
【岡山】「とんび」のロケ地、金光教の門前町大谷を歩く~浅口市金光町~
2025.4.19
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今月は、浅口市金光町をご紹介しています。前回は大谷地区のノスタルジックな商店街をご紹介しましたが、金光教本部の門前には、狭い範囲ながら重要文化財に指定されている建物から昭和の名残のある建物まで趣のある建物がいくつも残っています。
商店街から離れて金光教の周囲を歩いてみますね。
近くにある金光教関係の新聞・書籍の発行販売をしている金光教徒社の社屋が目につきました。年期の入った建物ですね。
日本の木造建築に西洋のデザインを取り入れた様式のことを「擬洋風建築」といいます。この建物もそのひとつで、左側の東棟が、大正10年(1921)に建築され、100年以上の歴史を持つ建物だそうです。中央に入り口を配置し、スレート葺の屋根のデザインと下見板張りの外壁が左右対称になった外観、窓の周囲の造作など凝った造りとなっています。
その右隣の中央棟は昭和2年(1927)の建築でこちらもあと少しで100年になります。この建物の外壁はモルタル塗装を石積みに見せる珍しい工法です。
また、一番古い西棟が大正5年のものです。国の歴史的景観に寄与しているということで、3棟とも国の登録有形文化財として登録されています。
そして、商店街から一歩入った路地裏にも魚屋や八百屋が、街の台所として軒を連ねています。写真は明治16年創業という老舗の「藤井商店」さんです。
里見川の方へ足を延ばすと3階建ての木造建築を見つけました!
現在の建築基準法では、木造三階建の建築物は制約が厳しいので申請許可がおりるのは難しく、耐震基準がゆるい古い時代の建物だからこそ残っているのでしょう。
おそらく昔は旅館だったのではないでしょうか?金光教の大祭の日には、今も4千人もの信徒が集まります。現在よりも信者が多かったころは「金光臨」と呼ばれる金光駅発着の団体専用列車が各地から運行され、多くの信徒さんが集まってこられました。旅館以外の商店なども宿として部屋を貸していたという話を聞いたことがあります。
そのすぐ近くには、定金家住宅という美しい歴史のある建物がありました。
こちらは、大正6年(1911)に建設された擬洋風建築で、歯科医院併用住宅として使用されていたそうです。設計は江川三郎八で、国の重要文化財にもなる程の擬洋風建築を数多く手掛けていて、岡山県内には彼の手掛けた作品が数多く残っています。
この建物は一見、柱や梁を装飾的に見せたハーフ・ティンバーと見受けたのですが、スティックスタイルという、より繊細なデザインだそうです。壁のグリーンと木部の濃いグリーンのコントラストが美しく、柱と窓枠の木材にはフルーティングと呼ばれる溝が施され、エレガントな外観となっています。中でも正面玄関の庇には三角の破風を設け、延長上の2階の窓の上は、平側の屋根の軒先をカットし櫛型の破風を設けています。いっそう建物の正面を強調させ洗練された建物に仕上がっていますね。妻側の軒下の装飾も大変凝った造作です。
この建物も2006年3月27日に国の登録有形文化財として登録されています。
いかがですか?少し歩き回るだけで様々な建物を見つけることが出来ました。目にしていない古い建物がまだあるかもしれません。次はあなたの目で見つけてみませんか?