キーワードで検索
フランスは世界有数の観光立国で、世界中から外国人旅行者が訪れますが、果たしてフランス人が好むフランス国内の観光スポットはどこなのか? コロナ禍によりフランス国外への移動制限があった期間に、フランスのキャンプ場運営会社Sibluが調べた人気バカンス先トップ10と地球の歩き方パリ特派員の感想を交えてまとめました。
10位に入ったのはフランス西部にあるポワトヴァン湿地。港町ラ・ロシェルから北東方面にあるフランスで2番目に大きな湿地帯です。小さな運河が幾重にも走っており、その運河をボートで遊覧するアクティビティが人気です。
9位にはスペインとの国境であるピレネー山脈にあるカニグー山がランクイン。標高2784mの高さで、山頂からは地中海を見渡せます。カニグー山はカタルーニャ人にとって聖なる山とされています。6月の聖ヨハネの日の前の週末(毎年日にちは変動)に、カニグー山の頂で十字架の下に火をつけるカニグーの炎と呼ばれる行事が行われます。
フランスの山というとフランス南東部のアルプスに意識がいきがちですが、ピレネー山脈も自然豊かな絶景が広がっています。フランス側に下ったところにありスペイン文化が色濃く残るペルピニャン、「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」と言われる城壁都市カルカッソンヌなど、南西部の都市観光にひと味加えると旅がより魅力的になります。
8位に挙がったのがロワールの城。シャンボール城、シュノンソー城などパリから比較的近い地域で、日本人観光客にも定番の場所です。
7位にはフランス北西部ブルターニュ地方にあるキブロン湾が入りました。キブロンは昔からイワシ漁の町として有名で、夏は海辺の保養地として人気の場所です。キブロン周辺は、ドルメンやメンヒルといった巨石を使った先史時代の構造物が遺されており、すでにその時代から人が定住していたと考えられています。
フランスというと中世や王侯貴族の文化のイメージがありますが先史時代の遺跡巡りも楽しいです。日本の歴史の教科書にも出てくる人や動物が描かれたラスコー洞窟の壁画があるのもフランス(南西部)です。ラスコーを含むヴェゼール渓谷からモンティニャックにかけて点在する遺跡は「ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群」として世界遺産に登録されています。
6位にも同じくブルターニュ地方からコート・ド・グラニ・ローズというバラ色の花崗岩が形作る海岸線が選ばれています。バラ色の花崗岩でつくられたマン・リュの灯台や同所があるプルマナックはフランスのテレビ番組『フランス人が選ぶお気に入りの村』において2015年に1位に選出されたこともあります。
5位には今回のランキングで最も知名度が高いモン・サン・ミッシェルがラインクイン。海に浮かぶ美しい修道院の姿は、フランスのみならず世界中から観光客が訪れます。
4位に選ばれたのがスイスとの国境に近いアヌシー湖。ヨーロッパで最も透明度が高い湖として知られています。湖に面して広がる旧市街とティウー運河も美しい景観をつくり出しています。アヌシー湖畔の保養地タロワールは画家のセザンヌも訪れており「美しくはあるがあまりにも絵画的過ぎて退屈」と評したとされます。それほど絵のような風景が広がっています。
3位にはオレロン島が入りました。ここも再びラ・ロシェル近郊。10位のポワトヴァン湿地とはラ・ロシェルを挟んで南西方面です。オレロン島はフランスの海外領土を除けば、コルシカ島に次ぐ広さの島。牡蠣の養殖も盛んで、オレロン島のシャトー・ドレロンとボワイヤーヴィルの間は「牡蠣街道」と呼ばれています。また大西洋岸の温暖な気候と砂浜が、フランス人に人気のバカンス先となっています。
いよいよ2位。南仏プロヴァンスにあるヴェルドン渓谷が選ばれました。マルセイユ、サン・トロペ、カンヌ、ニースといった海沿いの町も魅力的ですが、南仏の内陸部はアルプス山脈の西端が複雑な地形を形成しており、断崖絶壁の渓谷と深緑の川がとても印象的です。海と山が近く、あわせて楽しめるのがプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏のいいところです。
どのバカンス先も駆け足で巡るよりは時間に余裕を持って、少し退屈なくらいで滞在すると現地の様子がより見えてきます。
栄えある1位にはボルドー近郊にある町、アルカションのピラ砂丘が輝いています。ピラ砂丘はヨーロッパで一番高い砂丘。またアルカション自体もファミリーでも楽しめる海辺のリゾートとして多くの観光客を集めています。牡蠣の産地としても有名です。
こうしてランキングを見てみると、大西洋岸の地域が3ヵ所選ばれるなど、この地域がフランス人の関心を集めていることがわかります。さらにブルターニュ、ピレネー、プロヴァンスと、それぞれの個性が異なる地域もバランスよく選ばれ、地方各所に魅力的な場所が点在していることを再認識できますね。私個人の好みだと、南仏の山側にとても魅力を感じます。フランスを訪れた際の候補地にしてみてはいかがでしょうか。
監修:地球の歩き方