
ウガンダのローカルフード「ロレックス」とは?
2023.4.17
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執筆者:大西 由美子
開発コンサルタント会社アイ・シー・ネットでインドを中心に国際協力のプロジェクトやビジネス・コンサルティング事業に従事する。2004年からアイ・シー・ネットで勤務。南アフリカの農村開発に1年半従事したのち、インドへ異動。現在はフィリピンのフードバリューチェーン改善プロジェクトに携わっており、野菜の安定的生産・流通や消費促進を目指している。
タイ料理やインド料理というと、有名なエスニック料理がパッと頭に浮かぶことでしょう。でも、フィリピン料理と聞くといかがですか? フィリピンという国自体は知っていても、フィリピン料理というとなかなかイメージが湧かないのではないでしょうか。当たり前ながら、フィリピン料理にもいろいろあるのですが、今回はフィリピンのスイーツとそれにまつわる食文化を紹介します。
フィリピンのスイーツ、「ハロハロ」は聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。フィリピンの代表的なデザートで、タガログ語で「混ぜこぜ」という意味の冷たいスイーツです。アイスクリームやカスタードプリン、ゼリー、かき氷などが入っていてカラフルな見た目なので、旅行者に人気です。某コンビニでは20数年前からハロハロの商品を開発しているので、食べたことがある方も多いのでは。
ほかにも、パンダンリーフのゼリーとココナッツの果肉をあえた「ブコ・パンダン」、やわらかい豆腐スイーツ「タホ」なども有名です。
あまり有名ではありませんが、フィリピンらしいもち米とココナッツの相性抜群のスイーツがいくつかあります。
まずご紹介するのは「トゥピッグ(tupig)」。バナナの葉に包んだもち米にココナッツが混ざっています。包んだバナナの葉と一緒に焼いてあるので、とても香ばしい匂いがします。さらに、モチモチの食感のなかにところどころココナッツのシャキシャキ感が! ひとつずつ細長く包まれていて、手頃なおやつとして食べられます。
トゥピッグは、フィリピン北西部に位置するイロコス地方のスイーツのようです。
筆者は地図のポイント、ルソン島北部のバギオに向かう途中の道端で購入しました。マニラからの高速道路を降り、山道が始まると道路の脇に、束ねたトゥピッグをビニール袋に入れた売り子が目に入ります。道中のお供にちょうどいい感じです。
もち米とココナッツの相性が抜群なスイーツはほかにもあります。「ビロビロ(bilo bilo)」はココナッツミルクに白玉のようなものやタピオカ、サツマイモ、バナナなどが入っています。ココナッツミルクベースではありますが、温かいスイーツなのでまさにフィリピン風おしるこですね。ハロハロと比べるとパッとしない見た目ですが、素朴な味でおいしいです。
実はこのビロビロ、フィリピンではイースター(復活祭)や万霊祭に関連する食べ物なのです。
カトリック教徒の多いフィリピンでは毎年イースターを祝います。イースターには各国でさまざまな料理が作られますが、フィリピンではビロビロを作る習慣があります。イースターにビロビロを作るのには諸説あるようですが、ビロビロを作る過程がイエス・キリストの犠牲を象徴しているというのが一説です。ビロビロを作るにあたって、いろいろな材料を集めたり、フィリピンはこの時期暑いのに、汗をかきながら温かいスイーツを準備したりと、大変な苦労をするためです。
万霊祭(All Souls Day)はおもにカトリック教徒が死者をしのぶ日。毎年11月2日に行われ、家族がこの世を去った人を思って祈る日です。フィリピンのお盆といえますね。
イロコス地方では万霊祭にビロビロをつくってご先祖様にお供えするそうです。この日はほかにも、もち米を使ったスイーツをつくるのが行事になっているようです。
なぜもち米が使われているのかというと、こちらも諸説あるようですが、冷蔵庫がなかった時代には米をもちにして保存したほうが長持ちするので、自然ともち米を栽培するようになったそう。そして万霊祭の前にちょうど米の収穫時期が来るので、万霊祭のためにもち米を使ったスイーツが作られるようになったそうです。
普段、日本人にはなじみのないフィリピンのスイーツですが、もち米をベースにしているため日本人には食べやすいでしょう。ココナッツ風味がかすかに東南アジアのアクセントを加えてくれます。スイーツにまつわる風習や文化について学びながら食べると、またひと味違った体験ができます。ハロハロは多くのカフェで提供されていますが、トゥピッグ、ビロビロは道端の露店や屋台等で売られていることが多いので、見つけたらぜひトライしてみてください。
フィリピンで複数店舗を展開する「アイス・キャッスル」はローカルも通うスイーツ店。こちらではハロハロ・スペシャルが人気メニューです。
監修:地球の歩き方
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