ミロ美術館 (バルセロナ)

更新日
2023年1月25日
公開日
2022年8月28日
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ミロが愛した地中海の明るい太陽に溶け込むような、白く清楚なこの美術館は1975年に開館した。ジュセップ・ルイス・セルトの設計による建物は、外から見ると、光を取り入れる屋上部分の曲線が印象的だ。中に入ると、中庭を取り囲むように展示室が設けられ、ゆったりと作品を観られるように配慮されている。 美術館が所蔵しているミロの作品は絵画、彫刻、テキスタイル、版画、ポスター、舞台美術関係など500点以上にも及び、スケッチ、素描などを含めると1万点近い。そのなかでも油彩画は、世界各地に散らばっていて収集が大変だったといわれている。当初は、シュールレアリスム(超現実主義)宣言以前に描かれた『カタルーニャの風景』や『シエスタ』などのほか、ミロのアトリエにあった晩年の作品がほとんどだったが、後にミロ夫人やジュアン・プラーツ所蔵の作品などが寄贈され、少しずつ充実してきている。 彫刻は、1940年代から74年までのブロンズの作品やオブジェなどが、1階から2階への吹き抜け部分や屋上テラスなどに並べられている。版画では、銅版、石版のほぼすべてが揃い、なかでも1939年から44年にかけて制作された『バルセロナ』シリーズを完全な形で所蔵しているのはここだけだ。またミロの作品以外にも、マルセル・デュシャンの『グリーン・ボックス』、マチス、マックス・エルンスト、アントニ・タピエスの作品など、「ミロにささげるコレクション」も展示されている。 美術館では、企画展や若手作家の展覧会も開かれている。企画展では毎年2、3回大きな展示が行われ、現代美術史上での重要な動きや作家が取り上げられる。若手作家の展覧会は「スペース13」と呼ばれる場所で行われるが、ここから世界的に知られる作家も出るなど、狭い空間ながら生きのいい作品が並べられている。また、児童劇や親子映画会など子供の芸術教育に力を入れ、亡くなるまで子供のような心をもち続けたミロの精神が生かされている。

写真

  • 館内には本格的な料理が楽しめるレストランのほか、カフェやミュージアムショップもある
  • バルセロナの街を見下ろす丘の上に建つ
  • 『少女の肖像』Retratd'UnaVaileta(1919
  • 『絵画(白い手袋)』Pintura(Elguantblanc)(1925)
  • 『鳥と女』
  • ユーモラスなフォルムとシンプルで明るい色彩がミロらしい
  • バルセロナの街を一望できるテラスにはオブジェが置かれている。
  • 『財団のタペストリー』TapizdelaFundación(1979)
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