの色彩豊かな作品が展示されていました。
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Musée d’Art Moderne et Contemporain(近現代美術館)
住所 Rue de Verdun, 85100 Les Sables-d’Olonne
入場料 €5(18歳未満と毎月第一日曜日は全員無料)
定休日 月曜、1月1日、5月1日、12月25日
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ビーチからすぐのL’île Penotte(イル・プノット)という地区には、貝殻を使ってさまざまな生き物たちや町の景色を描いた壁面アートが。絵柄によってガラッと雰囲気が変わる通りを歩き回っていると、まるで絵本の中の世界に入り込んだかのような気分に。
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L’île Penotte(イル・プノット)
住所 5-7 Rue d’Assas, 85100 Les Sables-d’Olonne
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レ・サーブル・ドロンヌ産のスープ、リエット、缶詰などを生産・販売するLa Sablaise(ラ・サブレーズ)の直営店は、おみやげにぴったりな商品がずらり!
近隣で獲れた材料で作られた品々は、着色料や保存料を使用せず、環境にやさしい製法にこだわっています。製造には地元の人々が携わり、地域経済にも貢献しているのだとか。
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Conserverie La Sablaise – Le Comptoir(缶詰工場ラ・サブレーズ 直営店)
住所 Parc Actilonne, All. Alain Gautier,Les Sables-d’Olonne 85340
定休日 日曜
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家族経営のワイナリーDomaine Saint Nicolas(ドメーヌ・サン・二コラ)では、ていねいな説明と共に無料で試飲をさせてもらえます。(“飲めばおいしさがわかってもらえるから”とのこと)。フードとのペアリングや、ワイン畑の見学を含む有料のツアーも催行しているほか、ワインにまつわるベントも開催しているので、ワイン好きの方は公式HPを要チェック。
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Domaine Saint Nicolas(ドメーヌ・サン・二コラ)
住所 Les Clous 85340 L’Ile d’Olonne
定休日 日曜
URL https://www.domainesaintnicolas.com/
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レ・サーブル・ドロンヌの食はシーフードだけにあらず!各店のシェフが地元の食材をベースにユニークな一品を提供してくれるお店をご紹介します。おいしいのに気軽にふらっと入れる、あたたかな雰囲気のお店が多いのは、オープンマインドな人々が集う港町だからこそ。
夫婦でお店を営むLa Suite S’il Vous Plaît(ラ・スイット・シルブプレ)は、『ミシュランガイド2024』にも掲載。季節ごとにメニューが一新され、シェフの個性が光る斬新な組み合わせで、旬の味覚を楽しめます。
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La Suite S’il Vous Plaît(ラ・スイット・シルブプレ)
住所 20 Bd Franklin Roosevelt, 85100 Les Sables-d’Olonne
定休日 日曜、月曜、(火曜はディナーのみ)
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学生時代の友人2人でスタートしたLe LIEN(ル・リアン)は、ひと皿ごとに目の前で仕上げのソースをかけて提供。まさに「lien(=つながり)」という店名のとおり、ソースで多様な食材を「つなげて」味わえます。
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Le LIEN(ル・リアン)
住所 828 rue de la boule, Sainte-Foy
定休日 月曜、火曜
URL https://www.restaurant-le-lien.com/
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昨夏にオープンしたばかりのVERTIME(ヴェルテム)は、町の中心部から近く、港が目の前に広がるロケーション抜群の4つ星ホテル。シンプルで絶妙な色使いの内装がおしゃれで、インテリアの一つひとつにこだわりが感じられます。
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VERTIME (ヴェルテム)
住所 10 Boulevard de l’Île Vertime, Les Sables-d’Olonne
料金 ダブルルーム €100~/泊
URL https://vertime-lessables.com/
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そんなVERTIMEには、なんと日本人スタッフが!日本人観光客がほとんど来ないこの町に一体どうして?と気になり、お話をうかがいました。
ご出身は熊本県。旅行添乗員として働いていたときに「ニュージーランドのスタッフ募集」の張り紙にピンときて、迷うことなく申し込んだというまゆみさん。応募時点では英語は話せなかったそう!それでも現地で数年働き、帰国すると今度はマレーシアへ。
その後も世界各地へ転勤を重ね、タヒチで現在のパートナーと出会って結婚。子育てを考えてフランスへ移住したそう。働きながら語学を身につけ、現在フランス在住17年に。
ホテルスタッフとして働くかたわら日本語教師もされており「下は13歳から上は74歳まで。漫画や日本の文化に興味を持って習い始める方が多いです。最近は中高生が増えてきましたね」と、意外にも日本語の需要はじわじわと高まってきている模様。
実際に暮らしているまゆみさんから見たレ・サーブル・ドロンヌとは?
「適度な田舎で暮らしやすいです。子供を育てるのにもいい環境で、やはり海が身近なので、子どもたちは昔からマリンスポーツに親しみがあります。学校の授業でも、小さい帆船に乗るんですよ!大人になった今でも、日が長い夏は友達同士で海辺に集まって、夜のピクニックをしてますね。」
ニュージーランドに始まり、さまざまな国で暮らしてきたまゆみさん。
「ひとつ行くと、またひとつ。もっといろいろなところに行きたい!と欲は増すばかりで、世界を巡ってました(笑)子供たちにも、どんどん海外に行ってほしいなと思います。」
【飛行機を使う場合】
・パリCDG空港→ナント空港 約1時間
・ナント空港→レ・サーブル・ドロンヌ駅
鉄道ナント駅からTER(ローカル電車)または車で約1時間半
【TGV(高速鉄道)を使う場合】
パリ・モンパルナス駅(Gare Montparnasse)からレ・サーブル・ドロンヌ駅(Gare des Sables-d’Olonne)までTGVが運行。
・直通列車の場合
所要約3時間。
・乗り継ぎがある場合
パリ・モンパルナス→ナント(TGV)約2時間
ナント→レ・サーブル・ドロンヌ(TER)約1時間30分