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110. ブハラ近郊の陶芸の里ギジュドゥヴァン 陶器博物館とクラフト工房で伝統工芸を学ぶ

伊藤 卓巳

伊藤 卓巳

ウズベキスタン特派員

更新日
2023年6月24日
公開日
2023年6月24日
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サローム(こんにちは)!

ブハラ観光モデルコース(108. ブハラ観光モデルコース!シルクロードの面影を色濃く残す古都を堪能する1日プランをご案内)、ブハラのおすすめグルメ(109. ブハラのおすすめグルメ3選!本格派カフェ、お肉とお酒が美味しいレストランetc)に続くブハラ特集記事第3弾。今回はブハラから乗り合いタクシーで1時間弱ほど、日帰りエクスカーションにぴったりの町ギジュドゥヴァンの紹介です。

町の中心にはウルグベクが建てたメドレセがあり、またウズベク人の誰もが知る美味しいシャシリク、ギジュドゥヴァン風シャシリクも有名。規模の割にはなかなかキャラが濃い素敵な町ですが、何といっても有名なのがここで作られる陶器、ギジュドゥヴァン焼き。ウズベキスタンの陶器の産地といえばまず出てくるのがフェルガナ盆地のリシタンですが(16. 陶芸の町リシタンの新名所!国際陶器センターでリシタン焼の魅力にふれる)、このギジュドゥヴァンも陶芸の里として有名なのです。この陶器を買いたい!学びたい!という方が行くべき場所が、ブハラからギジュドゥヴァン中心部へ行く途中に位置する陶器博物館とクラフト工房。

博物館と陶芸は隣り合っており、いずれも著名な陶芸家アブドゥッロ・ナルズラエフ氏が運営。ウズベキスタンでは一族で伝統工芸の職人をやっていることが多く、貴重な技術が先祖代々受け継がれていくのですが、このアブドゥッロ氏も6代目の陶芸家とのこと。私が来たときはアブドゥッロ氏の娘さんが博物館と工房を案内してくれました。
陶芸博物館では、陶器収集家でもあるアブドゥッロ氏が国じゅうから集めた貴重な陶器が展示されています。やはり目立つのはこの国の名産地、リシタンやホラズム地方の鮮やかな青いお皿たち。

さらにはティムール時代のデザインを復元したという陶器もありました。ティムールは広大な帝国の各地から職人をサマルカンドに連れてきて伝統工芸を発展させたといわれていますが、こんな美しい模様の陶器もその時代に作られていたのですね。

この陶器に囲まれた部屋の真ん中で娘さんご自身が実演してくれるのは、スザニの制作。陶器のみならず、スザニや絨毯といった工芸品までもがこの工房で作られているのです。まさにウズベキスタン伝統工芸オールスターズ的工房といったところ。

お父さんが陶芸家で娘さんが英語の堪能なスザニ職人、なんと多才な一家なんでしょう…。

こちらがスザニで使う糸たち。染料はザクロや玉ねぎの皮、桑などの自然素材が使われています。このような素材を使ったスザニは、化学染料を使ったスザニより色が落ちにくいとのこと。

それではお待ちかねの陶芸工房へ。光が神々しく差し込む工房で、無数の陶器に囲まれながらアブドゥッロ氏のお弟子さんたちが黙々と作業をしていました。
アブドゥッロ氏も職人らしいオーラを醸し出した方なのかと思いきや、お孫さんを抱いて登場した朗らかな方でした。さすが国を代表する陶芸家、去年サマルカンドで開催された上海協力機構サミットにも招待されたそうです。

色付けのための染料を作っている部屋や陶器を焼く窯にも案内してくれました。染料はロバに臼を曳かせて作っているとのこと。ちょうど焼いた陶器を乾燥させているところも見せてくれましたが、ギジュドゥヴァンでは陶器を裏向きにして作るので、軸薬がへリに滴のように垂れて凸凹ができるのがこの陶器の特徴と説明してくれました。1つ1つの行程にこだわりがある、文字通りの職人技です。

絨毯作りの様子も見せてくれました。ちょうど職人の女性が機織り機で丁寧に作業しているところ。

そしてお土産コーナーへ。製作工程を実際見せてもらうと、目の前の陶器に愛着が湧いてついつい手が伸びてしまうものです。しかもどの食器も絶妙に渋い色合いで、和食を盛り付けてもぴったり合いそう。これは買わざるを得ません…。スザニもここで買うことができます。

美しい陶器に圧倒され、どれを買おうか迷いまくる妻

ここはブハラとサマルカンドを結ぶ幹線道路にあることが幸いしてツアーバスがよく立ち寄り、オンシーズンには1日200人もの観光客が立ち寄るそう。しかし私が行ったときはオフシーズンの2月でお客はおらず、時間に余裕があったからか地下のレストランでお茶とナッツをご馳走してくれました。
このレストラン、ウズベキスタン各地の伝統様式のモザイクタイルが描かれており見ごたえあり。さらにナッツが入ったお皿はもちろんこの工房で作られたもの。実際お皿として使ってみても、最高に映えると分かりますね!

私が行ったときは時間の都合で参加できなかったものの、事前に予約すれば陶芸体験やスザニ刺繍体験、ウズベク料理体験もできるとのこと。博物館や工房を見学するだけでも十分楽しめますが、丸一日使ってウズベキスタンの伝統工芸をさらに深く学んでみるのもいかがでしょうか。スザニと陶芸のワークショップが同時にできる場所は伝統工芸大国ウズベキスタンでもなかなか珍しく、参加すれば貴重な経験になるはずです。

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

■ギジュドゥヴァン陶芸博物館・クラフト工房G’ijduvonkeramikamuzeyi

住所
55Kimsanko’chasi,G’ijduvon
電話番号
+998-90-718-3060,91-410-8888
営業時間
9:00~18:00(予告なく変更となる可能性あり)
入場料
博物館・工房見学は無料
アクセス
ブハラのカルヴォン・バザール前からギジュドゥヴァン行き乗り合いタクシーで所要約40分、料金相場2万スム。運転手にKeramikamuzeyiと伝えて途中下車、幹線道路から徒歩約5分。帰りはスタッフに頼むと乗り合いタクシーを手配してくれる。
URL
https://folkceramic.uz/(日本語)
Instagram
https://www.instagram.com/gijduvancrafts/
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