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ソウルの人々の生活を支える市場。ソウルには、大小の市場が各地域に点在しています。大型スーパーなどが増え、2020年からはコロナ禍の外出自粛などで経営が困難な状況でしたが、市場活性化事業とともにコロナ規制が緩和され、現在では多くの人たちが再び訪れ始めています。今回は、韓国在住の筆者おすすめの市場と、そこで食べていただきたいB級グルメをご紹介します。
目次
ソウル最大級の市場といえば、東大門(トンデムン)の広蔵市場(クァンジャンシジャン)です。
地下鉄5号線「鐘路5街」駅 8番出口を出て1分ほど歩くと、左手に広蔵市場北2門の入口が見えてきます。曜日や時間帯によりますが、まずこの入口で人が列を作っている光景が見られます。行列の先にあるのが、広蔵市場の人気店のひとつ、「広蔵市場チャプサルクァベギ」というクァベギ(ツイストドーナツ)店です。
店先では、クァベギを作っている様子も見られます。こちらでは、チャプサル(もち米)クァベギや黒米ドーナツ(各1000ウォン、約100円)、中にあんこが入っているドーナツやサツマイモのチャプサルクァベギ(各1500ウォン、約150円)が販売されています。
大量に買っていく人もいますが、ひとつ食べたい時には紙コップに入れてくれるので、途中小腹がすいた時に気軽に食べることができます。
チャプサルクァベギ店からさらに広蔵市場の奥へと進んでいくと、通路の両端や脇道にもさまざまなB級グルメを販売する露店がたくさん出ています。
その中でひとつ食べてもらいたいのが、ピンデトクです。ピンデトクとは、緑豆を石臼で挽いた生地を焼いたもので、広蔵市場の名物です。露店の大きな鉄板の上で焼かれたできたてのピンデトクが食べられます。1枚5000ウォン(約500円)です。
広蔵市場のピンデトクの店で有名なのが「元祖スニネピンデトク」。先ほど紹介したチャプサルクァベギの向かい側にイートインできる店舗があり、そのほかにも露店が2店あるピンデトクの人気店です。
それからもうひとつ、広蔵市場でぜひ食べてもらいたいのが、ユッケです。広蔵市場にはユッケが食べられる店が並ぶ「ユッケ通り」がありますが、その中でも「プチョンユッケ」というユッケ専門店は、2017年から2023年までミシュランガイドに掲載されている実力派です。
創業約60年、3代目が営むユッケ屋で、ユッケ(1万7000ウォン、約1700円)やユッケビビンバ(普通盛り8000ウォン、約800円。特盛り1万2000ウォン、約1200円)、ユッケに新鮮なイイダコの刺身が入ったユッケナクチタンタンイ(3万ウォン、約3000円)が人気です。
新鮮なお肉を扱っているだけあり、付け合わせの牛肉スープも絶品です。食事時は特に行列ができるほどの人気で、1時間30分の時間制限がありますのでご注意を。ちなみに、周辺のユッケのお店も地元の人に人気で、プチョンユッケの隣にある「ヒョンジェユッケ」などもおすすめです。
次にご紹介するのが、景福宮(キョンボックン)の西側にある市場、通仁市場(トンインシジャン)です。それほど大きくない市場ですが、韓国の伝統料理から地元で食べられているソウルフードの店が並んでいます。
ジョン(チヂミ)やキムパ、餅、タッカンジョン(甘辛ソースの鶏のからあげ)、ホットク(アメリカンドッグ)などが販売されていますが、通仁市場で一番有名なのはキルムトッポッキ(1人前4000ウォン、約400円)です。
ルム(油)で炒めたトッポッキで、辛い味(唐辛子ソース)と辛くない味(醤油味)の2種類があります。注文すると、その場で炒めてくれます。カップに入れてくれるので、歩きながら食べることができます。
また、通仁市場で有名なのが「お弁当カフェ 通(トン)」です。
お弁当カフェとは、市場中央付近にある顧客満足センター2階にあるカフェですが、ここではある変わったシステムがあります。まず、お弁当カフェに入り、常平通宝(李朝時代に流通した銅銭。葉銭とも呼ばれる)を購入します。するとお弁当容器を渡されるので、それを持って市場に戻り、この葉銭が使用できる店で気になった食べ物を購入してお弁当容器に詰めてもらい、自分だけのお弁当を作りあげるというシステムです。お弁当ができたら、お弁当カフェに戻り、2階または3階に用意されているテーブルで食べます。
お弁当カフェの人に聞いてみると、基本一人あたり7000ウォン(約700円)分の葉銭を購入すれば適度に購入できるとのこと。7000ウォンで14枚の葉銭を購入できます。
筆者は油で炒めたキルムトッポッキをはじめ、カルビをミンチにして焼いたトッカルビ、タッカンジョン、大学芋を購入。
ご飯と水は、それぞれお弁当カフェで2銭と1銭で販売されています。もし、もっと食べてみたくなったときは、葉銭を追加購入したり、各店舗に直接キャッシュで支払っておかずを購入したりすることもできます。
お弁当カフェを出てすぐ目の前にある「孝子洞(ヒョジャドン)タッコチ(韓国風焼き鳥)」も行列ができる店のひとつです。
日本の焼き鳥よりずっと大きく、ワインチーズ、チーズプルダク(激辛)、塩焼き、チーズキング、ゴマの葉包みの5種類(各5000ウォン、約500円)のタッコチが販売されています。葉銭6枚でも購入できます。
通仁市場には定休日があるので、定休日を必ずチェックして、できれば火曜日から土曜日の間に行かれることをおすすめします。
最後にご紹介するのが、望遠市場(マンウォンシジャン)です。
地下鉄6号線「望遠」駅 2番出口を出たすぐ右手の路地を右折し、まっすぐに5分ほど進むと、右手に緑の望遠市場のアーケードが見えてきます。
望遠市場もそれほど大きくはありませんが、地元の人を満足させるB級グルメが並んでいます。望遠市場内だけでなく、市場に行くまでの通りにもいろいろな店があるので、道中も目移りしてしまいます。現地在住者にとっては、特に野菜や果物の値段がほかの地域に比べて安いのも嬉しいポイントです。
奥へ進んでいくと、右手にピンクの看板が印象的な「キュスタッカンジョン」があります。
このキュスタッカンジョンは、タッカンジョン専門店で、テレビ番組でも紹介されているようです。
味の種類も豊富で、定番のヤンニョムタッカンジョンをはじめ、中華風のカンプンタッカンジョン、甘辛風味のタッカンジョン、フルーツ風味のタッカンジョン、チーズマスタードタッカンジョン、ホワイトクリームタッカンジョンなどが販売されています。紙コップに入れてくれるもので4000ウォン(約400円)、3分の1羽が7000ウォン(約700円)、3分の2羽が1万1000ウォン(約1100円)、1羽が1万4000ウォン(約1400円)、1羽半が1万8000ウォン(約1800円)、2羽で2万2000ウォン(約2200円)……と好みの量で購入できます。
キュスタッカンジョンを出たら、今度は店を右手にし、対角線上にあるジョン専門店の「雨耳楽(ウイラク)」にも行ってみてください。ここでぜひ食べていただきたいのが、コチュティギム(唐辛子の揚げ物)です。大きめの生の唐辛子の中に肉や野菜などの具がたくさん詰まったジョンで、こちらの看板メニューでもあります。
また、店先には種類豊富なマッコリも販売されているので、お酒が好きな人は合わせて購入してみてはいかがでしょう。昔から韓国では雨が降る日には、ジョンとマッコリを楽しむ風習がありますが、今でもジョンとマッコリの相性は抜群です。
雨耳楽を左に出て、まっすぐ望遠市場アーケードの出口の方へ進むと、出口左手に「望遠コロッケ」というクァベギやコロッケなどを販売している店があります。こちらも、望遠市場では有名な店で、テレビにも紹介されています。
あんこの入ったドーナツやもち米を使ったドーナツ、野菜コロッケ、サツマイモカレーコロッケなど幅広い種類があり、1個約1000ウォン(約100円)から購入できます。個人的には、上の写真の定番クァベギともち米のあんドーナツがおすすめです。
いかがでしたか。
ソウルにはさまざまな市場がありますが、今回は筆者おすすめの市場3ヵ所とB級グルメをご紹介しました。ぶらり、のんびり歩きながら気になるB級グルメを試してみるのも、市場での醍醐味ではないかと思います。地元の人々に混じって、市場の雰囲気とローカルフードを楽しんでみてくださいね。
監修:地球の歩き方
※記事内の料金は2023年1月時点のものです。1ウォン:約0.1円を参考に計算しています。