台中の歴史と魅力を探る旅 歴史建築と自然が織りなす台湾第二の都市の魅力
2024.8.21
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一年を通して過ごしやすく、台北から日帰りで行ける台中(タイヂョン)。市内には美術館やアートスポットが点在しており、近年は若手クリエイターが中心となって、リノベーション開発にも力を入れています。2019年6月には台中郊外に「星のやグーグァン」がオープンして話題に。2020年にはメトロ・台中捷運(タイヂョンジェユン)が開通予定で目が離せません!
台北の南西約160㎞に位置する台中は、台湾第二の人口を誇る約281万人が住む都市です。
台北からのおもなアクセスには、①高鐵(新幹線)と台鐵(台湾鉄道)の併用、②台鐵、③バスがあります。
公共交通機関利用で一番便利なアクセスは、①高鐵で台中站(駅)まで行く方法です。台北站(駅)から高鐵・台中駅まで約47分。台中中心部へは高鐵・台中站(駅)直結の台鐵・新烏日站(駅)に乗り変え約12分、台鐵・台中站(駅)で下車します。乗り換えが少々面倒ですが、電車の本数が多いので安心です。
乗り換えなしで行きたい場合、②台鐵の普悠瑪号(所要時間約1時間37分)もおすすめです。ただし、普悠瑪号は本数が少なく電車によっては3~4時間かかるので、事前にHPで時刻表を確認しておきましょう。
③バス利用の場合は、台北轉運站(駅)前バスターミナル(台北市大同區市民大道一段209號)から台中行きバスで約2時間45分。バスの本数は多く出ています。安く済ませたい場合や荷物が多い場合は便利です。
一年を通して雨が少なく、過ごしやすい気候のため、「台湾の住みやすい街ランキング」1位に何度も選ばれています。台風の被害も比較的少ないエリアです。電車の中やレストランなどの屋内は、冷房が効いていることが多いので、薄手の上着があるとよいでしょう。
台中中心部はバス路線が網羅しており、見どころの大半はバス(交通ICカードで支払えば、市内10km以内は無料)にてアクセス可能です。日本統治時代から残る古建築をリノベーションして再生させたショップやレストランが増加中。緑が多い公園や美術館も多く、ひとり旅にもおすすめです。日本で話題のタピオカミルクティー・珍珠奶茶(ヂェンヂュウナイチャー)や台湾ならではの太陽餅(タイヤンビン)は、台中発祥の必食グルメ。2020年2月16日~24日には、ランタンフェスティバルが開催されますので、ぜひチェックしてください!
日本を代表する建築家・伊東豊雄さんが手がけたオペラハウス。コンセプトは「白い洞窟」で、58枚の曲面壁からなるユニークな構造が特徴です。夜になるとライトアップされ幻想的な雰囲気に。2007席を配する大劇場のほか、中劇場、小劇場があります。院内には、飲食店を多数運営するVVGグループのカフェやショップが入り充実のラインアップ。
日本統治時代に作られた台中最古の公園。約10ヘクタールの園内には、人工湖や橋のほか、野外ステージ、テニスコートなどのレジャー設備も完備。欧風建築の湖心亭(フーシンティン)は、台鐵(台湾鉄道)の全線開通を記念して1908年に建てられたもので、1999年に市定古蹟として指定されました。フォトジェニックな撮影スポットとして、若い世代にも人気です。
眷村とは第2次世界大戦後に中国系移民が住んだ村のこと。この村に住む90歳代半ばの男性が、家の外壁や道路に描いた絵が評判となり、今や台中を代表する観光スポットになりました。休日は混み合うので、平日の訪問がおすすめ。敷地内では、ポストカードやマスキングテープなどのオリジナルグッズ、カラフルなアイスクリームの販売があります。
1988年に開館したアジア最大級の美術館。3ヘクタールの敷地を有し、敷地内には台中市立文化局や科学博物館もあります。美術館内は24の展示室に分けられ、国内外のさまざまなジャンルのアーティスト作品を展示。アート関連の図書館やカフェもあるのでのんびり過ごすことができます。入館料は無料。芝生に置かれたオブジェや天然石を使用した四角い外観も印象的です。
1969年に公務員宿舎として使われていた建物をリノベーションした複合スポット。人気ライフスタイル雑誌が手がける雑貨店・小日子(シャオリーズー)や植物由来の天然ゼリー・仙草を扱う一銀甜品(イーインティエンピン)、ベビーカステラ専門店の魚刺人雞蛋(ユィーツーレンジーダン)など、話題の店が並びます。台湾各地から集まったクリエイターによるフリーマーケットも開催。
日本統治時代の1937年に建てられた木造建築群。かつて刑務所があった場所は、中国古来の6種類の基本教養「六藝」をベースにした教育場として利用されています。敷地内には、保存状態のよい演武場や旧宿舎群があり見応え十分。茶道や琴演奏、文学教室、弓道体験のほか、不定期でフリーマーケットなどの各種イベントも開催。週末を中心に賑わいます。
日本統治時代に使われていた警察官舎群跡をリノベーションしたスポット。建物は2009年に台中市政府文化局によって歴史建築に登録されました。テーマ別の展示室やカフェなど6棟の木造建築が並び、台中における文学発展の歴史を学べます。展示内容は不定期で変わり、写真や映像など目で観て楽しむ工夫があちこちに。ガジュマルの木が美しい、緑が多い敷地でゆっくり過ごしましょう。
1927年に建てられた眼科をリノベーションしたカフェ&ショップ。台湾を代表するスイーツ店・日出グループが運営しています。名物のアイスクリーム(テイクアウトのみ)は、台湾食材を用いたアイスクリームに、オリジナルのパイナップルケーキやクッキーをのせた人気メニュー。いつ行っても長蛇の列ですが、宮原眼科から徒歩約5分の姉妹店・第四信用合作社(ディースーシンヨンフーズオショー)なら比較的空いているのでおすすめです。
1960年代に建てられた伝統市場。かつては賑わっていましたが、徐々に衰退していきました。2009年頃から建物を一部利用した個性的なカフェやアートギャラリーがオープンし始め、おしゃれスポットへと変身。古い建物と上手に溶け込む各店舗の雰囲気は独特で、カメラ片手に散策するだけでも楽しめます。アーケードになっているので雨の日でも安心。
台鐵・台中駅の南側にある観光地化されていないローカル色が強い夜市です。竹筒おこわ、鶏のから揚げ、サトウキビジュースなど、安くておいしいB級グルメが堪能できます。また、台湾で有名な火鍋店・鼎王麻辣鍋(ディンワンマーラーグオ)もここで誕生しました。車道の両脇に屋台や店が並んでいるので、バイクや車に注意して散策しましょう。
日本統治時代の1917年に新富町市場(シンフーディンシーチャン)として建てられた市場。台中で最も歴史がある市場で、2388坪もの敷地内に、約100店舗のローカルグルメ店や装飾店、日用品店がぎっしりと並んでいます。おすすめグルメ店は山河魯肉飯(シャンフールーロウファン)、三代福州意麵老店(サンダイフウヂョウイーミエンラオディエン)。
台中といえば、台北では味わえない本格的な茶藝館も外せません。いち押しは、1994年創業のこちら。約400坪の敷地を有する回廊式の茶藝館です。茶葉は優雅な香りが漂う杉林溪高山烏龍茶(シャンリンシーガオシャンウーロンチャー)が人気で、お茶請けはもちろん、五穀米を使った定食メニューも絶品です。眺めがよい席はすぐに埋まってしまうので、予約をしてから訪問しましょう。
①檸檬餅(ニンモンビン)
日本統治時代に日本から伝わったとされるレモンケーキ。スポンジケーキをレモンチョコレートでコーティングしており、どこか懐かしさとさわやかな風味が口いっぱいに広がります。賞味期限は常温で3日間、冷蔵で1週間なので持ち歩きの際は注意しましょう。
<檸檬餅が買えるおすすめの店>
■一福堂老店(イーフウタンラオディエン)
・住所: 台中市中區中山路67號
・営業時間: 9:00~22:00
・定休日: 旧正月
■阿明師老店太陽堂(アーミンシーラオディエンタイヤンタン)
・住所: 台中市中區自由路二段11號
・営業時間: 8:00~22:30
・定休日: 旧正月
②太陽餅(タイヤンビン)
サクサクのパイ生地に、麦芽糖や蜂蜜などを入れたシンプルなお菓子。台中には太陽餅店があちこちにありますが、第1号店は阿明師老店太陽堂だと言われています。老舗は少量販売しているところが少ないのがネックですが、先に紹介した宮原眼科ではオリジナルの太陽餅も6個入りから購入できます。
<太陽餅が買えるおすすめの店>
■俊美食品(ジュンメイシーピン)
・住所: 台中市西區東興路三段23號
・営業時間: 8:00~21:00
・定休日: 旧正月
■阿明師老店太陽堂(アーミンシーラオディエンタイヤンタン)
・住所: 台中市中區自由路二段11號
・営業時間: 8:00~22:30
・定休日: 旧正月
台中中心部にある便利なロケーション。1979年にアーティスティックなスタイルで竣工したホテルが2014年に生まれ変わりました。客室は全67室。客室ごとにインテリアが異なり、全客室ウォッシュトイレ付き。フロントには台湾アーティストがデザインした滑り台やユニークなオブジェが置かれるなど、遊び心にあふれています。またビジネスセンター、フィットネスセンター、レンタサイクルを完備しているのであらゆる目的に合わせた宿泊が可能。ビジネスはもちろん、ひとり旅から家族旅行まで、使い勝手のよいホテルです。
午前中の高鐵で移動すれば台北から日帰りができる台中。台中第二市場は並ぶ店もありますが、午前中は比較的空いています。午前中から日中にかけてはアートスポットや美術館を巡りますが、美術館は月曜定休のところが多いので注意しましょう。宮原眼科は台鐵・台中駅から近く、22時までオープンしているので、先に忠孝夜市で夕食を食べてからショッピングへ出掛けると荷物を持ち歩かなくて済むので便利です。檸檬餅や太陽餅は日持ちせず、かさばるので台中観光の終盤で購入するのがベター。お店は夜遅くまで空いているので安心です。なお高鐵・台中駅構内でも太陽餅は購入可能。台中駅構内といえば、花鳥川(ホアニャオチュワン)のミルクレモンケーキも絶品ですのでお試しください。
”台湾のウユニ塩湖”と呼ばれ、夕暮れ時から日没にかけて夕日が水面に反射し、空と海が一体化する風景は一見の価値があります。
台湾最大の淡水湖。先住民族のツォウ族が暮らしており、神秘的なパワースポットとして知られています。美しい光景を眺めながら、穏やかなひとときを過ごしましょう。
1922年創業。台鐵(台湾鉄道)の機関区にあり、中央の転車台も現役で使われています。蒸気機関車や運転手さんの作業風景が目の前で見られるとあって、週末は多くの家族連れが訪れます。
古きよき建物や文化を残しつつ、独自の新しいカルチャーを発信し続ける台中。台北から日帰りで気軽に行けるため、リピーターはもちろん、“初めての地方旅”という方にもおすすめです。国際空港があるので南部や中部観光の出発点とすることも可能。台北とは違うローカル気分を味わいつつ、いつもの旅に+αしてオリジナルの旅へ出かけましょう。
TEXT:トラベル・キッチン 大西 稚恵
PHOTO:iStock、竹田武史、熊谷俊之
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