新しいタイを発見できるかも!?現地在住の日本人が見つけたバンコク市内&近郊のマル秘穴場スポット
2023.8.29
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タイ料理といえば、「スパイシーなエスニック料理」といったイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし実際には地域ごとに気候や風土が異なり、食材や味付けもバラエティに富んでいます。タイ料理は大きく分けて、「中部料理」「イサーン料理」「北部料理」「南部料理」と4つの郷土料理があります。今回は各地方の特色や名物料理、バンコクにある名店をご紹介します。
目次
まずは、バンコクを中心とした「中部料理」です。山や川から採れる豊かな食材や、ココナッツミルクなどを使用した多彩な料理が特徴です。味付けは比較的マイルド。中国の食文化の影響を強く受け、炒め物も多いです。みなさんがよく耳にするタイ料理のほとんどは中部料理にあてはまります。
中部料理の代表格「パッタイ」は、タイ風焼きそばです。米粉の平麺をモヤシやニラ、干しエビや刻みピーナッツなどと一緒に炒めて、ナンプラーやタマリンドソースで味付けをします。甘めでクセがなくて食べやすく、外国人観光客にも大人気です。
パッタイ専門店「ティップサマイ」は1966年創業の老舗で、ミシュランガイドのビブグルマンにも選出されたことがある名店です。ここで紹介するのは旧市街の本店ですが、バンコクの有名ショッピングモールにも数店舗出店しています。
看板メニューの「卵包みパッタイ」(150バーツ、約570円)には、プリプリのエビが2匹添えられています。
薄焼き卵を破くと、平たいモチモチ麺が出現しました!
エビ味噌を加えた甘めのソースが麺と絡まり、シャキシャキ感があるモヤシとの相性も抜群です。ピーナッツなどをトッピングして、自分好みの味にアレンジするのも楽しいですよ。
世界三大スープのひとつとして知られる「トムヤムクン」。レモングラスなどのハーブやスパイスを使った香り高いスープにエビのうま味が溶け込んで、「甘」「辛」「酸」の三味が絶妙なバランスを取った一品です。スープはクリアに澄んだ「ナム・サイ」と、ココナッツミルク入りの濁った「ナム・コン」の2種類があります。
バンコクで有名なトムヤムクンヌードル専門店「ピー・オー」。ローカル感溢れるエリアにたたずむ店は、いつも地元民で賑わっています。
名物「トムヤムクンヌードル」は100バーツ(約380円)。米粉の細麺や太麺、中華麺のバミー、インスタント麺などから好きな麺を選んでオーダーしましょう。筆者はバミーをチョイスしました。
大ぶりの手長エビが2匹のっています。殻を剥いて、プリプリの身をガブリといただきましょう! スープは辛さ控えめで、濃厚なエビのうま味が溶け込んだ奥深いコクがあります。最後まで飲み干したくなるおいしさです。
「プーパッポンカリー」はカニをカレー粉や唐辛子で炒め、溶き卵でふんわりと仕上げた料理です。
プーパッポンカリー発祥の店が、1969年創業の「ソンブーン・シーフード」。タイ料理と中華料理を融合させたシーフードレストランで、ミシュランガイドにも掲載されています。2022年9月現在は、バンコク市内に8店舗を構えています。
筆者が訪れたのは、バンコクの高級デパート「セントラル・エンバシー」5階にある店舗です。メニューには日本語表記があり、プーパッポンカリーのページには「蟹のカレー炒め」と書かれています。Sサイズ「殻付き」は460バーツ(約1750円)、「殻なし」は540バーツ(約2050円)です。
プーパッポンカリーはぶつ切りにしたワタリガニを使用しています。見た目のインパクトを優先する場合は「殻付き」、食べやすさを優先する場合は「殻なし」がおすすめです。
うま味たっぷりのカニとふわとろ卵に、辛さ控えめの濃厚カレーソースが絡まって、絶妙な味わいです。
2021年にCNNトラベル「世界の美食トップ50」で1位に選出された「マッサマンカレー」。発祥の経緯には諸説ありますが、一般的にはアユタヤ王朝時代にアラブ人商人から影響を受けて、タイ中部で生まれたとされています。
カルダモンやシナモン、クローブといったスパイスが香り高く、さらにココナッツミルクの濃厚なコクが味わい深いカレーです。
マッサマンカレーがおいしいと評判なのが、シーロム地区に位置する「クルア・アロイ・アロイ」。
メニューには日本語表記もあります。筆者はマッサマンチキン(100バーツ、約380円)とライス(10バーツ、約40円)を注文しました。
カレーはまろやかな甘みと深いコクがあり、辛さは控えめです。大きくカットされたジャガイモはホクホク食感で、柔らかく煮込まれた骨付き鶏肉も絶品! ご飯が進みます。
「イサーン料理」は、イサーンと呼ばれるタイ東北部の郷土料理です。イサーン地方には海がなく、土壌にも恵まれていません。そのため、食材を発酵させたり昆虫食の文化があったりと、古人の知恵を生かした奥深い食文化が育まれてきました。
最大の特徴は辛みや酸味が強いことで、乾燥唐辛子やチリパウダーが多用されます。
筆者のイサーン出身の友人もいち押しなのが、タイで10店舗を構えるイサーン料理チェーン店、「バーンソムタム」です。
ソムタムとはイサーン料理の名物「青パパイヤサラダ」のことで、こちらの店には30種類以上のソムタムがあります。
今回はノーマルなソムタムを注文しました。青パパイヤの千切りに、干しエビやトマト、インゲンを混ぜ、さらにナムプラーや唐辛子マナオ、ニンニクなどで味付けがしてあります。
本格的なソムタムは手加減なしの辛さなのですが、こちらのソムタムは外国人でも食べやすいマイルドな味付けです。パパイヤのシャキシャキ食感と、酸っぱ辛い風味が癖になりますよ。
イサーン地方での主食は「カオニャオ」という蒸したもち米です。甘みのあるもち米は、辛味や酸味が際立つイサーン料理と相性が抜群です。
「ガイヤーン」は、特製ダレに漬け込んだ鶏肉の炭火焼きです。外はパリッと、中は柔らかくてジューシー。ナムチムジェオという甘辛いチリソースを付けて食べれば、止まらないおいしさ! カオニャオと一緒にいただきましょう。
ハーブの香りが引き立つハーブスープや、揚げ魚なども絶品です。
リーズナブルな価格でお腹いっぱい堪能できますよ。
「北部料理」はチェンマイやチェンライなどを中心とした地域の料理で、ミャンマーやラオス、中国、山岳民族の食文化に影響を受けてきました。タイ料理のなかでもっとも味付けがマイルドで、日本人の口に合いやすい料理が多いです。
「カオソーイ」は濃厚なカレースープが特徴の “揚げカレーラーメン” です。ミャンマーからラオス経由でタイ北部に伝わり、タイ風にアレンジされて広く食されるようになりました。
揚げ麺と茹で麺のふたつの食感を楽しみながら、ココナッツミルクがたっぷりと入ったクリーミーなカレースープを絡めて食べます。
カオソーイ専門店「オントンカオソーイ」は、2019年から4年連続でミシュランのビブグルマンに選出されている本格派です。
鶏肉のカオソーイは89バーツ(約340円)。濃厚なスープは程よい辛味があり、柔らかい煮込みチキンとの相性も抜群です。
プーケットなどのタイ南部地域はマレーシアと地理的に近いため、「南部料理」はムスリムの食文化の影響を強く受けてきました。アンダマン海やタイ湾など海に囲まれているので、新鮮な海の幸を使ったシーフード料理が豊富です。またスパイスを多用し、辛味や塩味が強い味付けが特徴です。
南部料理の代表格である「カオモッガイ」は “タイ風チキンビリヤニ” です。パラパラの炊き込みご飯と蒸し鶏を組み合わせたもので、辛くない南部料理のひとつ。かつてタイ南部地方のイスラム系住民が食べていた料理が、タイ全土に広まりました。
カオサン通りからほど近い場所に位置する「アイサ・ロッディー」は、ムスリムが営むハラル料理店です。地元民の来店が絶えず、始終にぎわいを見せています。
看板メニューのカオモッガイ(50バーツ、約190円)を注文しました。スパイスが香るパラパラのターメリックライス、柔らかい鶏もも肉、甘酸っぱい緑色のタレは相性抜群でおいしいです
タイを代表する4つの郷土料理の特徴をつかむことで、タイ料理の奥深さや魅力をより深く理解することができます。タイ旅行の際はぜひご自身の目と舌で味わって、好みの一品を見つけてくださいね。
監修:地球の歩き方
※こちらの記事は、1バーツ:3.8円を参考に計算しています。