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タンザニアで日本の“当たり前”を実現し都市課題の解決を目指す!

JICA都市・地域開発グループ

JICA都市・地域開発グループ

国際協力機構

更新日
2025年1月20日
公開日
2025年1月20日
©iStock

独立行政法人 国際協力機構(JICA)
社会基盤部都市・地域開発グループ第1チーム 入野啓太

タンザニアという国について、皆さんは何を思い浮かべますか? タンザニアはアフリカにある共和制国家ですが、あまり日本人にとってなじみのある国ではないかもしれません。年中暑い、動物、コーヒーなどのイメージがあるでしょうか。今回は知られざるタンザニアの魅力とJICAの都市開発分野における取り組みをご紹介します。

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タンザニアってどんな国?

タンザニアは東アフリカに位置し、日本の約2.5倍の国土と約6500万人の人口を有しています。国内には、アフリカ最高峰のキリマンジャロ山、映画『ライオンキング』のモデルとなったことで有名なセレンゲティ国立公園、サンゴ礁の白い砂浜を持つザンジバルなど、アフリカを代表する自然や文化遺産が豊富にあります。

  • 綺麗な砂浜と海(JICA撮影)
  • 広大な大地(JICA撮影)

タンザニアは、東アフリカに位置していることから日本とは地理的・文化的な接点は少ないですが、資本主義・自由主義といった価値観をおおむね共有できる友好国のひとつです。また、経済成長も相まって日本企業が進出しやすい状況となっており、次時代の新興国として注目されています。

意外?と多い徒歩での移動

交通分野に焦点を当てると、旧首都であるダルエスサラーム市の交通手段は、BRT(バス高速輸送システム:Bus Rapid Transit)、「ダラダラ」と呼ばれる乗り合いバス、「バジャジ」と呼ばれる三輪自動車(トゥクトゥクのような乗り物)、鉄道、フェリー等があります。

ダルエスサラームの人たちは移動の際、約半数がBRTやダラダラを利用しており、公共交通がダルエスサラーム市民の足として生活を支えています。また、次点は意外(?)にも徒歩となっており、約4割の人たちが日頃から徒歩で移動をしているようです。

 

JICA支援により作成したダルエスサラーム都市交通マスタープラン改訂プロジェクト

都市交通マスタープラン:都市交通実態調査に基づき、交通実態の分析や都市圏の将来交通量予測を行い、都市計画道路や公共交通及び交通結節点等の将来計画により都市圏全体の交通施策のあり方を提案するもの

  • 停車中のダラダラ。行先を判別するのが難しい(筆者撮影)
  • 走行中のバジャジ。スマホで呼び出し可能(筆者撮影)

一方、経済成長を背景に自家用車保有台数が2007年から2017年にかけて2.4倍に増加し、急激なモータリゼーション化が進むにつれ、市内の交通渋滞が深刻化しています。ダルエスサラームは、国際的に競争力のある都市の実現に向けて、交通渋滞の緩和を重要なテーマと捉えており、都市交通マスタープランでは、「公共交通指向型(TOD)メガシティ」という公共交通を中心とした都市構造が提案されています。

TODとは”Transit Oriented Development” の略で、国土交通省のHPによると「鉄道駅等の公共交通拠点の周辺に都市機能を集積するとともに、鉄道、バス等の乗り換えが容易な交通結節点を整備」ということを指しています。この説明を聞き「多くの人が日常的に鉄道を使い、駅中心に都市機能が集積している日本では当たり前なのでは?」と思った方がいるかと思います。その通りです。このTODという概念、実は日本にとっては至極当たり前な都市の姿を指しています。

  • 駅に停車中のBRT(筆者撮影)
  • 専用道を走行中のBRT(筆者撮影)

JICAの取り組み

都市交通マスタープランでは、交通渋滞緩和に向けTODという考え方のもとBRT沿線を対象に、利便性を高め、公共交通の促進を図ることを提案しています。そんななか、JICAでは、タンザニアのTOD推進のアプローチを促進させるためのTOD都市開発能力強化支援プロジェクト(ODA見える化サイト)を進めています。プロジェクトでは、TODに関する戦略・ガイドラインの作成、調整メカニズムの整備、本邦研修等(※)を行い、ダルエスサラーム市の関係機関のTOD計画・実施にかかる能力の強化を行っています。

本邦研修:実際に日本に来てもらい、視察や講義を通じ、日本の技術や知識を習得してもらう場のこと

  • 関係機関でBRT沿線について議論(JICA撮影)
  • 日本の事例を視察。三宮駅周辺の様子(JICA撮影)

JICAだからできること

今回のTODに限らず、日本の当たり前の取り組みが海外から評価されることはよくあります。日本人として誇らしく感じると同時に、もっと日本の当たり前のよさに気づくべきだなとも感じています。この当たり前の取り組みに対して価値を見出すことは、JICAだからこそできることであり、個人的には、責務に近いものかなと感じています。

少し趣旨が外れてしましたが、この記事を通じて、日本から遠く離れたアフリカのタンザニアでも日本の技術・取り組みが評価され、JICAは評価された技術や取り組みを活用し現地の社会課題の解決に向けた活動をしているということを少しでも認識してもらえましたら嬉しいです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。それではまた。

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