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首都・プラハの周囲にドーナツ状に広がるチェコ最大の州が中央ボヘミア州です。古くからボヘミア王国の政治・経済を支えた歴史的な町や古城が多く存在していて、見どころが数多く点在しています。なかでも代表的なのが、クトナー・ホラとカルルシュティン城。ここでは、まずクトナー・ホラの観光について深掘りします。世界遺産の旧市街や有名な骸骨教会のほかにも多くの見どころがあり、プラハからの日帰り旅の目的地としてだけでなく、中央ボヘミア周遊旅の拠点にもなります。
プラハの東約65kmにある中部ボヘミアの小都市。もともとは山合いにある小さな村でしたが、13世紀後半に銀鉱山が発見されると急速に発展を遂げることとなります。町で採れた銀は、最盛期にはヨーロッパ全体の銀産出量の約1/3を占め、ボヘミア王国における一大経済基盤となりました。ところが、16世紀に銀が枯渇すると急速に衰退。しかし、町には今も当時の栄華を反映する建物が多く残っています。聖バルバラ教会や墓地教会などはユネスコの世界遺産に登録されています。観光エリアはセドレツと旧市街の2ヵ所に分かれており、両エリア内は市バスで約5分。徒歩でも30分あれば行き来できます。
車:プラハから約80km、所要約1時間。
鉄道:セドレツはクトナー・ホラ本駅、旧市街はクトナー・ホラ・ムニェスト駅が最寄り。プラハからはまずクトナー・ホラ本駅へ行き(1時間に1便程度運行、所要約1時間)、セドレツを観光してから旧市街へ市バスまたは徒歩で向かうのがおすすめ。
チェコ鉄道
URL:www.cd.cz/en
時刻表検索IDOS
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チェコ全国の時刻表検索サイト。鉄道、長距離バス、都市交通まで網羅し、出発地と目的を入力すればスケジュールが確認できる。
13世紀、セドレツの修道院長が聖地エルサレムを訪れた際に持ち帰った土を撒いたことを起源とする教会です。以来聖地と見なされボヘミアのみならず中央ヨーロッパ全土からここに埋葬されることを願った遺体が集まりました。その後ペストの流行やフス戦争により死者が急増、教会の墓地は遺骨であふれかえったとされています。内部は人骨で作った装飾で埋め尽くされ、柱やシャンデリアなども骨でできています。こうした骨の装飾は19世紀後半にチェコの木彫師フランティシェク・リントFrantišek Rintにより作られたもの。「メメントモリ(死を思え)」の考えを今に伝えています。
チェコ最大のゴシック教会として13世紀末に建造されました。カトリックとプロテスタントの対立による三十年戦争で大きく破壊されてしまいましたが、18世紀にバロック・ゴシック様式で修復されました。墓地教会のそばにあり、共通のチケットで入場できます。
セドレツから旧市街へは、市バスや徒歩で移動しましょう。入り組んだ石畳の路には教会や歴史的な建物、広場、優美な柱像が連続し、見る者を飽きさせません。観光スポットも多彩で、地ビールが飲めるレストランや雰囲気のよいカフェ、おみやげ店もあるので、のんびりとお散歩を楽しむのがおすすめです。
後期ゴシックを代表する建造物のひとつ。教会名の「聖バルバラ」は鉱山職員の守護聖人であり、銀鉱の町クトナー・ホラならではです。建造開始は14世紀後半。資金のほとんどをカトリック教会ではなくクトナー・ホラ市民が調達したという点でも非常に珍しい教会です。フス戦争や資金不足により工事が何度も中断されますが、1558年にひとまず完成。その後改修が続けられたため、バロックなど異なる様式の影響も加わっています。内部にはランタンを掲げた鉱員の像や貨幣鋳造職人たちのフレスコ画などがあり、鉱員たちのために建てられたという歴史を物語っています。
チェコ語の「Galerie Středočeského kraje」の頭文字を取り、GASKの愛称で親しまれる巨大アートギャラリーです。中央ボヘミアのアーティストが手掛けた現代アートを中心に1万1000点以上のコレクションを収蔵・展示しています。常設展では20世紀から21世紀にかけてのチェコ国内のアートの変遷を紹介。建物は旧イエズス会大学の建物を利用しており、外には美しい庭園が広がっています。おしゃれなミュージアムカフェもあるので、時間をとってゆっくりと見学しましょう。
14世紀、クトナー・ホラには造幣局が作られ、町で産出された銀からグロシュ通貨を鋳造していました。三十年戦争後の1726年に閉鎖されましたが、建物は今も残り博物館として公開されています。見学できるのは3ヵ所で、ツアー1~3に分かれています。1は銀山の坑道、2は造幣局と製造された貨幣の展示、3は礼拝堂や国王謁見の間。名前は造幣局設立当時に統一銀貨鋳造に尽力した専門家がイタリアのフィレンツェから招かれたことに由来しています。
活版印刷に関して紹介している小さな博物館。館内には19世紀に使用されていた手動の印刷機や活字、製本道具などが展示され、かつての印刷所の雰囲気を感じられます。ユニークなのが、展示品となる昔の印刷機械に実際に触れて見学できること。またガイドに解説されながら、100年前のボストン式印刷機(19世紀の活版印刷機)でオリジナルのポストカードを刷って持ち帰ることもできます。
1918年に創業したクトナー・ホラのチョコレートメーカー「リドカ(Lidka)」の工場に併設したチョコレート博物館です。かつてチェコ最大のチョコレートメーカーとして国内外に輸出されましたが、1948年に国営化されると衰退。1958年には廃業してしまいましたが、その後2018年に再び生産を開始しました。博物館ではリドカやチョコレートの歴史についての展示のほか、自社チョコレートが購入できるファクトリーショップもあります。
「銀の町」、クトナー・ホラに関して学べる体験型博物館です。内部はツアーで見学でき、銀の町としてのクトナー・ホラの起源や中世における銀採掘の様子、銀の精製や加工、貨幣鋳造について紹介しています。ハイライトは、中世の銀鉱山の坑道に入ることができること。伝統的な鉱夫の服装に身を包み、手に持ったランタンの明かりを頼りに人ひとりがやっと通れる狭い坑道を歩きます。
チェコのゲームスタジオ「Warhorse Studios」が開発したオープンワールドRPG『キングダム・カム・デリバランスKingdom Come: Deliverance』。舞台となるのは中世のボヘミア(現在のチェコ)で、中央ボヘミア州からも多くの場所が登場しています。クトナー・ホラはゲーム内で「Kuttenberg」という町で登場し、「墓地教会」、「聖バルバラ教会」、「イタリアン・コート」のほか町の中心となり現在は観光案内所のあるバラツキー広場なども見ることができます。またクトナー・ホラの近郊にあるマレショフ要塞では、『Kingdom Come: Deliverance』をテーマにした体験型脱出アクティビティも開催。ゲームの世界に浸ることができます。
世界的ブランドのホテルはないものの、個人経営の宿が旧市街を中心に点在しています。多くが50室以下のプチホテルで、なかにはヴィラ(ペンション)タイプの宿も。観光客の多くはプラハから日帰りという場合が多いので、夜は静かに過ごすことができます。宿泊料金がプラハよりも割安なのもうれしいところです。
クトナー・ホラ・ムニェスト駅のそばにある、50室の小規模ホテル。歴史的な建物を改装した内装は雰囲気たっぷり。レストランを併設しています。
旧市街の外れにあるブティックホテル。客室はわずか8室で、いずれもおしゃれで優雅な雰囲気。スパを併設しており、旅の疲れを癒やすことができます。
クトナー・ホラには、おみやげにもぴったりの地元グルメがたくさんあります。チェコと言えばビールが人気ですが、クトナー・ホラはワインの生産地としても有名です。クトナー・ホラ・ワイン・セラーでは地元産のワインを生産、販売しています。ビール派の人には、クトナー・ホラ・ピヴォバルがおすすめ。地元産のクラフトビールは町のレストランやホスポダでも味わえます。またチョコレート博物館併設のチョコメーカー、リドカやコーヒー豆ロースタリーのカヴィ・ピテルも見逃せません。
(上)クトナー・ホラ・ワイン・セラー Kutná Hora Wine Cellars
URL:https://vinokutnahora.cz
(上)クトナー・ホラ・ピヴォバル/Kutnohorský pivovar
URL:https://pivokutnahora.cz
(上)リドカ/Lidka Chocolate Factory
URL:https://www.chocomuseum.cz
(上)カヴィ・ピテル/Kávy pitel
URL:https://www.kavypitel.cz
クトナー・ホラの周辺には古城が点在しており、いくつかは観光客向けに開放されています。見どころとして興味深く、アクセスもよい2つの城を紹介します。
クトナー・ホラの南東約25kmほどの小さな町、ジュレビーにある古城。13世紀後半にリヒテンブルク家により建造され、1356年にはボヘミア王のカレル4世の城となりました。その後いくつかの貴族の支配を受け都度改装。現在のネオゴシック様式の建物は19世紀半ばアウエルスペルク家により完成しました。
内部は当時ままに保存されており、それぞれ訪問場所の違う4つのツアーで見学できます。豪華なインテリアや武器・甲冑のコレクション、チャペル、劇場などは必見です。外には24ヘクタールにも及ぶイングリッシュガーデンが広がっており、白鹿の囲いや鷹狩りの実演なども行っています。
クトナー・ホラの北東約10km、スヴァティー・ミクラ―シュSvatý Mikulášにあるネオ・クラシック様式の城館です。チェコにある古城にしては珍しくフランスの宮殿のような造りで、柱が連続して並ぶコロネード(エンパイア)様式が特徴的です。建造は19世紀前半、端から端までは約230m、内部には200もの部屋があります。内部はツアーで見学でき、ハイライトは歴史的な図書館ホールやサロン、バロック様式の劇場など。衣装のレンタルも行っているので、ドレスを着ての記念写真にもチャレンジしてみましょう。
モバイルアプリのPID Lítačkaで、中央ボヘミア州の公共交通チケットを購入できる。クトナー・ホラの市バスのほか、州内の都市間鉄道、さらにプラハの市内交通でも利用できる。24時間チケットを購入すれば、複数都市を効率よく、お得に回ることができます。
中世の面影を色濃く残すクトナー・ホラは、世界遺産の教会群や独特の雰囲気を持つ墓地教会、銀の町として栄えた歴史を体感できる博物館など、見どころがコンパクトに凝縮された街です。プラハから日帰りでも訪れることができますが、旧市街に宿泊してゆったりと街歩きを楽しめば、昼とは異なる静かな表情にも出会えるでしょう。さらに周辺には個性豊かな古城も点在しており、中央ボヘミア州を巡る旅の拠点としても最適です。歴史とアート、そしてローカルの魅力が調和したクトナー・ホラで、ひと味違うチェコ旅行を体験してみてはいかがでしょうか。