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カポディモンテの緑の丘に広がる広大な美術館。国立考古学博物館と同様、ファルネーゼ家により創設され、ファルネーゼ・コレクションを中心にナポリ絵画、ナポリの教会から運ばれた祭壇画を展示。磁器で飾られた旧居室=磁器の間や舞踏室なども見事だ。
美術館の創設者であるカルロ3世が望んだように、各派ごとにほぼ年代順に並べられた展示はイタリア絵画の潮流を知ることができる貴重な場所だ。堂々たる階段を上ると、コレクションの生みの父、アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿、後の教皇パオロ3世の肖像画が掲げられている。ティツィアーノの『パオロ3世と甥たち』Paolo Ⅲ con i nipoti『パオロ3世の肖像』Ritratto di P. Farnese、ラファエッロの『アレッサンドロ・ファルネーゼの枢機卿の肖像』Ritratto del Cardinale A.Farnese。ルネッサンス絵画のマゾリーノとマザッチョもある。
とりわけ1400年代絵画の革新者だったマザッチョの『磔刑図』Crocifissioneは、この美術館の代表作のひとつ。このほか、マゾリーノの『聖母被昇天』Assunzione della Vergine。カノーヴァによる優美な大理石像『レティツィア・ボナパルト・ラモリーノ・ボナパルト』Letizia Ramolino Bonaparte。ナポレオンの母の姿だ。ジョヴァンニ・ベッリーニの『キリストの変容』Trasfigurazioneは、彼の円熟期の傑作。マンテーニャの『ルドヴィーコ・ゴンザーガの肖像』Ritratto di Ludovico Gonzagaも。ティツィアーノの『マッダレーナ』Maddalena。パルマ派でパルミジャニーノの『聖家族』Sacra Famiglia、コレッジョ『聖母子(ジプシー)』Madonna con Bambino(la Zingarella)も展示されている。
ブリューゲルの『盲者の寓話』Parabola dei Ciechiも必見。カラッチ一族の作品やアンニバーレ・カラッチの傑作のひとつ『岐路に立つヘラクレス』Ercole al bivio。グイド・レーニの『四季』Le Quattro Stagioneも見逃せない。
華やかな居室が続く。ポンペイ風の絵が描かれたサロンや大広間、ダイニング、舞踏室などさまざまに装飾された部屋が続く。
各部屋に置かれた彫像、椅子、テーブルなどの調度品も見事だ。この一角には陶器コレクションが続く。とりわけ、女神が馬と天使を従えて花飾りを頭上高く掲げる『オーロラ』L'Auroraが目を引く。さらに続いて武具のコレクション。
「磁器の間」Salottino di porcellana del Palazzo di Porticiは、17世紀後半王妃マリア・アマリアのために作られ、19世紀にここに移設されたもの。1739年、この美術館の敷地内に創設されたカポディモンテ焼の工房の最高技法を駆使し、壁面やシャンデリアまでが彩色および金をかけた中国的モチーフを描いた磁器で飾られた驚きの空間だ。
ナポリ絵画部門。入口近くの大きな7枚のタペストリーはカルロ5世がフランソワ1世を打ち破った様子を描いた『パヴィアの戦い』Battaglia di Paviaで、16世紀のベルギー製。ナポリ絵画に多大な影響を与えたふたりの巨匠、シエナ派のシモーネ・マルティーニの『トゥールーズの聖ルイ』San Ludovico di Tolosaは必見。カラヴァッジョの『キリストの笞打ち』Flagellazioneは、その暴力的な雰囲気がナポリの画家たちに衝撃を与えた。以降、充実したナポリ絵画が続く。
ナポリ絵画の典型である静物画Natura Morta、マッティア・プレーティの『聖セバスティアヌス』S. Giovanni Battista、ルーカ・ジョルダーノの『天蓋の聖母』Madonna del Rosario Bardacchino)なども見逃せない。
近代・現代絵画、写真、オブジェなどを展示。アンディ・ウォーホルの『ヴェスーヴィオ火山』Vesviusは必見。