A08 地球の歩き方 南仏 プロヴァンス コート・ダジュール&モナコ 2025~2026
2024.11.18
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地中海に面したフランス最古の港町・マルセイユ。ヨーロッパと北アフリカ、中東を結ぶ交易の拠点として栄え、多彩な文化が混ざり合う独特の空気を育んできました。
近年では2013年に「欧州文化首都」(ヨーロッパの都市が1年を通して文化事業を展開する取り組み)に選ばれたことを機に港周辺を中心に再整備が行われ、Mucemの開館や旧港の公共空間の改修などが進行。倉庫や港湾エリアを活用した文化施設も増え、アートの発信地としての顔も見せています。
旧港は、この町の原点ともいえる場所。紀元前600年ごろ、現在のトルコにあたるフォカイアから来たギリシャ人が、ラシドン入り江(現在の旧港)に到着したことがマルセイユの始まりとされています。今はヨットやボートが並ぶ穏やかな港ですが、かつては町の中心として人や物が行き交っていました。現在も朝には魚市が立つこともあり、港町らしい光景に出合えます。
旧港の一角でひときわ目を引くのが、鏡の天井を持つ巨大な屋根「オンブリエール(Ombrière)」。イギリスの建築家ノーマン・フォスターによって設計されたもので、天井は鏡張りになっているため、下から見上げると港や人の動きが反転して映り込んで不思議な感覚に。日差しをやわらげる実用的な役割も持ち、屋根の下ではイベントが開催されることもあります。
マルセイユの老舗石鹸メーカーであるサヴォヌリー・ラ・リコルヌ(Savonnerie La Licorne)社が運営する石鹸博物館。プロヴァンス地方で古くから受け継がれてきた石鹸文化は、17世紀に大きく発展。オリーブ油やソーダ、塩といった原料に恵まれ、交易の要所でもあったマルセイユで産業として確立されました。館内では歴史や製造に関する資料が紹介されているほか、石鹸のカスタマイズが楽しめるワークショップも開催。店舗を併設しているので、おみやげ探しにもおすすめです。
1991年、マルセイユ近郊のカランク沿岸で先史時代の壁画が残るコスケール洞窟が発見されました。ただ、この洞窟は入口が海面下にあり、壁画保護の観点から一般公開はされていません。
そこで生まれたのが、2022年にオープンしたコスケール・メディテラネ。再現された洞窟空間をオーディオガイド(日本語なし/英語あり)を聴きながら専用の乗り物で巡り、約3万〜2万年前に描かれた動物や手形などをアトラクション感覚で鑑賞できます。
館内には、洞窟発見の経緯を紹介する映像展示や、当時の動物たちを再現した展示スペースも。壁画だけでなく、旧石器時代の暮らしや自然環境についても知ることができます。
コスケール・メディテラネのすぐ隣に建つのが、黒いレースのような外観が印象的な国立博物館Mucem(ミュセム)。2013年の「欧州文化首都」事業にあわせて開館した施設で、ヨーロッパと地中海世界の歴史や文化、暮らしをテーマにした展示が行われています。
館内で立ち寄りたいのが、屋上テラスにあるレストラン「La Terrasse – Michel par AM」。地中海を見渡す開放的な空間で、マルセイユの三つ星シェフ アレクサンドル・マジアが監修。気軽に楽しめる地中海テイストのメニューをベースに、地元食材やアフリカのエッセンスを取り入れた一皿がそろいます。
Mucemの隣に堂々と建つのが、マルセイユ大聖堂。19世紀に建設され白とグリーンの縞模様が印象的な外観は、ロマネスク様式とビザンティン様式を組み合わせた「ロマノ・ビザンティン様式」によるもの。19世紀、地中海交易によって発展したマルセイユの繁栄を象徴する建築として造られた背景もあり、内部には大理石やモザイク装飾がふんだんに使われています。
大聖堂近くの遊歩道では、鮮やかなオレンジ色の巨大なクマのオブジェにも注目を。これは、フランス人のアーティスト ジャイエ(Jayet)による現代アート作品で、高さ5m超の巨大彫刻です。2020年のコロナ禍に登場し、医療従事者支援を呼びかけるメッセージとともに話題を集めました。
旧港の北側に広がるパニエ地区は、マルセイユで最も古いエリアのひとつ。紀元前600年ごろ、ギリシャ人によって築かれた古代都市マッサリア(マルセイユの地名のもととなった都市)は、この周辺から始まったとされています。海に面した高台という地形を生かして発展してきたため、坂道や階段、細い路地が入り組み、じっくり散歩するのが楽しいエリアです。
現在はカラフルな建物の間に小さなショップやカフェ、アトリエが点在し、壁や階段にはグラフィティアートも。古い町並みのなかに、現代的なカルチャーが自然に溶け込んでいます。
パニエ地区の一角に建つヴィエイユ・シャリテは、17世紀に貧しい人々や浮浪者を収容するために造られた旧救貧院。当時のフランスでは、都市の治安維持や社会秩序の観点から、貧困層を一か所に集めて管理する政策がとられており、その一環として建設されました。
現在は、多くの文化施設が集まる多目的センターとなり、地中海考古学博物館やアフリカ・オセアニア・アメリカ先住民芸術博物館などが入っています。中庭や回廊は無料で見学でき、にぎやかなパニエ地区のなかでも落ち着いた雰囲気を感じられるスポットです。
中心部から少し足を延ばして訪れたいのが、建築家ル・コルビュジエによる集合住宅、ユニテ・ダビタシオン。フランス語で「シテ・ラディユース(Cité Radieuse/輝く都市)」とも呼ばれ、第2次世界大戦後の住宅不足を背景に1952年に建てられました。住まいだけでなく商店や幼稚園、郵便局など生活に必要な機能をひとつの建物にまとめた、まるでひとつの小さな町のような構造が大きな特徴。
現在も実際に住民が暮らしているほか、館内にはレストランやホテル、ショップなども入っています。1階のエントランスホールや「内部街路」と呼ばれる通路、商業施設のあるフロア、屋上テラスなどは自由に見学可能。有料ガイドツアー(要予約)では、通常は入れない住戸内部を見学できるコースも用意されています。
マルセイユらしいおみやげを探すなら立ち寄りたいのが、オリーブオイルを使ったショコラで知られるレスペランティーヌ・ド・マルセイユ。1999年、マルセイユ建都2600年を記念して誕生したブランドで、地中海文化を象徴する新しい銘菓として生まれました。看板商品の「エスペランティーヌ」は、オリーブの葉を模したユニークな形とダークチョコレートに、アーモンドやオレンジピール、エクストラバージンオリーブオイルを組み合わせたさわやかな味わいが特徴です。
発売翌年の2000年には、パリの製菓見本市「INTERSUC」で最優秀コンフィズリー賞を受賞。現在ではマルセイユを代表するチョコレート店のひとつとして知られています。
飛行機
シャルル・ド・ゴール空港(またはオルリー空港)⇔マルセイユ・プロヴァンス空港
約1時間20分
(空港から市内中心部まで約25〜30分)
列車(TGV)
パリ・リヨン駅⇔マルセイユ・サン・シャルル駅
約3時間〜3時間30分