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ボンジョルノ~北杜・山梨特派員の水月です。
「山梨特派員ローマへ行く~2022秋」シリーズ第10弾は「”死にゆく町”チヴィタ・ディ・バニョレージョ」です。
”死にゆく町(il paese che muore)”
なんとインパクトのあるネーミングでしょう。そう呼ばれている小さな町が、ローマ近郊にあるんです。
トップの写真(写真提供:YasuoMaeda)を見て、まずその景観に驚かれたと思います。まるでジブリのアニメーションさながらの「断崖に立つ天空の町」。
周辺は土壌がもろく崩れやすいトゥーフォ(凝灰岩)でできていて、かつての道を一筋だけ残し、地震や雨、風によりチヴィタの周囲は崩れ去ってしまったそうです。人口も、少ないときには10人を切ったとか。
いつ消え去るかも知れない町。だから”死にゆく町”と呼ばれているんですね。
シリーズ第9回のオルヴィエートから、バスに30分ほど揺られバニョレージョへ、そこからさらに30分ほど歩くとチヴィタ・ディ・バニョレージョの入口に到着します。
町への唯一の入口は、およそ30mの橋のみ。写真手前左のチケット売り場か、バニョレージョのバス停で€5のチケットを購入し、ここでチェックしてもらいます。この入場料が、この町を支える大切な収入源になっているそうです。
映画『ホタルノヒカリ』で、綾瀬はるか演じる主人公、蛍がウエディングドレス姿で駆け上がるシーンのロケスポットでもあります。けっこうきつい登り坂。スニーカーなど、歩きやすい靴の方がいいでしょう。
これも唯一の入口、サン・マリア門。ここをくぐると、いよいよチヴィタ・ディ・バニョレージョです。
サン・マリア門を抜けると、すぐに「サン・ドナート教会広場」に出ます。ここが町の中心です。
カフェや土産物屋、レストランなどが周囲に並んでいます。
「サン・ドナート教会」は、5世紀にロマネスク様式で建てられたのが起源といわれていて、時代ごとに改築され、ロマネスク様式とルネッサンス様式が入り混じった建築物。さあ、なかに入ってみましょう。
三廊式になっている内部は、飾り気のない落ち着いた雰囲気で、町の人々に大切にされている教会なのだなあと胸が温かくなりました。
こちらは「サン・ドナート教会」の向かい側にある「Acqua di Civita(アクア・ディ・チヴィタ)」。石鹸やクリームなどの化粧品を扱うお店です。なんと、ロバのミルクやカタツムリのエキスを使っているんですよ。ロバのミルクのハンドクリームを購入しましたが、ハーブの香りで伸びがよくしっとりした使い心地です。
チヴィタでは、のんびりゆったり町歩きする時間にとても癒やされました。トゥーフォ(凝灰岩)でできた家々は温かみのある色合いで素敵だし、小さな町なのですぐに歩き尽くせてしまいます。
B&Bなど宿泊施設もあり、丸1日をチヴィタで過ごすという観光客も見かけました。
わたしは半日ほどの滞在でしたが、夜になればまた、違う顔のチヴィタが見られそうですね。
一度は人口10人を切ったチヴィタ・ディ・バニョレージョですが、その後、観光客が増加し、町は活気を取り戻しました。”死にゆく町”というキャッチフレーズに、今のうちに見ておきたいという人々が足を運ぶようになったからだといわれています。悲しい名前も、小さな町を救うために一役買っているんですね。
今年2022年、これがラストの記事となりました。楽しんでいただけたなら幸いです。ありがとうございました。
新しい年2023年が、みなさんにとってどうぞ良い年になりますように。
☆「山梨特派員ローマへ行く~2022秋」シリーズバックナンバーはこちら
第1回 「旅の始めに」
第2回 「市場を楽しむ」
第3回 「バスの乗り方」
第4回 「ピンポイントスポット」
第5回 「アッピア旧街道巡り」
第6回 「サッカー観戦セリエA」
第8回 「B級グルメを食べよう!」
第9回 「ローマ近郊オルヴィエートへ」