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【京都府・向日市】職人の手技が光る8種類の竹垣が堪能できる「竹の径」

乙な京都™

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京都特派員

更新日
2025年6月9日
公開日
2025年6月9日
©乙な京都™ 「竹の径」で最も多く使われている「竹穂垣」が美しい

嵐山の竹林の小径の写真は美しいですね〜。さすが世界中から観光客が訪れる映えスポット・・・じゃないんです。本日、ご紹介するのは京都府向日市にある「竹の径」。大河ドラマやテレビCMのロケ地として有名なのですが、観光スポットとしては意外と知られていない穴場中の穴場。竹林浴を貸し切りで楽しんでみませんか。

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筍の産地としても有名な竹林を歩く

良質な筍の産地として全国的に有名な竹林は、京都府向日市北西部にある向日丘陵に広がっています。 この竹林の景観を保全するため、環境整備(放置竹林対策・不法投棄防止)を行い、向日市特産の孟宗竹を使って2000年から整備されてきたのが全長約1.8kmの「竹の径」です。

第6向陽小学校からすぐの「竹の径」のスタート地点

2020年9月には市民ボランティアが結成され、竹林景観の維持と筍の生産活動体験を行っています。「全国遊歩百選」「歩きたくなるみち500選」等に認定され、また「京都府景観資産」「京都府文化的景観」に選定されるなど、市内外を問わず竹林浴を楽しむ人が訪れています。 ほかにもサイクリングやフォトウェディングなど多彩な楽しみ方で親しまれています。

筍の農地や竹林は私有地ですので無断立ち入りは厳禁

竹の径の見どころである寺戸大塚古墳

スタート地点から歩いてほどなく見えてくるのが寺戸大塚古墳です。古墳時代前期(4世紀)の全長約98mの前方後円墳で、後円部は直径約54m・高さ約10mの大きさを誇ります。発掘調査により、三角縁神獣鏡のほか多くの鏡が出土しています。古墳と「竹の径」を仕切っているのは「古墳垣」で丸みを帯びた古墳の形を表現した竹垣。ほかにも7種類の竹垣があり、竹の持つさまざまな表情を楽ししむことができます。

北山城で最古の古墳と首長墓群と考えられています

古墳の隣にたたずむのは、寺戸大塚古墳竹林小屋「對塚庵(たいちょうあん)」です。筍栽培に必要な道具やワラを入れる小屋として、2023年に学校法人京都建築学園京都建築専門学校が建築し、向日市に寄付される形で復活。普段は非公開ですが、10月開催の「竹の径・かぐやの夕べ」でライトアップされるのでぜひ。

土壁づくりには市民も参加した竹林小屋

知られざる竹垣の世界を知る

上述した「古墳垣」などの竹垣は、地元竹産業に携わる6つの業者で構成された向日市竹産業振興協議会が、この地域産出の竹材(竹の枝など)を用い、整備したものです。私が気に入ったのは「物集女垣」と「寺戸垣」です。

「物集女垣」(左)と「寺戸垣」(右)が同時に見れるゾーン

「物集女垣」は中世の物集女城壁をイメージし、竹の表面を縦横に配するなど竹本来の美しさを強調しています。「寺戸垣」は地元寺戸町に由来し、格子の間から見える竹林がまた違った趣となるよう、結び目の位置や格子の間隔に職人の技が生かされています。この2つの竹垣が同時に見えるスポットはとても美しく、伝統的な竹を用いているのに非常に現代的な印象を受けました。時季の移ろいによる経年変化も含めて楽しんでみてください。

  • 無限に波打つ海の道をイメージした「海道垣」
  • 寺戸町を流れる深田川に由来する「深田垣」
  • 物集女町にある紫雲山来迎寺にちなんだ「来迎寺垣」
  • かぐや姫の着る十二単衣の襟元をイメージした「かぐや垣」

■竹の径
住所:京都府向日市寺戸町芝山~物集女町長野、中海道地内
電話番号:075-874-1347(向日市産業振興課)
アクセス:JR京都線「桂川駅」または阪急京都線「洛西口駅」からバスで「向日回生病院前」下車、徒歩5分
JR京都線「向日町駅」または阪急京都線「東向日駅」からバスで「東山」下車、徒歩10分
入館料:無料
URL:https://www.muko-kankou.jp/

今回の「乙な京都™」はいかがだったでしょうか。サイクリングでサッと通ったことはありましたが、じっくり散策したのは今回が初めてでした。撮影に訪れた日は地元の方々がお散歩を楽しんでおられ、「いい写真撮ってね〜」と気持ちの良いあいさつを交わしてくれました。最後に竹林浴を楽しみながら出会った風景を。

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