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「食在広州」は中国人ならだれでも知っている広州のキャッチフレーズ。その名のとおり、中国のなかでも食へのこだわりが強いといわれ、食材や調理法が多く、おいしいものを食べるなら広州!といわれています。そんなグルメのイメージが先行する広州ですが、実は町歩きもとっても楽しい! 今回は、2025年2月に中国南方航空に乗って初めて広州を旅した様子をレポートします。
陳氏書院を見なければ、広州に来た意味がない―そういわれるほど、欠かせない観光スポットです。もとは清の時代に苗字が「陳」の一族が教育や科挙の受験勉強のために建てた書院でした。こちらがマストスポットといわれる所以は屋根や壁面を飾る精緻な陶器、木彫、石彫、鉄鋳などの豪華な装飾! 「三顧の礼」、「赤壁の戦い」などなじみのある物語にちなんだ彫刻もあり、一つひとつ眺めていると日が暮れそうなくらい細かくて美しい手仕事に圧倒されます。中国古代建築の庭や廊下はフォトジェニックで、ポーズを決めて撮影を楽しむ若い方もたくさん訪れていました。
広州の町の中心を流れる川・珠江沿いにそびえ立つ高さ600mのランドマーク広州タワー。外観はユニークなねじれた形状で中国語で「小蛮腰(シャオマンヤオ)」(細いウエスト、という意味)といわれるほど。展望台からは広州の町並みを360度見渡せる絶景が楽しむことができ、足元がガラス張りになったフォトスポットなど、エンターテインメントも満載です。今回は訪れることができなかったのですが、塔の外側にはフリーフォールやタワーの周りを回る観覧車のようなアトラクションも。いつかトライしてみたいものです!
先ほどの広州タワーのお膝元にある珠江で必ず体験したいのが夜のクルーズ、通称「珠江夜遊」。心地よい夜風を感じながら、両岸に建ち並ぶ高層ビル群のネオンや行き交うほかのクルーズ船が放つ光のパノラマをゆったりと鑑賞できます。筆者が訪れたのはちょうど旧正月の終わりかけの時期だったため、春節を祝うイルミネーションもたくさん見られ、それもまた中国らしい文化を感じられました。食事やエンターテイメントを楽しめる船もあり、旅の夜のすてきな思い出になること間違いなし。
広州の歴史も知っておきたい、という方におすすめなのが南越王宮博物館です。「南越国」とは、中国南部からベトナム北部にかかるエリアを指すかつての国名。広州は、この南越国の首都がおかれていた場所でした。今回のツアーで視察した王宮展区は、2000年以上の歴史をもつ南越国の宮殿や庭園の遺跡となっており、1995年に発見された比較的最近の遺構。精巧な造りの庭園の跡が展示され、さまざまな工夫で水の流れを造っていたことがよくわかり当時の高度な土木技術や繁栄に思いをはせることができます。
中国の大手SNS「ウィーチャット」で広州 観光などと検索すると真っ先に上がってくるのがこの大沸寺。その名のとおり、境内には迫力ある仏像が安置されており、参拝する市民や観光客も多く見られます。また、荘厳な建築がフォトジェニックと人気で、とくに夜は黄金に光り輝く姿と一緒に写真を撮りに来る人が後を絶ちません。町の中心地に位置しているので立ち寄りやすく、広州に来たら一度は訪れたいスポットです。
広州はイギリスやフランスの租界となった地区の歴史があるため、そのエリアでは洋風建築を今でも見ることができます。なかでもぜひ訪れてほしいのが石室聖心大聖堂。1888年に完成した教会で、中国国内で最も高い58.5mの尖塔にまずは目をうばわれます。中に入ると熱心に祈りを捧げている信者の姿も多く見られ、荘厳な雰囲気。フランス人の建築家がパリのノートルダム大聖堂を参考にしたというステンドグラスの美しさにもうっとりします。
最後に紹介するのは2024年11月にできたばかりの最旬スポット雲夢植物園。温暖な気候ゆえ、広州は別名「花城(花の都市)」と呼ばれるくらい、1年をとおしてさまざまな花を愛でることができます。広大な敷地には、約1500種以上の植物を保有。「木棉道」と呼ばれる約2kmの空中回廊や、広州の町を見渡せる展望台などもあり散策しながら四季折々の花々とふれあい、写真撮影を楽しんでいる人々がたくさんいました。
広州の必訪観光名所をご紹介してきましたが、そもそも広州ってどうやって移動するの?中国を旅行するのっていろいろ大変そう……という方も多いはず。
まず、広州はがそこまで大きくなく、地下鉄も発達しているので、中国の大都市のなかでも比較的個人旅行がしやすいと感じました。筆者が2024年に上海へ旅行した際は、流しのタクシーはほとんどつかまえられず、タクシーアプリを駆使したのですが、広州にいたっては流しのタクシーがバンバン走っており、すぐに乗ることができたのでアプリを起動することもありませんでした。支払いは電子決済が主流ですが、現金ももちろん使用可能です。
地下鉄は、中国のアプリ「アリペイ」または「ウィーチャットペイ」のミニプログラムからすぐに起動することができ、スムーズに乗車することが可能。中国ではおなじみですが、地下鉄でも乗車時に必ず荷物検査をするので、治安の面でも安心感があります。
また、中国はGoogle Mapがほとんど使えないため、中国の地図アプリ「高徳地図」または「百度地図」を使用することになります。「高徳地図」は英語の設定もできるため日本人旅行者にもおすすめ。さすがIT先進国で、目的地へのルート案内中にカメラを起動して目の前の景色とナビを連動してくれたり、信号機が変わるタイミングまでカウントしてくれるなど、中国のハイテクさも感じることのできるアプリです。
古くから海外との窓口になっていた都市ということもあり、中国でありながら西洋のエッセンスも持ち合わせている広州。実際に旅をしてみて、とても「包容力」のあるだなという印象をもちました。香港や台湾のような南方特有のユルさ、そしてな国と歴史や経済の交流の地であったためか、人々がみなあたたかくおだやかでフレンドリー。中国旅行初心者の方にもとってもおすすめしたい町です。
次回は、「食在広州」!現地で実際に食べたグルメをご紹介します。
『地球の歩き方 広州 アモイ 桂林』編では今回紹介したスポットはもちろん、広州でぜひ訪れていただきたい観光地をほかにも多数紹介しています。
D05 地球の歩き方 広州 アモイ 桂林 珠江デルタと華南地方 2019~2020
Dシリーズ(アジア) 地球の歩き方 海外
2019/02/20発売華南最大の都市広州、菜の花畑の美しいブ源、魅力ある福建土楼。多くの民族が暮らす中国南東部と珠江デルタに特化した一冊
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TEXT:地球の歩き方編集室 斉藤麻理
PHOTO:斉藤麻理/広州市文化電旅遊局