新しいタイを発見できるかも!?現地在住の日本人が見つけたバンコク市内&近郊のマル秘穴場スポット
2023.8.29
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ワット・プラケオもニューハーフショーもムエタイも全部見た! もっとほかに見るところないの? というヘビーリピーターの皆さん。バンコクにはまだまだ多彩な見どころがありますよ。地元では人気なのに外国人旅行者の姿はあまり見かけない、ディープなおもしろスポットをご紹介します。
ヤオワラート(中華街)の外れ、チャオプラヤー川とチャルーン・クルン通りに挟まれたエリアがタラート・ノーイ。再開発が進み高層ビルが次々に建設されるバンコクにおいて、古い町並みが残されている貴重なエリアです。1782年に現チャクリー王朝の都と定められたバンコクへ、アユタヤーから移住してきた華人が開いた小さな市場がその名称(タラート・ノーイ:タラート→市場、ノーイ→小さい)の由来だとされています。
200年以上前に裕福な華人が建てた四合院と呼ばれる様式の中国風邸宅や、中国の廟、タイで最初に設立された商業銀行の本店として1908年に建設された洋風建築、1787年に創建され1897年に現在見られる姿となった教会など、バンコクの歴史を感じさせる建物が残されています。最近では古い中国風の民家をリノベーションしたカフェが次々にオープン。エリア内各所に見られるストリートアートとともに、町おこしに一役買っています。
24時間営業の花市場としてにぎわうパーク・クローン市場対岸のチャオプラヤー川岸に、1916年に建てられた聖堂を持つ聖クルーズ(サンタクルス)教会があります。この周辺は、アユタヤーを攻め滅ぼしたビルマ軍を撃退したタークシン王が自らの王朝をうちたててトンブリー(チャオプラヤー川西岸)に遷都した際、ビルマ軍と戦った褒美としてポルトガル人に下賜した土地。教会周辺の細い路地には木造の住宅が密集し、築100年を超える木造住宅も点在しています。玄関先にキリストや聖母マリアの像を飾った家も多く、町の由来を感じさせます。
現在でははっきりポルトガル系とわかる住人はほとんどいませんが、カノム・ファラン・クティ・チーン(カノム→お菓子、ファラン→白人、ヨーロッパ→クティ・チーン)というポルトガル由来のカステラのような素朴な焼き菓子を製造販売するお店や、地域の歴史に関する博物館を兼ねたカフェがあります。
クティ・チーン(聖クルーズ教会周辺)
行き方:MRTブルーラインのサナーム・チャイ駅から徒歩すぐのパーク・クローン市場船着場から、渡し船でワット・カンラヤーナミットへ。そこからチャオプラヤー川沿いの遊歩道を徒歩5分
バンコクの中華街ヤオワラートの隣には、パーフラットと呼ばれるインド人街があります。シルクを商う商人が集住したのが始まりとされるこのエリアは、現在でもインド系の人々が多く住み、生地や布製品を扱うショップが並んでいます。古くからエリアの核となっていたパーフラット市場の南にはショッピングモールのインディア・エンポリアムがあり、その周囲にはお香や神像など宗教グッズを扱う店も並んでいます。当然ながらインド料理のレストランも多く、リーズナブルな値段で庶民的かつ本格的なインド料理を食べられます。
パーフラットのインド人街はインド北部パンジャブ州出身者が多く、そのためヒンドゥー寺院ではなくシク教の寺院があります。代表的なのは、インディア・エンポリアムに隣接し、黄金に輝くドームを載せた入口が目印のシー・グル・シン・サバー。シク教寺院では慈善事業のひとつとして毎朝食事が無料で振る舞われます。この寺院でも毎日8:00〜10:30の間、人種国籍宗教宗派を問わず希望者は誰でも食事ができます。頭部を布で隠すマナーを守れば入場可で、お皿を受け取ったらご飯やローティー、カレー類が食べ放題。これらはすべて寄付とボランティアで賄われているので、体験したらいくばくかの寄付をするか、片付けや皿洗いなどのお手伝いをしたいところです。
中年以上のタイ人男性がよく首からぶら下げている、プラ・クルアンと呼ばれるお守りが入ったネックレス。プラ・クルアンはブッダや高僧を象っており、一つひとつ僧侶が祈祷しながら制作します。高僧が作ったものを身に着けていると大きなご利益があるとされるため、よい(とされる)プラ・クルアンは高値で取引されます。
ここター・プラ・チャーン市場はそんなプラ・クルアンを扱う店が集まっています。店頭のケースに小さなプラ・クルアンがぎっしりと並べられ、じっと品定めをする中年以上の男性の姿も見かけます。プラ・クルアンだけでなく仏像や仏具なども大量に並んでいて、独特の雰囲気が立ち込めています。
オールド・サヤーム・ショッピングセンター(ザ・オールド・サイアムプラザ)は、ヤオワラート(中華街)の外れ、インド人街のパーフラット市場近くにある老舗デパートです。バンコクの繁華街にあるおしゃれなショッピングセンターとは一線を画す、地元密着型のこのデパートは、館内を埋めるテナントもひと味違います。1階には金や宝石を扱う金行が並び、財産を現金ではなく金で蓄える華人の客が集まります。建物中央は吹き抜けのホールになっていて、屋台風の店がぎっしりと並んでいます。ほとんどの屋台が食品を扱い、なかでもタイ風のお菓子を作り売りしている店が多いため、甘い香りが漂っています。目についたお菓子をいろいろ試してみるだけでも、旅の楽しい体験になるでしょう。
バンコク北部のフアイクワーン地区は、古びたアパートが並ぶ下町です。近年この周辺に華人の住民が増え、古くからの中華街ヤオワラートに対して新中華街ともいえる状況となっています。もともとある町並みに新住民が集まったので、町並み自体の雰囲気はバンコクのほかの下町とそれほど変わりありません。特徴は、中華料理店の多さ。しかもどの店も看板やメニューはほぼ中国語のみ、店員の会話も中国語、出てくる料理も手加減なしの本場の味と、日本でも最近話題になりつつある「ガチ中華」が楽しめる町になっています。店が並んでいるのは、MRTフアイクワーン駅上、ラチャダーピセーク通りから東へと延びるプラチャーラートバムペン通り(Pracharatbamphen Rd.)沿いです。
タイで比較的歴史の浅い寺院の中には、奇抜な建物で耳目を集めようとしているのではないかと思われるケースがときどきあります。真意は不明ですが、バンコク郊外のこの寺院にある塔もかなり奇抜。境内にある高さ約80m、階数にして17階分の円塔はピンク色に塗られてそれだけでも目を引くのに、その塔に緑の龍が巻き付き、龍の中の螺旋状の通路を胎内めぐりしているうちに最上階に辿り着く、という造りなのです。屋上には仏像が1体祀られており、龍の頭はその仏像に覆いかぶさり、まるで仏様を風雨から守っているようです。周囲には高い建物もなく眺望も抜群。はるかかなたのバンコク市街に高層ビルが建ち並ぶ様子も見渡せ絶景です。
バンコク市街を走る高架鉄道のBTSが延伸され、郊外の見どころへのアクセスがとても便利になりました。バンコクの中心部からBTSで乗換なし、しかも最寄り駅のすぐ前にあるふたつの軍事博物館を訪れてみてはいかがでしょうか。タイは第二次世界大戦で当初日本と同盟国だったため、日本国内でも見ることが難しい旧日本軍の装備がいろいろ残されています。
ドーン・ムアン国際空港内にあるタイ王国空軍基地に併設された博物館です。広い敷地内にタイ王国空軍の歴史を彩る多数の航空機が展示されており圧巻です。なかでも興味深いのは、旧日本陸軍が使用したキ55、九九式高等練習機。現存する機体はここと、北京の中国人民革命軍事博物館にしかありません。ほかにもベトナム戦争時代に活躍した米国製の戦闘機や攻撃機、タイ王国空軍最新鋭のスウェーデン製戦闘機サーブJAS39Cグリペンなど、日本では見ることのできない機体が多数展示されています。展示棟を結ぶ通路を使った休憩エリアが旅客機内のように作られているのもおもしろいです。
おもにタイ王国海軍の歴史に関する展示があります。一号館の前庭に飛行艇や水陸両用装軌車と並んで、潜水艦の艦橋と8cm単装砲が展示されています。これは1930年代に三菱重工が製造し、タイ王国海軍(当時はシャム王国海軍)で運用されたマッチャーヌ級潜水艦一番艦マッチャーヌのもの。1951年に退役し解体された後に、この部分だけ保存展示されることになりました。一号館には海軍が使用した装備が展示されており、旧日本軍の三八式小銃や九二式重機関銃も並んでいます。裏の二号館には魚雷や機雷、灯台用の照明器具など、大型の機材も並べられています。
いかがだったでしょうか。まだまだバンコクにはディープなおもしろスポットがたくさんあります。ぜひこちらの記事を参考に、珍スポット巡りを楽しんでみてください。
監修:地球の歩き方