• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

バングラデシュ首都ダッカを走る「ドリームプロジェクト」とは?

JICA都市・地域開発グループ

JICA都市・地域開発グループ

国際協力機構

更新日
2025年5月29日
公開日
2025年5月29日
©istock

アッサラームアライクム! こんにちは。今回は、南アジアで急成長を続けるバングラデシュ、その経済の中心部である首都ダッカの都市・交通について、日本が協力する「ドリームプロジェクト」も交えて、ダッカ駐在中の筆者から紹介します!

AD

バングラデシュってどんな国?

インドのお隣にあるバングラデシュは、日本の約4割の国土面積(北海道+東北くらい)に、日本より多い約1億7500万人が住んでいます。世界でも有数の人口密度、さらに国の平均年齢は約29歳で、膨大な若いエネルギーに満ちています。

イスラム教国で、お祈り時間には街中のモスクのスピーカーからアザーン(お祈りの呼びかけ)がBGMのように流れます。穏健で他宗教にも寛容な国民性、とても親日な方も多く、街なかでも「日本人?日本行ったことあるよ!」なんて突然話しかけられることもあります。

年間の気候は、雨季(6月〜10月)は高湿度&30度超えの日々ですが、乾季(11月〜3月)はカラッと20度を下回る過ごしやすい日もあります。中心産業は縫製業で衣料品輸出額世界2位! 皆さんお持ちの服にもメイド・イン・バングラデシュがあるかもしれません。

また、お米のひとり当たりの消費量は日本の3倍! 多種多様なスパイスを効かせた「ビリヤニ」などの米料理店が街なかのいたるところにあります。

 

  • ©︎istock 世界最長のビーチと言われているコックスバザール
  • 街なかの露店にはたくさんのフルーツが並び、特に6月頃のマンゴーは絶品・超格安です!
  • ©︎istock ダッカ中央駅近くにあるダッカ最大のモスク、バイトゥル・ムカッラム
  • ©︎istock 8階建てのモスク内で祈りを捧げる人々
  • 人気店のひとつ「カッチバイ」のビリヤニ。香り高いバスマティ米、じゃがいもとほろほろマトンはやみつきになる美味しさ。ちなみにビリヤニは店により種類・味はさまざまで、これはほんの一例です
  • 日本で購入したTポロシャツのタグを見るとMADE IN BANGLADESHの表示が

いたるところにリキシャ!ダッカの交通

各リキシャ、後部の派手なカラフル装飾「リキシャアート」で個性を演出しています。乗車賃は都度交渉で、だいたい50-100タカ(約120円)程度です

首都ダッカは人口約2000万のメガシティ。経済・政治の中心地で、中高層のビルやインフラが急速に整備・開発されてきています。初めて訪れる日本の方からはよく「思ったより発展していて、人が多くてエネルギーに溢れてますね!」と言われます。

そんなダッカでまず目につくのは「リキシャ」。自転車形式の人力車です。その数は数十万台以上といわれますが正確には不明…! 市民の足ながら、やはり人力なので低速、ときに道路を無秩序に走り回るため渋滞の原因にもなっています。

バスやミニタクシー(通称CNG)も市民の足になっています

さて、これらさまざまな交通手段が存在するダッカですが、交通規制が不十分(信号がほとんどありません!)、バスなどの交通サービスの質が低いなど、交通問題がたくさんあります。自動車・バイクも入り乱れて交通渋滞は日常茶飯事、特に乾季は自動車の排ガスなどによる大気汚染が深刻となり、これらの解決が大きな課題となっています。

信号の無い交差点では、車やバスのほか、リキシャやバイク、自転車までも渋滞に巻き込まれます

日本が協力!ダッカメトロ

ダッカメトロ6号線全線が高架鉄道で街なかを走ります。運賃は初乗り20タカ、16駅全部乗っても100タカ(約120円)です(ICカード利用で10%割引)

そんな交通問題解決のために大活躍しているのが、バングラデシュ初の都市高速鉄道、ダッカメトロ6号線です。2022年12月に開通し、2023年11月からは16駅がオープン。私は開通前から現地駐在していますが、当時の現地紙では「ドリームプロジェクト実現!」といった記事が連日掲載されるなど、国中が大盛り上がりでした。

ダッカメトロ6号線は、中心部の約20kmを縦断し、車では渋滞で2時間以上かかる区間が40分で行けると大人気! なんと現在は1日30~40万人が利用しています。現在開通しているダッカメトロはこの1路線のみで、まだ日本のような複数路線によるメトロのネットワークはありませんが、既にこれだけの市民に利用されているのは予想以上です。

日本・JICAの協力によって建設されたことを含め、日本とバングラデシュの友好を示すプレートがすべての駅の改札付近に掲示されています

実は日本、10年以上前から、鉄道運営会社の設立や都市鉄道法・基準づくりのために専門家による技術的な協力や、建設資金の低利融資(円借款)を行ってきています。建設にも多くの日本企業が関わり、日本の鉄道技術ベースの標準システム、日本の通勤車両モデルの車両、SUICA・PASMOと同じ技術のICカードも導入されています。

エレベーター、車いすも通過できる幅広の自動改札機、点字ブロック、お年寄りなどのための優先席、女性専用車両などさまざまな方が安心・安全に利用できるための設備が整備され、全駅にホームドアも設置されており、開業以来、人身事故もゼロです。

ダッカでは先頭車両は常に女性専用車両です

ちなみに、JICAバングラデシュ事務所が開催したダッカメトロ動画コンテストでは、メトロへの愛を表現する動画がたくさん投稿されました!

クリエイティブな優勝動画はこちらからご覧いただけます。クオリティ高いです。

দেখুন My MRT Experience কন্টেস্টের ১ম বিজয়ীর ভিডিও কনটেন্ট ! জাইকা আয়োজিত ‘My MRT Experience’ কন্টেস্টের প্রথম পুরস্কার বিজয়ী Tanvir Jawad একটি অসাধারণ… | By JICA Bangladesh | Facebook

さらなるダッカの都市・交通の発展へ

ダッカ新ターミナル内は天井のデザイン含めて圧巻の内装です(現在は開港前で、写真は進捗状況の視察時に撮影)

ダッカメトロ6号線は大活躍中ですが、やはり、メガシティダッカの交通渋滞解消のためには更なる取り組みが必要です。日本は、バングラデシュ初の地下鉄となる1号線や、5号線(北路線)にも協力しており、将来的には新たな路線が完成し、鉄道ネットワークが形成されていく見込みです。並行して、公共交通を中心とした都市開発を進めるため、その計画・制度づくりにも日本人専門家が協力しています。

また、バングラデシュ最大のダッカ空港の新ターミナル建設も進んでおり、実はこの建設にも日本が協力しています。現在は開港前ですが、近い将来にはピカピカの空港に降り立つ/飛び立つことができるようになると期待しています。

依然、ダッカの都市・交通状況は混沌とした様相ですが、こうしたインフラ開発や技術的な能力強化を通じ、このメガシティをよりよい都市にしていけるよう、JICAとしても継続的に取り組んでいきます。

未来に向けて

©︎istock

ここまでバングラデシュや、メトロに注目したダッカの交通について簡単に紹介しましたが、この国の歴史と文化はまったく紹介しきれません。また、本稿で詳細は割愛しますが、昨年8月には学生デモを発端とする一連のデモにより突然の政権交代となり、現在は暫定政権と市民が国をよりよくしようと改革を試みており、激動の時期の真っただ中でもあります。

日本・JICAは長年のパートナーとして、交通をはじめとするインフラのみならず、行政・法制度、農業、保健医療、エネルギー、防災、ICT(情報通信技術)、民間セクター分野など、幾多の先人たちが本気で発展のために尽力してきており、この姿勢は激動の時期でも変わりません。これは、バングラデシュの方々が親日である大きな理由のひとつだとも思います。

もしバングラデシュに訪れる機会がありましたら、この国の溢れんばかりのエネルギーと共に、尽力してきた先人たちの足跡を感じる機会もあるかもしれません。本場のビリヤニはどんなものかと一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

 

トップへ戻る

TOP