【米国・サンフランシスコ】三軒食紀行-お皿の先に見えたもの

ピア39は、フィッシャーマンズワーフを訪れたなら誰もが一度は足を運ぶ場所。桟橋の先まで歩けば、目前にアルカトラズ島が浮かび、Kドックにはアザラシたちが気ままに寝そべっている。見渡せば観覧車が回り、観光客の笑顔が揺れる。そんな賑わいの裏で、この場所がかつて冴えない埠頭だったことを知る人は少ない。1978年、開発者ウォーレン・シモンズが「港ににぎわいを取り戻そう」と再開発を進めたとき、最初に入った店のひとつが「イーグルカフェ」だった。創業は1928年。店内の壁には軍艦のキャップがずらりと飾られ、港町としての歴史が静かに息づく。王道はクラムチャウダーやダンジネスクラブだが、今回はあえてハンバーガーを注文（苦笑）。肉汁たっぷり、サラダも新鮮で◎。ベランダ席から眺めるゴールデンゲートブリッジは、変わりゆくピア39の中でもしっかりと風景になっていますね。

■施設名：イーグルカフェ

住所： Pier 39 Level, Beach St Space A-201, San Francisco, CA 94133

電話番号：415-862-2500

オープン：毎日8:00〜15:00

URL：https://eaglecafe.com

リトルイタリーで老舗シーフードレストランの一つが「ソットマーレ」。目をひく青い外壁が目印。イタリア系漁師の魂を今に伝える店です。看板メニューはサンフランシスコ名物「チョッピーノ」。19世紀末、イタリアから移住した漁師たちが“釣れなかった日”仲間に「Chiò! — 少し分けてくれ！」が語源らしい。飲食店でお客に出せない規格外の訳あり食材で作った賄い料理になって（フードロスを無くすアイディアね）。今じゃイタリア系レストランの看板メニューになりました。トマトベースのスープに、ムール貝、エビ、カニ、そして白身魚がごろごろ。このごった煮感は寒風の中で火を囲んだ漁師たちがハフハフしながら食べていたんだろうなぁと思います。ノースビーチの観光地化の波を越えて、“港町サンフランシスコ”がまだ確かあります。2〜3人前あるのでシェアしてどうぞ！

■施設名：ソットマーレ

住所：552 Green St, San Francisco, CA 94133

電話番号：415-398-3181

定休日：毎日11:30〜21:00 金土〜22:00

URL：https://www.sottomaresf.com

ユニオンスクエアの賑わいからちょいとズレると。通りが少し落ち着くサッターStに「ザ・パルテノン」があります。待ち合わせの合間で立ち寄ったのですが、なかなか素敵。ギリシャ料理と言えば基本は、オリーブオイル、野菜、魚介、そして適度なワイン。地中海式ダイエットと呼ばれるこの食文化は、健康だけでなく“生きるリズム”そのもので、カリフォルニア料理の発想はここからきています。ワインリストの端に並ぶ地中海エリアのビールも見逃せない。濾過されたいない濁りのあるトルコのラガー「Bomonti（ボモンティ）」を飲んでみました。軽快なラガーですがどこか甘さを感じて、いつも飲んでるIPAとはまるで別物。ビアジャーナリストとして思うのは、こうした一杯が“食事ののり代”って感じる。適正飲酒ならお酒も健康の延長にある幸せそのものだ。Yamas！

今日は飲むだけって言ったら、写真だけでも撮っていきなさいよと冷蔵庫から出してきてくれた。なんと親切な。サンフランシスコにいながらギリシャの家庭料理と地中海式ダイエットの哲学を体現するレストランですよ。

■施設名：ザ・パルテノン

住所： 582 Sutter St, San Francisco, CA 94102

電話番号：415-400-4405

オープン：毎日11:00〜22:00 （月〜木15:00〜17:00クローズ）金土〜23:00

URL：https://theparthenonsf.com

外食ばかりの10月、印象に残った3軒いかがでしたか？フィッシャーマンズワーフの歴史を刻むイーグルカフェ、漁師の心を伝えるソットマーレ、地中海ダイエットが香るパルテノン…三軒をピックアップしてみるとサンフランシスコの食の振り返りができた気がしました。かつてピア39を生まれ変わらせたウォーレン・シモンズのように、飲食に関わる人たちは温故知新で挑戦し続けている気もしました。食をめぐる旅って、街の歴史をめぐる旅でもあかもしれませんね。

＝おまけ画像＝
▪️ユニオンスクエアのセントフランシスホテル長らく改修工事が行われていましたが、素晴らしくなって再開してます！
バーボンステーキ＆ラウンジ

▪️そして、ノースビーチのグロッサリーストアはグルメフードが目白押しで楽しかったです。
ルークスローカルグロッサリー