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おもちゃのようにカラフルで可愛らしい家々や、ぼうけん感をくすぐる細い路地裏の小道。様々なクリエイターの感性を刺激し、物語の舞台の参考にされることも多い、ヨーロッパの街並み。今回は春を迎えた北欧のデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの3ヶ国を旅して出会った、おとぎ話に登場するようなメルヘンな街を厳選してご紹介します。おとぎ話のよう、、、と言っても、今も世界中の人々に愛され続けてその情景がすぐに思い浮かぶであろう、アンデルセンの童話、『アナと雪の女王』、『魔女の宅急便』の関連スポットと言われる所がたくさん登場しますよ。
『人魚姫』『みにくいアヒルの子』『マッチ売りの少女』など、誰もが知る著名な作品を多く世に残した童話作家アンデルセン。生誕国デンマークの首都コペンハーゲンは、彼が愛した美しい街並みやゆかりのスポットが多く残っています。
デンマーク生まれのレゴブロックのようにカラフルなニューハウンの木造家屋は、運河沿いに建ち並び、かつては航海を終えた船乗りたちの憩いの場でした。ここが気に入ったアンデルセンは3回も住居をかまえ、今でもその家屋がプレートで記されています。近年、家屋はレストランになり、たくさんの人々でいつもにぎわっています。
また、代表作『人魚姫』の像はコペンハーゲンのシンボルとして、観光客が押し寄せる写真スポットになっています。「世界3大がっかり観光スポット」なんて言われることもありますが、物憂げに海を見つめる表情や美しい全身像は、ずっと見ていたくなるような不思議な魅力があり、全くがっがりということはありませんでした。
アンデルセン自身の像も市庁舎の横にあり、たくさんの人に触られ、膝がピカピカ光っています。目線の先には彼がよく訪れ、物語のインスピレーションを受けたと言われる老舗遊園地チボリ公園があります。
1843年にオープンしたチボリ公園は、テーマパークの草分け的存在。当時娯楽施設がほとんどないなか身分の違いなく、誰でも楽しめる憩いの場として市民に親しまれてきました。
かのウォルトディズニーもここを訪れて感銘を受け、ディズニーランド開園につながったとか。夜のチボリ公園は子供はもちろん、大人もたくさん。ちょっとレトロなメルヘン尽くしの世界で、誰もが童心に戻って楽しめるおもちゃの世界のような場所でした。
お次は大ヒット映画『アナと雪の女王』のスタッフが実際に訪れ、物語の舞台の参考にしたというノルウェー。
例えば、印象的な形の伝統的な木造教会「スターヴ教会」はエルサの氷の宮殿のモデルになったと言われています。そのひとつを、首都オスロの「ノルウェー民族博物館」で見ることができます。またこの博物館では、寒さ避けのため屋根に草の生えている農家など、ユニークな建物がたくさん展示されています。
オスロの港近くに建てられた要塞アーケシュフース城もアナたちの住むお城の参考にされたとか。
そして氷河により造られた大自然の芸術フィヨルドは、『アナ雪』の世界観全体に大きな影響を与えたそう。このダイナミックな景観を体感するには、ノルウェー西海岸を中心に広がる5大フィヨルドを船や列車、バスで見学するのがおすすめです。
そんなフィヨルド観光拠点となるのが、西ノルウェーの中心都市ベルゲン。14世紀頃からドイツ商人のハンザ同盟の事務所が置かれ急速に発展。その名残でカラフルな木造家屋が残るブリッゲン地区は、世界遺産に登録されています。
実はここも、アナたちが住むアレンデール王国の街並みのモデルになったと言われています。奥行きのある家屋の間の狭い路地を歩いて行くと、中世にタイムスリップしたような感覚に。迷路のように入り組んだ中に小さなかわいいショップやカフェが入っていて、探検気分も楽しめます。家屋の階段を登ると、ギシギシときしむ音がして、歴史を感じさせます。
最後に、スウェーデンの首都ストックホルムの旧市街ガムラ・スタンもはずせません。海辺にあり、高い大聖堂の尖塔と中世の雰囲気を残すカラフルな街と石畳。
まさに『魔女の宅急便』の主人公キキが修行のためにホウキで降り立った街のように感じます。実際はスウェーデンの様々な街を参考にしているそうですが、このガムラ・スタンだけでも十分にその雰囲気が楽しめますよ。
特にちょっとした細い路地裏の道がフォトジェニックなので、時間をかけて散策するのがおすすめです。
冬は日照時間が短く寒い北欧も、これからだんだんと暖かくなり、夏に向けてベストシーズンをむかえます。何か新しい物語が始まりそうな素敵な街を、ぜひゆっくりおさんぽしてみてください。
aruco編集部 池田祐子