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サローム(こんにちは)!
サマルカンドの博物館といえば、まず挙げられるのがアフラシアブ博物館(117. アフラシアブの丘&アフラシアブ博物館 ソグド人が活躍した古代サマルカンドの痕跡がここに)。ただこちらは主に遺跡の出土品を展示している博物館で、サマルカンドやウズベキスタンの歴史や文化について広く知りたいと思っている方にとっては少し物足りないかもしれません。そこでおすすめしたいのが、旧市街から少し離れたロシア人街にあるサマルカンド州立郷土史博物館です。以前紹介した帝政ロシア時代に造られた浴場、第1ハマム(114. サマルカンドでハマム!サウナ!地元の人でにぎわうローカルな公衆浴場で汗を流そう)からすぐ近く。
このエリアの他の建築物同様、帝政ロシア時代の20世紀初頭に建てられたこの建物。郷土史博物館とはなかなか堅苦しい名前ですが、展示内容は多岐にわたっており、目を引く展示物が必ずあるはず。
まず中庭に入ると、人の背丈ほどもある巨大な大砲が置かれています。この大砲、いつ誰が使っていたかは不明ながら、18世紀にここを統治していたイランの王のものだったという伝説があるそう。
その近くには、歴史を感じる錆びた車が。実はこれはトラクターで、やはり詳細は不明ながら、ロシアから中央アジアに持ち込まれた最初のトラクターというエピソードがあるとのこと。もし本当ならこれは伝説のトラクターということになります。
まずは中央の建物に入ってみましょう。1階は主に石器時代から始まる歴史、そして文化に関する展示。ウズベク語とロシア語の説明が中心ですが、英語の説明が付け加えられた展示もあります。タイミングが良ければ、別料金で英語ガイドを手配することも可能です。
サマルカンドのかつての姿を鮮明に写した、100年以上前の貴重な写真もここで見ることができます。街並みも人々の出で立ちも、私たちが持っている中央アジアのイメージそのまま。叶うことならこの時代にタイムスリップしてみたいものですね…。
2階は自然科学に関する展示。やたらリアルな動物のはく製や、この地域で採れる鉱物の展示などが目を引きます。
そしてこの博物館最大の目玉が、中庭右側にある建物。中に入ると、いかにもお金持ちの邸宅といった豪華な内装が現れ、あらゆる色で彩られたペチカ(ロシア風暖炉)や重厚なアンティーク家具に目を惹かれます。
そしてこんな看板も。これを見てピンとくる方もいらっしゃるでしょう、実はこの建物はかつてユダヤ人商人の家で、帝政ロシア時代の1901年にイタリア人建築家が建てたものだったのです。
イスラム圏の国だけに意外に思われるかもしれませんが、ウズベキスタンには古くからユダヤ人が多く住み、サマルカンドにも2つのシナゴーグがあります。(120. 貴重なサマルカンドのユダヤ文化に触れる。旧市街ど真ん中のシナゴーグとユダヤ人居住区へ)。いつの時代も、この国ではユダヤ人たちがムスリムと共生して暮らしてきたのです。
この貴重な建物は世界ユダヤ人会議なる組織の援助が入っているようで、ちょっと展示に物足りなさを感じるこの国の博物館には珍しく文字・写真資料が豊富。サマルカンドの近現代史をしっかり学ぶことができます。
この建物で一番広い部屋に入ると、誰もが圧倒されるはず。ここは壁から天井まで見事な装飾が施され、荘厳なステンドグラスまではめられた大広間なのです。ぜひ部屋の隅々まで観察し、心ゆくまでその美しさを堪能してください。
サマルカンド旧市街とは趣が違い、レトロでメルヘンチックな建物が建ち並ぶロシア人街。ご紹介した郷土史博物館はガイドブック『地球の歩き方』にも載っている、このエリア最大の見所といってもいいでしょう。定番のイスラム建築を見終わって時間が余ったら、次の記事でご紹介する教会群とともにぜひ訪れてみてください。
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!