多文化が織りなす　絶品ご当地グルメを堪能する

進化が止まらないシンガポールの飲食業界に新風を吹き込むのが、「モッド・シンMod-Sin」と呼ばれるモダン・シンガポール料理です。伝統的なローカルフード（屋台料理）に、モダンなアレンジやひねりを加えたクリエイティブな料理を提供する店が続々と登場しています。新進気鋭のシェフが率いるレストランからホーカーまで、食の新たなハーモニーが味覚を刺激してくれます。

著名な料理研究家、バイオレット・ウンさんが手がけるこの店は、シンガポールの豊かな食文化にどっぷり浸れる店。プラナカン料理（マレーと中国の融合料理）とシンガポール料理をベースに、食材や調理法、フレーバーを巧みに組み合わせた美味なる料理を提案しています。パスタ料理のように仕上げたドライラクサをはじめ、サテーやビーフレンダンなどの定番料理も洗練の味わいです。グラメラカ（ブラウンシュガー）を多用した絶品デザートもぜひ。プラナカンタイルやアンティークの調度品を配したインテリアも素敵です。

ずば抜けたセンスと技術で斬新な料理を披露する「ラビリンス」は、2023年のミシュラン一つ星を獲得し注目度も急上昇。シンガポールの食材にこだわり、地産地消をモットーとする料理からはシンガポール愛が伝わってきます。

料理はランチ・ディナーともテイスティングのコースメニューで供されます。新たな解釈で創作された土鍋チキンライスやジャックフルーツのシャーベットを添えたロジャ（マレーのフルーツサラダ）など、手の込んだプレゼンテーションでサーブされ、目も舌も楽しませてくれます。コースにかかる時間は2時間半から3時間。落ち着いたシックな店内で、ゆったりと時間をかけて進化形ローカル料理の旅を楽しみましょう。

シンガポール川沿いのデザインホテル「ウエアハウス」のダイニング「ポー」は、温かみのある雰囲気でゲストを迎えてくれます。シンガポールの伝統的な料理を、厳選素材を用い愛情を込めて洗練の料理に仕立て上げテーブルを彩ります。文化と伝統を新しい料理で表現する手腕に脱帽です。

看板料理は、小麦粉のクレープで多種類の具を自分で巻いて食べるポピア（春巻き）。干しエビや香草、甘辛く煮たカブやニンジン、卵焼きなどの具材とチリやガーリックが絶妙の味わいを生み出します。昆布だしを用いてフライド・ホッケンミー（炒め麺）をアレンジしたプロウン・コンブミーも人気メニューです。趣向を凝らしたカクテルとともに味わうのもおすすめ。

こちらは話題の隠れ家風のレストラン＆カフェバーです。1980～1990年代のHDB（集合住宅）の階下にあったママショップと呼ばれる小さな食料品店をオマージュ。お菓子からおもちゃや日用品も扱う昔のコンビニのような店を1階に再現し、ここで料理も提供しています。その脇をすり抜け2階に上がるとHDBをイメージした空間「ロウシャン」になっています。

昼間はひねりの利いたローカル料理をサーブ、夜はスナックや昔ながらのコピティアムの飲み物をアレンジしたユニークなカクテルがメニューに挙がります。料理はドライタイプのバクテーやマック＆チーズ付きのチキンサテー、カヤチュロスなど。シンガポールの暮らしの一面も垣間見られる、古くて新しいスポットです。

シンガポールの多彩な料理について、より深く知りたいと興味を抱いた方は、料理教室に参加してみてはいかがでしょう。チャイナタウンにある「フードプレイグラウンド」は、ただの料理教室ではなく、旅行者や駐在する外国人にシンガポールの食文化の体験を提供してくれる場なんです。地元の視点のもと、自分で作ったものを味わうなんて、とても貴重な体験。

ここでは専業主婦やアクティブシニアが講師。実際に受け継がれてきた家庭料理のレシピが学べ、料理に秘められた雑学やエピソードを聞けるかもしれません。普段なじみのないスパイスやハーブ、食材を実際に目で見て触れて香りをかいでみるだけでも、新しい発見があるはず。作った料理を、わいわい味見をするのも楽しい思い出に。帰国後に自宅で作って「マイレパートリー」に加えちゃいましょう。

料理教室は所要3時間、毎日開催されています。作るメニューはラクサやチキンカレー、チャークエティヤオ、ナシ・レマなど代表的なローカル料理です。予約はウェブサイトから。