キーワードで検索
気がつけば6月。アメリカでは各地でプライド関連のイベントが開催される「プライド月間」。今回は南フロリダのウィルトンマナーズを訪れました。全米有数のLGBTQ+コミュニティを自負するこの街には、訪れる人を自然に受け入れるような穏やかな空気が流れています。少し緊張しながら歩いた街で、その歴史と文化に触れてみました。
今回は滞在先のフォートローダデールからライドシェアを利用して訪れました。ドライバーさんによれば、比較的安心して歩ける街として知られているそうで、実際に散策していても落ち着いた雰囲気が印象的でした。
フロリダ州南東部に位置するウィルトンマナーズは、周囲を水路に囲まれたアイランドシティ。2010年の国勢調査では、マサチューセッツ州プロビスタウンに次いで全米で2番目にLGBTQ+人口比率が高い街として知られるようになりました。そして、政治の分野でもブロワード郡初となるオープンゲイの市議会議員の誕生。市議会全員がLGBTQ+という時期もあり、多様性を体現する街として注目を集めました。
歩いてみて印象的だったのは、特定のエリアだけがLGBTQ+コミュニティの空間として切り離されているような雰囲気がなかったことです。メインストリートのウィルトン・ドライブには、バーやレストラン、ショップが並んでいました。平日の午後だったのでまだ少し落ち着いていたかもしれません。サンフランシスコのLGBTQ+コミュニティ、カストロ地区がそうであるように、プライド関係のイベントがあるとこの辺りは相当な賑わいになるんだろうなと想像してしまいました。
静かとはいえ観光客風の人も地元の人もそれぞれが思い思いの時間を楽しんでいました。多様な人々が自然体で暮らす生活の場。コミュニティの存在が、この街ならではの魅力なのかもしれません。
サンフランシスコのカストロ地区との違いを感じてみたくて、ウィルトン・ドライブの中心にある「アリバイ・モンキーバー(Georgie’s Alibi Monkey Bar)」を訪れました。
創業から28年以上。地元で親しまれているこの店は、私のような初訪問者でも自然に迎え入れてくれ、何か包み込まれるような雰囲気がありました。
店内はフロリダらしい開放的なテラス席をはじめ、趣の異なる複数のエリアで構成されています。ドラッグショーなど華やかなエンターテインメントが行われる一方で、食事や会話をゆっくり楽しむ人も多く、地域の社交場としての役割も感じられました。
訪れた日は「2 for 1」の日。ドリンク1杯分の料金で2杯楽しめるサービスが行われていました。まず注文したのは、夏の定番ビール、サミュエルアダムス・サマーエール(2杯で8ドル)。軽やかな柑橘の香りと爽やかな飲み口が南フロリダの気候によく合います。合わせたのはマヒマヒサラダ。マヒマヒはハワイでも親しまれている白身魚で、クセのない上品な味わいが特徴です。ふっくらと焼き上げられた魚とたっぷりの野菜は、派手さはないものの素材の良さを感じる一皿でした。
乾いた空気の中でビールを片手にゆっくり味わっていると、肩の力が自然と抜けていきます。周囲では友人同士で語り合う人、食事を楽しむカップル、ステージを眺めるグループなど、それぞれが思い思いの時間を過ごしていました。枝豆も人気のおつまみのようで、多くのテーブルに並んでいます。
そんな光景を眺めているうちに、最初に感じていた緊張感はすっかり消えていました。初めて訪れた場所とは思えないほどの居心地の良さと、大人の社交場ならではの包容力を感じる時間となりました。
■アリバイ・モンキーバー(Georgie’s Alibi Monkey Bar)
住所:2266 Wilton Dr, Wilton Manors, FL 33305
電話番号:954-565-2526
営業日:毎日11:00〜02:00
(ハッピーアワー:毎日11:00〜20:00)
URL:https://www.alibiwiltonmanors.com
ウィルトンマナーズでは、「違い」を特別なものではなく、個性として自然に受け入れている空気がありました。旅をすると時々、自分の価値観や常識の物差しが違うと思う瞬間がありますが、そういう気付きって旅の醍醐味なのかもしれません。
プライド月間の時期だからこそ、多様な人々が共に暮らす街の日常に触れてみる…そんな歩き方もあるかもしれません。フロリダを訪れる機会があれば、ぜひウィルトンマナーズにも足を延ばしてみてください。穏やかで温かなこの街の空気が、きっと新しい発見を与えてくれるはずです。
参考
ビジットFL:https://www.visitflorida.com/places-to-go/southeast/wilton-manors/
ウイルトンマナー公式サイト:https://www.wiltonmanors.gov