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▲新居?
日曜日早朝、サンフランシスコで、1880年に建てられたイタリアンスタイルのビクトリアンハウスの"お家"の引っ越しがありました。なんでも45年ぶりくらいの一大イベントだったらしく、その様子はまるでパレードだったそうですよ。油圧式の台車に乗って時速1マイル(≒1.6km/h)のスピード。(陸亀の時速は350mらしいです)
YouTubeこちら
▲引っ越しルート(お家はフランクリン通りから出発してます)
807フランクリン通り(807 Franklin ST)から、最も平坦なルートを7ブロック635フルトン通り(635 Fulton ST)までのお引っ越し。「皆さん道路脇に寄ってください、これからお家が道路清掃を始めます〜」ってアナウンスし移動開始。床面積465平方メートルの大きなお家は、まるでパレード。大きすぎる為、移動途中、パーキングメーターや道路表示、木の枝が邪魔になってしまい、外したり、移動させたり、切ったりと、大騒ぎだったようです。
(日曜日午前中隣の通りを通ったのに全然気が付かず、この歴史的な引越しを見逃してしまいました)
翌日、早速見物に行ってみたら、近所の人や噂を聞きつけた同じように見物客が大勢歩道にいました(苦笑)ユーチューブの話なんかしながら写真撮ってました。隣も古そうな建物"元葬儀場"です。ぴったり収まってるのが、すごいと思ったのですが、ビクトリアンハウスが引っ越してくるので、事前に4mほどずらしていたそうです。なるほど
移動費はしめて4000万円也。
▲次々と見物客
引っ越してきたビクトリアンハウスと隣の元葬儀場の建物は、それぞれ7部屋、10部屋のアパートになります。
▲お家の内部
窓ガラスの外にもう一枚プラスティックのシートも貼られていて、大事に運ばれてきた様子がうかがえます。外観も素敵ですが、内部も時代を感じる彫刻が施されてます。
"イングランダーハウス(Englander House)"と呼ばれているこのお家。ドイツの建築家が特別に設計したものです。当時一般的なビクトリアンハウスは、概ねパターンが決まっていたいわゆる建売住宅だったのですが、イングランダーハウスは、依頼したイングランダー氏の希望も含めたカスタムメイド。特注だけあり、贅沢なディテール、精巧な作り、ゴージャスな階段は、痛みが少ないと言うこともあり、保存する価値があると判断されたようです。イングランダー家は、1920年まで住んでいました。2代目の家主を失った家は荒廃していきますが、1990年に新たな家主が決まりました。ところが2013年に破産してしまいます。既に、家自体の価値より敷地の価値の方が高くなり、イングランダーハウス周辺の空き地のコンドミニアム建設用地として、デベロッパーに委ねられました(約2億6千万ドル)。嬉しいのが、お家の建築的、歴史的価値をきちんと分かってくれて"残そう"と言う判断してくれた事。
ビクトリアンハウスが解体されつつあるサンフランシスコで大変嬉しい決断です。(ありがと)
さて、元の敷地はどうなっているのか?
▲フランクリン通りから
ベニア板で覆われている807 Franklin STです。ちなみにフランクリン通りから西側には今でもビクトリアンハウスが残っているエリアです。今は催行されていませんが、"ビクトリアンハウスを見て回るツアー"は、この辺りを巡ります。1906年のサンフランシスコ大地震で、町中が大火事になり木造のビクトリアンハウスが沢山焼けてしまいましたが、バンネス通りから西側は幸い火災になっていないのでこうして残っているのです。
▲隙間から撮影
少し、瓦礫がありますが、きれいになっていました。
そして、807フランクリン通り・635フルトン通りの二ヶ所がどんな風になるのか?
建築家のサイト(こちら)をご覧ください。
できたらまた見に行こっと思います。