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清代の乾隆3(1738)年に創建された約280年の歴史をもつ台湾で最も有名な寺院のひとつで、四合院の伝統をふまえた宮殿式建築。台湾の寺廟の常で、龍山寺も神仏混交である。観音菩薩が正殿の主祀であるが、道教の媽祖、関帝、月下老人などの文武諸神も多く祀られている。。血縁、地縁をこえた多くの人々が参拝できる台湾の多神信仰の宗教観がよく表れている。
萬華は龍山寺を中心に発達した門前町で、古くから営業を続ける雑貨や漢方薬、茶などの伝統的商品を扱う小さな商店が密集していおり“台北発祥”の地といわれる。かつて淡水河を遡ってきた漢民族が最初に交易拠点を設けたのがこの地で、その後艋舺(バンカー)と呼ばれた。淡水河の交易で栄えたが、川底の上昇により船が運航できなくなり衰退。古跡が多く、今も清代の廟などが残る。
駅や寺の周辺では道端で将棋や賭け事を楽しむお年寄りが多くおり、どこか懐かしい台湾の下町の雰囲気を感じることができる。
1800坪ある境内では、主祭神の「聖観世音菩薩(観音さま)」のほかに、学問の神様「文昌帝君」や子宝・安産の神様「註生娘娘」、縁結びの神様「月下老人」、恋愛の神様「月老神君」などたくさんの神様が祀られている。
神様へのお供え物にもそれぞれ意味があり、例えば学問の神様「文昌帝君」へのお供え物は「ネギ、大根、包子」とされており、これは中国語の発音で「賢い」や「(合格を)保証」するといった意味の発音と似ているからなのだそう。縁起やゲン担ぎが生活に溶け込む台湾の日常を垣間見ることができる。
拜拜の日(旧暦の1日と15日)やお正月は参拝者で境内が埋め尽くされ、身動きもとれないほどの盛況ぶりなので、訪れる際は注意したい。
台湾の寺廟内で赤い木片をひっきりなしに落としている人の姿を目撃するだろう。これは跋杯(ポアポエ)という台湾式おみくじ。願い事に対する神様の返事が聞けるという。