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霧の街サンフランシスコからアムトラックに揺られ、州都サクラメントへ向かいました。アスレチックスが仮本拠地とするこの街に、LAドジャースを迎える「最初で最後」の三連戦。街中がお祭り騒ぎになっている。そんな光景を思い描いて列車を降りました。しかし駅舎から出てみたら、いつもと変わらない夏の州都サクラメント。歴史ある街は、新たな歴史さえも粛々と受け入れていました。
ゴールドラッシュで栄えたサクラメント。現在はカリフォルニア州の政治の中心として知られています。しかし2026年の夏、この街にはもうひとつの顔がありました。昨シーズンからオークランドを離れたアスレチックスが本拠地を置くMLBの街です。
アムトラック・キャピトルコリドーがサクラメント川を渡ると、車窓には歴史ある街並みが広がります。旅の拠点は川沿いに停泊する外輪船ホテル「デルタ・キング」。1930年代に実際に運航していた客船を改装したホテルで、船内には今も往時の面影が残っています。
デッキに立つと川風が心地よく、遠くから聞こえる列車の音が旅情を誘います。これから始まる「最初で最後の夏」のMLB観戦を思うと、自然と胸が高鳴りました。
早々にチェックインを済ませ、ドジャース戦のお祭りの雰囲気を撮影しようとオールドサクラメント周辺を歩いてみました。真昼間のせいか意外と静かで、子供がアイスクリームを頬張っていたり、木陰で涼んでいる家族連れがいたり。ダウンタウンでは州都としての日常で、書類ケースやスマホ片手にUberを待つ風景。ただ、やっぱり暑い。
ホテルに戻ると、そこにはドジャースのユニフォーム姿の宿泊客が次々とチェックインしている。そう言えばオールドサクラメントでは日本語も聞こえていた。予想に反して派手な熱狂ではなかったけど、それでも、この街には確かに”最初で最後の夏の三連戦”がやってきていた。
夕方になると街の空気は少しずつ野球観戦に変わり、サッター・ヘルス・パークへ向かうドジャースとアスレチックスのユニフォーム姿…。意外にも、想像以上にアスレチックスのジャージ姿が多かった。二つのチームが仲良く手を繋いで歩いていたりもした。それがサクラメントの空気。半袖短パン、折りたたみ式のイスを持った観客でスタンドはあっという間に満員。オータニ選手のホームランには、アスレチックスファンも歓喜の叫び。ミニマルな球場ではファウルボールもしょっちゅう飛んでくるからマイグラブ持参がよく分かった。
しかし、観戦しているのは野球だけではなく、サクラメントの歴史の一頁、歴史のど真ん中。一球一球が試合を進めるだけでなく、何年後かに街の人たちが「昔ここでドジャース戦があった」と語り草になる場面だ。
試合後、デルタ・キングへ戻るつもりでしたが、オールドサクラメントのアイリッシュバーでギネスを飲んで帰ることにしました。カウンターの兄ちゃん二人が右往左往ひっきりなしにビール注いで、カクテル作って、また注文とって、汗まみれになっていた。ここも球場に負けず熱気みなぎっていた。ひょっとしてこれがドジャースの影響か?心の中では「明日は絶対スタッフ増やす」と思いながらシェーカーを振ってるかも。
11時すぎ、ホテルに戻る。窓の外には静かに流れるサクラメント川。水面には灯りが揺れ、遠くからは時折列車の汽笛が聞こえます。球場の熱狂と船上の静寂。その対比が心地よく、気づけば時間を忘れていました。引退した客船で過ごす夜は非日常でした。
最初で最後のドジャース戦と聞けば、街中がおお騒ぎになっているはずだ。そんな光景を想像していました。しかし、アムトラックを降りてみえたのは、いつもと変わらない少し湿度を感じる夏の州都サクラメント。歴史ある街は、”メジャーのある街”という貴重な歴史さえも静かに受け入れていた。旅には、その時、その場所でしか出会えない景色があります。ゴールドラッシュの時代も、デルタ・キングが現役だった時代も過ぎ去りました。それでも2026年の夏、この街は確かにMLBの街でした。だからこそ今回「最初で最後の夏」を歩けたことは、野球観戦ではなく、歴史が街を通り過ぎる瞬間に立ち会った、かけがえのない旅になりました。
■サターヘルス・パーク
住所:400 Ballpark Dr, West Sacramento, CA 95691
電話番号:916-376-4700
URL:https://www.sutterhealthpark.com
■デルタキング・ホテル
住所:1000 Front St, Sacramento, CA 95814
電話番号:916-444-5464