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立て続けに、ビールネタですみません。
世界最大のビールフェスティバル"オクトーバーフェスト"が3年ぶりにミュンヘンで始まったニュース(9/17〜10/3)がありました。前回2019年は、630万人集まったそうです。パンデミックでできなかった分、今年は盛り上がりそうですね。
時差の関係でその前日サンフランシスコでも西海岸で最古のドイツレストランでオクトーバーフェストのブロックパーティーがありました。ミュンヘンには及びませんが、本格的なドイツビールを味わいに行ってきました。そして今じゃ考えられない昔の話です。
ファイナンシャルディストリクト、フロント通りの一角を封鎖して行われたブロックパーティーの主催は、のバイエルン風老舗ビアホール『シュローダーズ(Schroeder's)』、1893年創業です。重厚な店内の至るところビールブランド"ホフブロイ(Hofbrau)"のロゴマークとブルーと白のチェックのタペストリーが飾ってありました。元々ホフブロイは、バイエルン国の宮廷醸造所として始まったブルワリーです。また、本家ミュンヘンのオクトバーフェストで出店できるブルワリーは6軒しかないのですが、そのうちの一つで大変由緒あるビール醸造所です。
バイエルンと言えば、この民族衣装が有名ですよね。男性用が"レーダーボーゼ"、女性用が"ディアンドル"というらしいです。この日は、ビールもフードも全部10ドル。とっても分かりやすいし、割り勘しやすい。
本家ミュンヘンでは、1リットルのジョッキ"マス(mass)"で飲むのが普通ですが、こちらは可愛らしく、1パイント(473mlアメリカサイズ)です。パーティ中は、安全上破れないリサイクル可能なプラスティック。重くないからいい♡いやいやとにかく「プロート(乾杯)!」パーティフードは、顔面大ブリッツエルとホットドッグスタイルのソーセージ。ドイツの食べ物を代表すると二つ!
実は、この様子をミュンヘンのビアジャーナリストさんに送ってみたら、ホフブロイハウス(ミュンヘン)大通りからちょっと外れたミュンヘンのホブロイハウスの場所に似てるよと返事が来ました。サンフランシスコもカリフォルニア通りから入った見逃しそうな細い通りで規模は違うでしょうがちょっと親近感が湧いてきました。ちょっとニッチですが、サンフランシスコで、プチミュンヘン、ホフブロイ体験でした。
【Schroeder's】
住所:240 Front St San Francisco, CA 94111
オープン時間:月〜金11:30〜21:00(土日休み)
URL:https://www.schroederssf.com
シュローダーズの創業が19世紀。実は創業時は男性専用のレストランでした。当時はサンフランシスコに限らず、会員制クラブなどは男性専用はよくある話でした。しかし、新しく引き継いだオーナーによってレストランの営業方針も幾つか変わり、1935年に夕食のサービスも始め、シュローダーズにとっては画期的な改革でした。その後35年間、営業方針は少しずつアップデートされてゆき、女性でも1:30以降は、食事ができるよう門戸を広げていきました。
さて、1960年代〜70年代前半。ベトナム反戦運動や公民権運動の流れから性別による役割の制限を無くそう、いわゆるフェミニズムやウーマン・リブ、女性解放運動の時期。そんなある日、ドイツ料理大好きな女性が、1:15頃に入ろうとしたら、入店を拒否されました。お店側と何度かやりとりが続きました。彼女は「大好きなドイツ料理を少し早めに食べたかっただけ」問題を起こすつもりはなかったようでしたが、損害賠償とランチの規定の撤廃を求め裁判になってしまったんです…その彼女、市民運動の支部長だった人でした。
シュローダーズは、1970年代から女性も男性と同じくランチを楽しめるレストランになりました。当時のオーナーは引き継いだ当初から男女別の食事はナンセンスになっていくと思っていたし、第一次大戦から1927年頃の外食人口は、それまでの20%増から60%と急激に増え、女性の社会進出も寄与していることも感じてました。が、何故かお店のランチ提供の方針は変えていなかったんですね。思い立ったら即行動すればよかったけど、伝統を打ち破るのも男性客を逃しかねない葛藤があったのかもしれません。偶然見つけた地元の新聞から今じゃ考えられない老舗の歴史でした。
レストランの入り口に『当店はどんなお客様も拒否しません』って張り紙を見たことありますが、名残でしょうかね。