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パリにはシャルル・ド・ゴール空港とオルリー空港という2大空港があります。前者はパリの北郊外、後者が南郊外です。そのオルリー空港への地下鉄14号線の乗り入れが2024年6月24日に開始しました。
14号線は、パリの地下鉄の中でも最も歴史が新しい路線で、乗務員のいない自動運転が取り入れられています。他の地下鉄路線と比べて、パリ市内における停車駅の間隔は長く、移動の際のスピードが利点の路線です。
今回の地下鉄14号線の乗り入れにより、リヨン駅からは23分、サン・ドニ・プレイエル駅からは40分でオルリー空港までつながることになりました。なお、2027年に新しく開業する地下鉄18号線もオルリー空港に乗り入れる予定です。
注意点もあります。市内から14号線を使ってオルリー空港へ行く場合、運賃は10.30ユーロ(2024年6月現在)となっています。パリの地下鉄は、運賃が距離によって変動せず一律で2.15ユーロ(2024年6月現在)ですが、オルリー空港まで向かう場合は、その運賃ではありません。
今回は7月26日に開幕するパリ・オリンピックを前に、14号線の両端である南北でそれぞれ延伸が行われました。新設された駅も多いですが、そのなかでもっとも注目されているのが、パリ・オリンピックの選手村などの最寄駅となるサン・ドニ・プレイエル駅です。
同駅の設計は建築家の隈研吾氏。木を使った落ち着いたデザインが特徴的です。
サン・ドニ・プレイエル駅は、RER D線やE線の駅であるスタッド・ド・フランス・サン・ドニ駅から300mの徒歩圏内であることに加え、2031年には14、15、16、17号の4路線がサン・ドニ・プレイエル駅で交差する予定で、パリ北部のターミナル駅になります。
これら新線計画の基礎には、グラン・パリ(パリ大首都圏)構想があります。現在、パリ市内は地下鉄が網目のように張り巡らされて便利ですが、郊外に出ると途端に鉄道での移動は不便になります。そのため、グラン・パリ・エクスプレスとして整備されるこれら新線などで交通網を拡充させ、パリ中心部と郊外とのアクセスを改善し、さらに大きなひとつの生活圏にしていこうというもの。今回の14号線の延伸は、そのステップのひとつです。